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片付けられない女魂     Amazon
(扶桑社 / 全503頁 / 書き下ろしアリ)

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モノグサな父とモノグサな娘が長いこと2人だけで生活しているせいか、我が家には、「話し合って決める」という習慣が全くない。
細かいことから大きなことまで、敢えて話し合わなくとも、相手の性格や嗜好を考えれば自ずと結論が出るわけで、だからあたしは夏目父がひとりで決めたことに文句を言ったこともないし、あたしが決めたことに文句を言われた記憶もない。
・・・・と言うとまるで息のピッタリ合った親子のように読めてしまうけど、そんな和やかなものではない。
モノグサな父とモノグサな娘は、「話し合って決める」ことがメンドウで、かと言って文句を言うのもメンドウなだけだ。
でも。
今までずっとそんな調子で、揉めもせずに暮らしてきたけど。
でも。
今回ばかりは文句を言いたい。




あたしの部屋のファンヒーターの調子が悪くなったのは大晦日のことだった。
その事象をネットで検索すると、どうやらあたしに出来ることは「溜まった埃を取り除く」ことくらいらしかった。
でもそれで不具合が解消される場合も多いと書いてあったので、埃に語り掛けながら掃除をしてみたのが元旦の深夜。
今まで火事にならなかったのが不思議なくらい、大量の埃を取り除いた結果、ファンヒーターは正常に動くようになった。
が。
給油したのがきっかけでまた、調子が悪くなった。

中途半端だったとはいえ埃はだいぶ取り除いていたから、復活させるためには修理に出すしか術はないように思われた。
でも、96年製の10年モノであることも考えると、「いよいよ寿命」と諦めたほうがよさそう。
というわけで。
あたしはようやく新しいファンヒーターを買うことを決めた。


壊れた家電を買い換えるのは、それが何であろうと概ね、急を要す。
いくら暖冬とはいえ、ファンヒーターが何日もないのはツライ。
なるべく早く買い替えたかったのだけれど、年始の挨拶回りやら新年会やらで、じっくり検討する時間も、買いに行く時間もなかった。

「ファンヒーター、やっぱりダメだったんだよね」
「ふうん」
「買い替えようかと思ってる」
「ふうん」

という、何ともつまらなそうな会話を夏目父としつつも、あたしは何日もファンヒーターを買わずにいて、連日リビングに入り浸っていた。
そんな娘の様子を見て、「よし。いよいよ俺の出番か・・・・」と、夏目父が思ったかどうかは知らないが、ある日あたしが家に帰って部屋に入ると、布団の上に見慣れない箱が置かれていた。




(何でも布団の上に置くな)



一瞬、「カエルかっ!?今度はカエルを箱に詰めやがったか?」とも思ったが、箱に描かれた商品名を見て気がついた。
どうやら。
夏目父がファンヒーターを買ってきてくれたらしい。

「そういえば夕べ、スピーカーだか何だかを買いに家電量販店に行くような話をしてたから、そのついでに買ってきてくれたんだろう」と想像はついたものの、でもあたしは、買ってきてくれと頼んだ覚えもないし、まして、どういうのが欲しいのかを伝えてもいない。

チャレンジャーだなあ。
「こんなのが欲しかったんじゃないのにぃー!」って言われたらどうするんだろ。
まあ、あたしがそういうことを言わないって判ってるから買ってくるんだろうけど。
でも、フツーは訊くよなあ。
・・・・などと思いながらふと部屋の片隅に目をやると。




(ここに置けばいいじゃないか)



今まで使っていたファンヒーターがない。
「捨ててくれたのかも!」と一瞬思ったが、夏目父がそこまでするハズはない。(後に、4畳半に押し込んであるのを確認)
まあでも、買ってきてくれて、4階まで持ってきてくれ・・・・るワケがないから配達して貰ったんだろうなあ。

さて。
開けてみるか。


















おおおおお。
カワイイじゃないかー。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。
でも。







な 、 な 、 な ん で 「 赤 」 ?



すごくカワイイけど、4色のうち、どーして赤を選んだんだ?
夏目父の趣味でもないし、叔父の趣味でもなさそう。



 



まあ、いいか。
部屋が片付くのはいつになるかわかんないし、どんな家具を買うのか、どんな部屋になるのかもわかんないけど、赤いファンヒーターもなかなかカワイイし、こーゆーのが部屋にあってもいいか。



さて。給油だ!給油!
ちびっこくて赤いけど、部屋は暖まるのか?
そんな疑問を抱きつつ、タンクに灯油を入れて「運転」ボタンを押し、暫し待つ。
お。点火した!
あー、充分暖まるじゃーん。
しかもすげー静かじゃーん。
いいねーいいねー。



そのまま布団の上に座り込み、久しぶりに自分の部屋でゆったりと、昔のドラマのビデオを観た。






くぅーーーーー。
やっぱ、これの北村一輝、いいよなあ・・・・。(うっとり)
主題歌、『アラクレ』だし、挿入歌は『勝手にしやがれ』だし。



 



いいねーいいねー。



・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。
3話まで見終えて、ようやく思い出した。

あたし。
帰ってきてからまだ1回も、とーちゃんの顔、見てないや。
っていうか。
「ありがとう」って言ってないや。(サイテー)



慌ててリビングへ行く。
夏目父はその日も、叔父と2人で呑んだくれていた。


叔父   「おかえりー」
あたし  「ただいま」
夏目父 「帰ってきてから3時間も経ってるけどおかえりー」
あたし  「ただいまー。とーちゃん、ありがとねー」
夏目父 「ん?何?」
あたし  「ファンヒーター。買ってきてくれてありがとね」
叔父   (大げさに)「え!もしかして開けちゃった!?


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。
うううう・・・・。
メンドクセぇ・・・・。
昼間はちゃんと働いてンだろーなー?」と疑いたくなる酔っ払いのオッサン2人が小芝居を始めやがった。
・・・・・相手するの、超メンドクセえなあ・・・・・。


そう思いつつ、一応返事をする。


あたし 「うん。開けちゃったし灯油も入れちゃったよ」(棒読みで)


オッサン2人の小芝居は続く。


夏目父 「えー!アレ、預かりものなのに!
叔父   「隣の家に配達されたものなのに!


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。
オッサン、オッサン。
そんな、ちびまる子ちゃんやサザエさんやクレヨンしんちゃんみたいな話、いらないから。






・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。
オッサン2人は確実に、あたしの「えーーーーーー!?」という言葉を待っている。
うう・・・・。
メンドクセーなあ・・・・。
でも、あたしが言わなくちゃオチない。
いや、言ったところでオチやしないけど、でもあたしが言わなくちゃ、話が先に進まない。
ああ、ホントにメンドクサイ。
で、でも言ってみた。



「えー」
(棒読みで。短く。敢えて短く)






「うっそなのね~ん」
(オッサン2人が声を合わせて嬉しそうに)
(兄弟仲がよろしいようで何よりです)



はいはい。
小芝居も終わったようなので本題に入る。


あたし  「赤いの買うなんて意外だった」
夏目父 「カワイイでしょ」
あたし  「うん」
叔父   「キティ色だよね」
あたし  「え!それで「赤」にしたの?」
叔父   「ううん」
夏目父 「最初は黒にしようと思ったんだけどさ」 ←何故かすごく楽しそう
叔父   「ぁ・・・・・」


叔父は話を止めたかったらしい。
しかし、酒で滑らかになった夏目父の口は止まらなかった。








「女の人って歳をとると赤が好きになるっていうから・・・・あ゛っ」








・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。
「あ゛っ!」じゃねーよ。
っていうか。








ふ た り と も 、 出 て け 。
 






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