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片付けられない女魂     Amazon
(扶桑社 / 全503頁 / 書き下ろしアリ)




昨日の夜のこと。
出張中の同僚・吉田から電話が入った。
出張から戻ってきたが会社には戻らないから、近くのドトールに来てくれと言う。
「渡したい物がある」と。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。
前もって言っておくと。
「会社の人には内緒で☆」というような色っぽい話では、ない。



仕事を終えてドトールに行くと、あたしを見つけた吉田が手招きしていた。
コーヒーを買わずに吉田の前に座ると、拍子抜けしたような顏で吉田が話し出した。



「なんだ。今日呑みかよ」
「うん。呑み」
「会社のヤツとだろ」
「工藤さんと一条と。一緒に行く?」
「行かね。俺、工藤と一条と一緒に呑みたいわけじゃないもん」
「サシが良かったんだね」
「まあね」



(念のためもう一度。色 っ ぽ い 展 開 に は な り ま せ ん )



「で、何をくれるの?」
「あ。そうそう」
そう言って、吉田がカバンの中から取り出したのは。







 






女友達や会社の後輩に勧められ、『お部屋をキレイにするブログ』のカナさんも「コレを見ると夏目さんと想いを共有できそうな気がします」と言ってくれた、『 働きマン 』。
既にマンガ喫茶で読んだけど、仕事欲が減退した時や、仕事が原因で精神的にキテる時にこれを読めば、「さーて、あたしも仕事がんばるかー」という気になれそう、と思っていたもの。
「買ってみようかなー」と思ったけど、「でもなー。こうやってモノが増えるんだよなー」と思ったのでマン喫へ行き、しかし、マン喫で読んだ後も「買おうかなー。でもなー」と思っていたもの。

そんなあたしの葛藤(・・・・という程大げさなモノでもないが)を全く知らないハズの吉田が、何故かあたしに『働きマン 』をくれるらしい。

「ところでどーしてあたしに?」と思っていたら、吉田は「ホワイトデー」と言い、「で、なんで『働きマン 』をチョイスしたわけ?」と思っていたら、吉田は「好きそうだなあと思って」と言う。



(シツコイですが。色 っ ぽ い 展 開 に は な り ま せ ん )



「本の整理を始めたところなのにぃー」とは思わなかった。
「買わないためにマン喫で読んだのにぃー」とも思わなかった。
というか。
語弊があるのを承知で書くと。
「片付けているから」「モノを増やさないようにしてるから」なんていう理由で、親しい友人や家族の想いを「迷惑」と思ってしまうくらいなら、そうしなければ部屋が片付かないというのであれば、あたしは一生汚部屋住まいでいい。



目の前に置かれた3冊のコミックを見つめ、「吉田ってば、あたしに「老けたな」って言ったクセに、出張中もホワイトデーのこと気になってたんだなぁ。「アイツには何がいいのかなあ?」って考えて買ってくれたんだなあ」と、ニヤけてしまうのを我慢していたら、吉田が語りだした。





「読んだことあった?」
「うん。ちょっとだけ」 ←ほんとはマン喫でガッツリ読んだ
「そっか。読んだくせに気づかねーのか
「何を?」





このあたりから、風向きが怪しくなった。






吉田は語る。
「その主人公の女、仕事してる時は確かに、女を忘れてるんだけどさ」


・・・・・・・・・・あ・・・・あぁ・・・・。
もういいよ、吉田。
お前の言いたいことは判った。


「でも、彼氏と別れて泣いたりさ、そういう部分はまだあるわけよ」


・・・・う、うん。つーか吉田。もう判ったから。


「お前はさ、そういうの、ナイだろ。もうすっかりナイだろ


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。





黙りやがんねーかな、この男。





しかし吉田は続ける。
「ま、この主人公とお前じゃ、歳も違うけどさ。でもお前、28歳くらいの時でも、もうそんなだったよな?」


・・・・「そんな」って「どんな」だよ・・・・。


「男と別れてもどーってことなさそうで。男と別れたことより麻雀で負けたことのほうが精神的ダメージがデカくて」


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。


「つーかお前は昔から、部屋で寝転がって新聞読みながらケツ掻いてそうだったもんな」


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。
ここでようやくあたしは口を開いた。










「 掻 い て ま す が 何 か 」






(「しかもこんな汚部屋でな」とは言えなかった)



吉田は、「やっぱりな」という顔をしたものの動じることもなく、目の前にあったコーヒーを飲み干すと立ち上がり、「あ。あともう1つあったんだ」と言ってKIOSKの袋をテーブルに乗せた。









「え!これ、くれるの!?いいの?いいの?すげー!チー鱈がいっぱいだー!嬉しいー!」と、我を忘れて興奮しまくるあたしを残し、吉田は立ち去・・・・ればいいものを、最後にまたひとこと言いやがった。



「じゃあな。呑み過ぎんなよ、オッサン




・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。
もちろん夕べは悪酔いした。
吉田のせいで悪酔いした。
つうか、吉田。




説 教 す る な ら 呼 び 出 す な 。




そうだ。
前回の記事に書いた夏目父の非協力的な態度について、母親にお伺いを立ててきました。




母親は、「とーちゃんを当てにするお前がバカだ」と言っていたような気がしました・・・・。





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