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片付けられない女魂     Amazon
(扶桑社 / 全503頁 / 書き下ろしアリ)






これだけパソコンやケータイが普及していれば、職場で字を書く機会は減るのが普通だろう。
実際あたしが勤めている会社でも、今では「手書きでなければいけない書類」というのがほとんどない。
クライアントのところへもノートパソコン持参で行くし、会議室で打ち合わせをしている人たちの目の前には必ずパソコンがある。
パソコンを使わずとも、最近のケータイはToDoリスト管理だってできるわけで、「パソコンとケータイさえあればコト足りる」と言う人は多い。

一番最近読んだこの雑誌にもそういうコトが書いてあった。
ビジネスマン向けの雑誌ってすげえ勉強になるっス。

ところが。
こんなデジタルな時代だというのにあたしは未だに、やたらと字を書いている。
メモるのもノートに手書き。
To Doリストもノートに手書き。
1週間で1本のボールペンを使い切るくらい字を書いている。

パソコンが使えないわけじゃないし文字を書くのを生業にしているわけでもない。
かといって、別段ポリシーがあってのことでもない。

頭で考えたことを文章にする時、キーボードを叩きながら考えをまとめるよりも、一旦紙にペンで書いたものを見ながらパソコンを使って清書する方が、あたしの場合は効率がいいというだけの話。
アナログな習慣が抜けきらないというより、単なる癖だと思う。

手書きでメモるのが癖になっているので、目の前にパソコンがあろうとも、手元にケータイがあろうとも、思い立ったらすぐノートを開いて書き留めている。

この癖。
同世代くらいまでの人には「アナログだ」とか「二度手間だ」とか言われるけれど、デジタルにイマイチ馴染めない世代の人にはウケがいい。
年上の上司やクライアントの目の前でこれをやると、彼らが言った要望なり即答できない質問なりを、すぐさま目の前で書き留めているのが見えるわけだから、「よし。書いたな。忘れないな」と、安心するらしい。














(最近書いた中で一番綺麗な字)





想像してみて欲しい。

商談はスムーズに終始和やかに進んでいる。
仕事を依頼する会社の担当者は三十路の女。
彼女がおもむろにノートを開く。
「ふむふむ。メモを取るんだな」と思い彼女の手元を見つめると、彼女は目にも留まらず速さで、字・・・・?のようなものを書き始めるのだ。

「それ、何て書いたか自分で読めるの?後で見直して読めるわけ?つうか。大丈夫か?コイツ」と不安になりやしないだろうか。
多分、なる。すげー不安になる。



つまり。



あたしはクライアントを不安にさせるほど字が下手くそだ。



ちなみに。
上司はあたしの字を「象形文字」と言い切り、同僚はあたしが字を書くことを「お絵書き」と言う。
だからあたしは、自分用のメモにしか字を書かない。
後々、誰かの目に留まるような物には字を書かない。
というか。
あたしが一筆入れただけで、「どんな書類も信憑性がなくなる」という理由から、上司に「書くな」と言われている。(本当です)


そんなワケで。
たとえそれが夏目父の会社の書類で、後々人の目に触れる可能性が限りなくゼロに等しかろうと、等しいだけでゼロでは無いなら、どうしても手書きは避けたい。



以下、延々ファイリングの手順が書かれています。
字が汚くて、
会社の書類を5年も10年もファイリングせずに山積みにしている方必見☆

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。

そんな人、いませんか。そうですか。



まず手始めに作るべきだと思われる月毎のインデックスシールも手書きするわけにはいかないのだが、我が家に大量にあるインデックスシールは1シートがハガキサイズよりずっと小さい、専用機でしか直接印字出来ないタイプのもの。




部屋にあるプリンターで直接印字できるのを買ってくればいいんだろうけど、



そうすると部屋にあるインデックスシールがゴミになってしまう。
・・・・け、経費節減、経費節減。
というわけで、今あるインデックスを使うことにし、シール一片の大きさを測り、それに合わせてExcelでこんな表を作った。



で、A4の紙に印刷する。




線の通りカッターで切って、それを



スティック糊でインデックスシールに貼る。
貼り終えたら今度は、仕切り用の紙を用意して、インデックスシールをピトピトくっつけていく。



(何の根拠もなく5年分作ったため、すぐに途方に暮れます)


で。
仕切り紙の一番上に、年度と期間を書いたフセン紙を貼り、





(字が汚い上に間違えちまった)


魔境から持ってきた書類を横に置いて、



(これでも全体の1/30程度)


書類1枚手にとっては、該当年月の紙の間にヒョイっと挟む。




これを延々繰り返せば、大して散らかりもせずに大量の書類が整理できるハズ・・・・だった。
が。




始めてからほどなくして、6年前の領収書が出てきたため、早くもやる気を無くす。
が。
「ここで挫けてはダメだ!」と思い直し(えらい!←夏目基準)、インデックスが作れてない6年以上前の書類は一纏めに横に置いておくことにして、5年分の書類をせっせと挟みこんでいった。


でも。
また挫けた。



(336,000円。前回の領収書の2日後の日付)


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。

ひと月の間に60万と33万6千円の領収書が回ってくると言うことはつまり、夏目父は今月だけで93万6千円の買い物をしていることになる。

こ、こ、これは・・・・。
と、と、問いたださねばなるまい・・・・。

っていうか。


お 前 は セ レ ブ か !


散財親子ではある。
でもなんつーか、父と娘では、散財の桁が違いすぎる。
今月あたしが買った余計な物と言えば、ストッキングぐらいなもんだ。



えへへへへ☆ ←誰か殴ってください)


しかし。
男というものは、どーしてこーも時計が好きなんだろう。(33万6千円も時計屋の領収書だった)
まああたしも、どんだけTuche が好きなんだ?っつう話だけど、それにしたって桁が違いすぎる。
いやいや。
値段はまあいい。
自分が稼いだ金で買ってるワケだし、お互いが買うものにいちいち文句つけてちゃあ、大の大人が二人っきりで暮らしてはいけない。
しかし、だ。
領収書を貰ってきてそれを、「あわよくば経費で落ちンじゃね?」と期待して、ガソリン代やら何やらの領収書と一緒に、ドサクサ紛れにあたしに寄越す、セセコマシイ態度が気に入らない。

やはりこれはしっかり問い質さねば。
しかし。
夏目父は、インフルエンザでウンウン唸ってるハズ。
こんな時に「金使いすぎなんじゃ!」とか、「腕は2本なのにそんなに時計買ってどーすんだ?」とか、「古いのから売っ払うぞ、ごるぁ!」とか、「ねーねーあたしにタグのKIRIUM買ってよ」とか、「つうか、領収書回すんじゃねーよ」と言っても聞ける状態じゃないだろう。



・・・・い、いや、待てよ?
さっきリビングで物音がした気が・・・・。
もう起きても平気なのか?
熱、下がったのか?
あ。
あ。
あっ。
お腹空いてるだろうに、おかゆ作っておいたの見つけたかな?
あ。
「ジュースあるよ」って言ってないけど気がついたかな?
飲んでいいのになー。
ジュース、飲みたいだろうなー。



夏目父の具合を見に、リビングへ行った。
そしてあたしは、リビングのテーブルに置かれた2つのゴミを見て、泣いた。
いや、涙は出ていないけど、心の中でワンワン泣いた。
号泣した。






(テーブルの上にあったモノ)





うぇっ、うぇっ、うぇっ・・・・。
一緒に食べようと思ったのに・・・・。
うぇっ、うぇっ、うぇっ・・・・。
いくら病み上がりだからって、おっきいハーゲンダッツ、2個とも食べることないじゃないか・・・・。
うぇっ、うぇっ、うぇっ・・・・うぇーーーーーーーん!





そんなあたしの心を知ってか知らずか、って絶対知らないんだけど、薬で熱が下がり調子良くなっている夏目父が言った。



「ねえ、これ」





「 2 個 し か な い の ? 」





2個しか?
2個しかー?
今、「 2 個 し か 」って言ったか?オッサン。









お 前 は セ レ ブ か っ っ っ っ !
(ハーゲンダッツ(大)×2個をセレブの食べ物だと思ってるあたしはド庶民です)









この一言にカチンときたあたしは、無言でおかゆを暖め直して、ジュースと一緒にテーブルに置き、「おかゆとジュースはねえだろ」と言う夏目父の言葉には耳を貸さず、部屋に戻った。
そしてそれから14時間。
延々、無言で、頭の中にハーゲンダッツを思い浮かべながら、書類の整理を続けることになったのだった。





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 次回は収録裏話、そしてファイリングの話の続きを書こうと思っております。