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片付けられない女魂     Amazon
(扶桑社 / 全503頁 / 書き下ろしアリ)

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夏目父、帰宅。
あたしもたった今帰宅。

部屋のドアを開けるまでは、出張の労をねぎらって一緒に晩酌でもしようと思ってたけど、しない。
絶対にしない。
してやんない。




















































あ た し の 部 屋 に 戻 す な 。





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夏目父と二代目が正座して話った「カエルを置いた理由」を聞いたあたしは、二人のアホさ加減に脱力し、その後、衝撃を受けることとなる。





それは4畳半が台風被害に遭う、少し前の、ある夏の夜のこと。
日中、あたしと麻雀をしていつものよーにボロ負けした二代目は、夏目父を誘って呑みに出かけ、麻雀をしている時のあたしがいかに非情な人間なのかを夏目父に切々と語っていた。
夏目父はそんな二代目の話を最初は笑いながら聞いていたのだが、ふと、前日に家で起きた小さな出来事を思い出した。


詳しい状況は夏目父も忘れたらしいが、とにかく、夏目父とあたしがリビングでくつろいでいた時、少しだけ開けていた窓から部屋に蜂が入ってきた。
娘は部屋にいる虫と蜜月ってるというのに、夏目父は異常なほど虫が嫌いだ。
ましてや部屋に入ってきたのは大きな蜂だった。(夏目父基準)

我が物顔で部屋を飛び回る蜂。
慌てて逃げ惑う夏目父。
格好の遊び相手を見つけた!とばかりに蜂を追いかける猫。

リビングはパニくっていた。(夏目父基準)


しかし、その時あたしがどうしていたかと言うと。
視界を時々遮る夏目父を疎ましく思いながら、テレビを見ていた。らしい。


前日のそんな出来事を思い出した夏目父は、二代目に言った。

「そーいえばアイツ、感情が顔に出ないんだよなあ」




言い訳させて貰うと。
二代目は麻雀をしているあたしのことを非情だと言うけれど、二代目にとっては同卓した相手全てが「非情」に思えるハズだ。
だって二代目、麻雀、超弱ぇーんだもん。
そして、夏目父は「感情が顔に出ない」と言うけれど、そんなことはない。
驚くこともあれば焦ることだってある。
部屋に蜂が入ってきたことにパニくらなかっただけである。
だって騒いで暴れたら却って刺されそうな気がするもん。




その後二人は、あたしの驚く顔が見てみたいという話になり、驚かせる策を練り、二代目の店にあるカエルをチョイスした。
その後の二人の行動は、想像に難くない。





いつの間にか脚を崩していた泥酔男×2は、話をしているうちにその時のワクワク感が甦ってきたらしく、とても楽しそうだ。
手を叩いたりしながら、「タヌキとカエルでだいぶ悩んだんだよなー。でもほら、先生はこのカエルが気に入っちゃったんだよねー」などと言って笑っていやがる。



VS
(宇宙一、しょーもない悩みだと思う)



どうやら。
楽しくないのはあたしだけらしい。


そもそも。
いい歳した大人の男二人が、片や「麻雀に負けた」、片や「部屋に蜂が入ってきたのに平気な顏をしていた」なんつう理由で、こんな重いものをわざわざ人の部屋に運び入れるだろうか。
普通はしないだろう。
つまり、だ。
その時も二人はものすごく酔っていたわけだ。
あげく、肝心の驚かせたい相手は、カエルが置かれたことに何年も気づくことなく、その上にどんどん物を重ね、ついにカエルを隠してしまった。
・・・・む、む、虚しい。


しかしまあ、酔った上のことなら仕方ない。
それに。
今現在も酔っているわけで、そんな状態の二人にアレコレ言ったところで、糠に釘、豆腐にかすがい、暖簾に腕押し、蛙の面にしょ・・・である。

ただ、あたしにはひとつ、解決しておきたい疑問があった。




娘 「あの」
父 「はいはーい」 ←逆戻り
娘 「このカエルはさ」
二代目 「持ってカエルー!」 ←コイツも逆戻り
娘 (無視して)「とーちゃんが二代目のところから買ったの?」
父 「そーですよーーーーん」 ←うぜー
二代目 「そーですよーーーーん」 ←コイツもうぜー
娘 「いくらで?
父 「・・・・え?」
娘 「い く ら で ?


夏目父は無駄遣い番長だ。
あたしの無駄遣いとは桁が違う。
だから、果たしてこのカエルをいくらで買ったのか?が知りたかった。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。
ま、ま、ま、まあ、ほら、売った時の目安にもなるしね☆


娘 「 い く ら で ? 


あたしがドスを効かせてそう言うと、夏目父・・・・ではなく、二代目が指を三本立てた。

え・・・・!?
さんぜんえんっ!?
こんなモノにさんぜんえんっ!?
いやいや待てよ。
夏目父のことだ。
3万円で買った可能性もある。
だから続けた。


娘 「ケタは?」
父 「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
娘 「ケ・タ
二代目 「あの・・・・」
娘 「その指1本はいくらなの?」
二代目 「えっと・・・・」
娘 「 い ・ く ・ ら ?


期待と不安が入り混じっていた。
高ければ、それを払った夏目父のアホさ加減にがっかりするけれど、売る楽しみが増す。
安ければ、売る楽しみはなくなるが、自分の父親が酔って大枚をはたくような嫌味な人でないことが判って安心できる。


さあ。



ど っ ち ?




終始無言を決め込んでいる夏目父の代わりに、今度も二代目が口を開いた。



二代目 「さん・・・・・円」
娘 「あ゛?」



声が小さい上に、呂律が怪しい。
あたしが聞き返すと、二代目は覚悟を決めたように、大きな声で言った。





















「 さ ん び ゃ く え ん っ ! 」







・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。









というわけで。
カエルの行き先が決まった。

売らないし、捨てもしない。

だって二代目が言ったもの。
カエルが帰る場所はココしかないのだ。






















ココにこうして置いてぇー











毛布をかぶせたら、はい、おしまーい♪




ココがカエルの居るべき場所だ。
だって。
二代目が言ってたもの。



「 先生はこのカエルが気に入っちゃったんだよねー 」



って、確かにそう言ってたもの。
二代目のその言葉に、夏目父はコクンと頷いてたもの。




ええ。
夏目父のベッドにカエルを仕込みました。


当の本人はまたもや出張中。
帰宅は明日の夜。
わーい、楽しみぃー♪
とーちゃん早く帰ってこねーかなー☆




・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。
あの。



「 蛙 の 子 は 蛙 」 っ て 言 わ な い で く だ さ い 。




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