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片付けられない女魂     Amazon
(扶桑社 / 全503頁 / 書き下ろしアリ)




お正月だ!酒だ!酒だ!と呑んだくれていた後遺症か、未だ脳みそが奈良漬状態なので、順を追って書ける自信がないのだけれど、ゆっくり考えてみるとどうやらきっかけは、ファンヒーターの調子が悪くなったことだったよーな気がする。
そうだそうだ。
そうだった。

どーも、大晦日の朝からファンヒーターの調子が悪かった。
点火はするものの、すぐに「換気」マークが点滅し、そのうち、ピーピーピー!という大げさなアラーム音と共にブチっとスイッチが切れるという具合で、部屋がちっともさっぱり暖まらない。
何度スイッチを入れ直しても、5分と経たないうちに切れる。
「換気」マークが点滅しているということは換気が必要なんだろう。
そうなんだろう。
っつうか。
ホ、ホ、ホコリがミッシリ詰まってるんだろう。
使い始めてから1度も、掃除らしい掃除してないからなあ。

なーんてことを考えはしたものの、ファンヒーターを掃除するということはその間、ファンヒーターが使えないということで、つまり、寒い部屋で掃除をしなくちゃいけないということで。
それを脳内シミュレーションしてみるともう、「新しい暖房器具を買う方が早いじゃん」っていう気になっちゃって、ネットでアレコレ物色してみたりしていた。



  



「買うならやっぱ、初売りでだよなあ」とか、「元日の新聞に入ってくるチラシは要チェックだ!」とか、それはそれはもう、ノリノリ(死語)だった。



しかし。
酔いというのは恐ろしいもので。
お酒を呑む人なら判ってくれると思うが、酔うと体温が上がり、「寒い」っていう感覚が鈍くなる。
それも通り越して尚、呑み続け、呑み過ぎると。
「寒い」っていう感覚がほぼ無くなっちゃう。


つーわけで。
大晦日の夕方から呑み続け、あげく、初詣の順番を待っている間もずーっと日本酒をグビグビ呑んで帰ってきたあたしは、身体中がボッカボカで、暑くてしょーがなかった。
で。
魔がさした。



元日の早朝に、ファンヒーターを掃除しようと思い立っちゃった。



「こーゆータイミングでこーゆーことを思いつく時点で充分酔っているんだよなあ」と思いつつ、それでも、酔ったなりに掃除の手順を考えてみた。
午前4時半だった。

集合住宅ゆえ、こんな時間に掃除機を使うのは憚られる。
じゃあどうやってファンヒーターのホコリを取り除く?
拭き取るしかないんだろうなあ。
でも超汚れてそうじゃね?
となると、何回雑巾洗うハメになるんだろー。
つーか、雑巾洗うのはめんどくせーなあ。

・・・・・・・・・って。
ファンヒーターを掃除するのは平気で雑巾を洗うのは面倒くさいっていう矛盾に気づかないくらい酔ってるんだから、やめりゃあいいの。
でも。
ここで止めないところが酔っ払い。
奈良漬ちっくな脳でのシミュレーションは続く。

洗う必要のない物となると、お掃除ブロガー御用達のアレがいいんだよなあ。
あのっ、あのっ、カナさんのブログに頻出するミニミニ雑巾
あーでもなー。
カナさんはマメにミニミニ雑巾を作ってるけど、あたし全然作ってないしなあ。
今、布モノをちょきちょき切ったら、要るモノまで切っちゃいそうだしなあ。
なんてコトを考えているうちにふと、



ティッシュでイケねえかな?






ティッシュがいっぱいあればイケんじゃねえのかな?



って、思っちゃった。
まあでもここまでは、酔ってるワリにはまだ許せる思考回路ではあったと思うんだけど。
クセモノは、ぼんやり思い描いた「いっぱい」という量。
ティッシュが10枚なのか100枚なのか、具体的には全く思い浮かんでいないという部分。
そして更に悪いことに。
試供品のシャンプー同様、4畳半の部屋に、大量のポケットティッシュがあることを思い出してしまった。


シャンプーの段ボールを引っ張り出した時に見ちゃったんだよねー。




(袋1+段ボール箱×2)



酔った女の動きは止まらない。
早速、一番取り易い場所にあった紙袋を部屋に持ってきた。




(酔ってるけど新聞を敷くのは忘れなかった)



おそるおそる、袋の中身を覗いてみる。
持ってくる前に見ろってカンジだけど、持ってきてから覗いてみる。




(この黄ばみはヤニです)



心の中で、「きったねえなあ、おい」とツッコミつつ、それでも動きは止まらない。
眠くなるまで止まらない。






中に入っているのは大量の封筒だ。



こんなモノが家にある理由は、シャンプーの試供品の経緯と大差ない。
仕事で関わった新築マンションの販売プロモーションの規模が、クライアントの事情により大幅に縮小されることになり、プロモグッズが大量に余ってしまったことがあった。
余ったものは廃棄されるのだが、その中で唯一使えるモノだったコレを、クライアントは、「家に持って帰ってもいいよ。使えばいいじゃん」と言ってくれたので、あたしは喜んで持って帰ったのだった。






封筒の中には、数種類のフライヤーとポケットティッシュが入っている。
そう。
元日の早朝にあたしは、この封筒をビリビリ破り、中からティッシュだけを抜き取る作業をし始めてしまったのである。




(この黄ばみもヤニです)



封筒の隙間に人差し指を突っ込んでビリビリビリーっと破り、






口の開いた封筒を軽く振ると、






ティッシュが出てくる。
ティッシュだけ抜いたら封筒はゴミ袋へ。
この作業を延々続けた。






手がベトベトになったりしないからか、シャンプーの時とは違い、作業はとても捗ったのだが、途中から封筒の口を、手ではなくカッターで開き始めると、作業の効率がアップし、なんというか、すごく楽しくなってきた。
実際、夏目父がトイレに行こうと廊下に出た時、あたしの部屋からは、

「シュ!!」 ←カッターで切る音
「ポロリーン」 ←ティッシュを出す音
「バサ!」 ←封筒をゴミ袋に捨てる音
「ガバっ!」 ←新たな封筒を手にとる音

と楽しそうに呟く、あたしの声が聞こえてきたらしい。
・・・・・・元日の早朝から何やってんだ。






作業は着々と進み、初めに持ってきた紙袋の中身は全て処理し終わった。
次だ、次ー!






このあたりではもう、本来の目的は忘れていたと思われる。
結局。
紙の手提げ袋に入っていた封筒と、段ボール2箱に入っていた封筒の全てからポケットティッシュを抜き取ってしまった。






作業が終わったのは、元日の朝6時。
布団を埋め尽くした約300個のポケットティッシュを眺め、悦に入る。
しかし。
一気に全てをやり遂げた満足感と共にあたしに訪れたのは、猛烈な睡魔だった。





・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。





寝 る 場 所 、 ね ー し 。





こうしてあたしは元日から、夏目父の部屋に寝るハメになったのだった。



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 次はいよいよファンヒーターの掃除。むせ返る画像満載でお送りします。