小学4年の姪は今、『 ドラゴンボール 』 に夢中だ。
つい数ヶ月前までは 『 オシャレ魔女 ラブ and ベリー 』 にハマっていたハズで、その前は確か『 たまごっち 』 だった。
が、もうどちらにも全く興味がないらしい。
かろうじてリラックマだけはまだ好きらしいが、それでも、雑誌『 ねーねー 』を義兄が買ってきた時の姪のリアクションは、以前のそれとは比べものにならないくらいアッサリしたものだった。
そんな姪は会うたびに、「スーパーサイヤ人になりたい」だの、「でも自分には物凄い怒りや憎しみがないからなれないんだ」だの、「自分はアサリが嫌いだから、アサリを心の底から憎めたならサイヤ人になれるかもしれないのに、時々食べたりするからダメだ」だのという訳のわからない話を、子ども嫌いの三十路の叔母に一生懸命する。
しかしあたしは、『 ドラゴンボール 』 を読んだこともなければ見たこともない。
あたしが 『 ドラゴンボール 』 について知っていることといえば、主人公の喋りが、ほんのり風大左衛門チックだということと、
汚散部屋から2ヶ月半で脱出し、維持編を経ていよいよ「収納編」に突入する方がよく飛ばしている「元気玉」なるものが、『 ドラゴンボール 』 に登場する何からしい、ということくらい。
その程度の知識しかないあたしに姪は、ベジータの魅力を40分も語る。
勘弁して欲しい。
マジでマジで。
で、この週末、姪と会った時のこと。
案の定姪は、「ちょっと息を吐いただけで、人や建物を吹き飛ばせるくらい強くなりたい」とかいう話をし始めた。
「そんな人が近くにいたら迷惑だなあ」
「敵を倒す時にだけ使うんだよ」
「敵って誰。アサリか?あんなちっちゃいのをやっつけるためにビル吹っ飛ばすなんて、どんだけ不器用なんだよ。食えば終わりだろーが」
「すっごいおっきいアサリが襲ってくるかもよ」
「それ、ハマグリかホッキ貝」
「じゃあ、アサリじゃない敵が現れるかもしれないからその時に使うの」
「ホタテ?つーかまたドラゴンボールの話かよー。ラブandベリーはどうした」
「好きじゃなくなった」
「どーして」
「だって、魔女って微妙だし。いるわけないし」
「それ、『 ドラゴンボール 』 だって一緒でしょ」
「でもベジータは優しくて強いの。魔女になりたいとは思わないけど、ベジータにはなりたいの」
「じゃあ、ベジータっていう芸名にすりゃあいいじゃん」
「そぉーじゃなくて!」
あたしが子供だったらこんな受け答えをする大人はイヤだ。
姪に限らず、どんな子供にでもこんな風に話すあたしは、だけど何故かやたらと子供から好かれる。
プロポーズされたこともある。
その後も、『 ラブandベリー 』を引き合いに出しながら 『 ドラゴンボール 』の素晴らしさを延々と語る姪の話を総合すると、どうやら姪にとって今は、『 ドラゴンボール 』 の世界のほうが共感したり胸を打たれたりすることが多い、ということらしい。
そして、『 ラブandベリー 』は「子どもっぽい」のだそうだ。
・・・・・・・・・・・・・・・・・そうか。
そんな姪の話には全く興味ないけれど(酷い)、でも、魔境に棲む魔物と戦っていた時、あたしも似たような感覚を味わったことを思い出した。
魔物の棲家を開けた時点であたしは、実は、350冊全てのマンガを読んでみようと心に決めていた。
久ーしぶりにどっぷりとマンガの世界に浸って、笑ったり泣いたりしたかった。
が、10冊20冊と読み進めて、はたと気づいた。
あんまり面白くないのだ。
語弊のないように言うと、魔境にあったマンガが面白くないわけではないと思う。
年齢の問題だろうと思う。
だいぶ三十路ってるあたしはもはや、「先輩と幼馴染に同時期に告白され、2人の間で揺れ動く女子中学生」や、「同じ部の先輩が好きだけどあたしの親友も先輩のことが好きなんだって・・・・とモジモジしている女子高生」や、「大好きなロックバンドのヴォーカリストと付き合うことになったのはいいけれど、障害が多くて困ってる大学生」には、全くちっともさっぱり心が動かなかったのだ。
というわけで。
泣けたマンガ数冊を残し、後はイーブックオフ
空のダンボールを準備し、読み終わった順に入れていく。

(このあたりは、読みたくなったらマンガ喫茶へ行くことにした)

(絶倫な主人公が、昔の男を彷彿させるため処分)
数日がかりで全て読み終えた頃には、枕元にダンボールの塔が出来ていた。

(震度1でアウト)

こういう、ISBNやバーコードのない物は引き取ってくれない。

(行き場のない魔物たち)
引き取って貰えないと判断できた21冊は全て資源ゴミへ。
そしてこれは。

夏目父が「欲しい」というので、全27巻、夏目父の部屋の本棚へ収める。
結局、約350冊の魔物のうち、あたしが手元に残したのは、8冊だけだった。

350冊のマンガが入っていたバカでかいダンボールを潰すとその右手には、長年見て見ぬフリを続けていたもの達が、もはや見て見ぬフリなど出来ないくらい露骨に姿を現した。

ポスター・・・・だよなー。
要らないんだけどなー。
でも、いつも行くCD屋の店員がくれるんだよなー。
いつの間にか溜まっちゃってたなー。
とうの昔に三十路で、非モテで、当然嫁にも行けてなくて、料理もできなければ片付けもできない女は、どれだけ好きであろうと、ミュージシャンやサッカー選手のポスターを部屋に貼ってはいけないよーな気がする。
だってー、着替える時、恥ずかしいしー。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。
もちろん嘘です。

幸か不幸か

よし。
これで心置きなく捨てられるっ。
今度CD屋さんでポスターを貰ったら、置き場所なんて考えないで、ソッコーでトイレに貼ろうっと。(やめろ)
さーて、最後はー、埃にまみれたこの箱か。

(この埃はヒドかった。ヒドい汚部屋の中でも特にヒドかった)
中身は、捨てても捨ててもまだまだある、これ。

片付け始めてから今までで、いったい何本のビデオテープを捨てたんだろうなあ・・・・。
っていうか。
一生かかっても見終わらないくらい録り溜めてねーか?
ビデオのラベルには全て姉の字で、あるバラエティ番組の名前が書かれていたが、何年も前に観るのを止めたのを知っていたので、箱のままゴミ袋へ。
ふぅ・・・・。
長かったなぁ。
このスペースが片付くまでは本当に長かった。
パソコンの脇だから、ついついマニキュアやら書類やらを何の気なしに置き続けちゃって、それが山になっちゃって、片付けようと思ったところで、整理すべき物が膨大過ぎて、何度も途方に暮れたなあ。
350冊のマンガを片付けることなんて、終わってみれば「ラクだった」と言えるくらい、それ以前の課程が大変だった。
一旦、ここにある書類を全部抜き取ってファイリングして、でもその後にだって日々領収書や書類は増えるわけで。
それを魔境に放り投げず、その都度ファイリングすることが、なんだかとても億劫で、いちいちタメイキが出た。
今となってはここが部屋の中で一番、何処よりも一番、手をつけるのがイヤな場所だったような気がする。

(魔境の床がようやく見えました)
さてと。
次はいよいよ、魔境の奥の秘境だ。
10年くらいその扉を閉めたことがない、暫定ファイル置き場となっている、変な形の押し入れの片付けに着手だ。

(こんな、使えない形の押し入れ)
物量は大したことないだろうが、とにかく秘境。
なぜなら。
左側の扉の裏に
ワクワクするなあ。
どうせなら面白いものがたくさん入ってるといいなあ。
でも。
(フリではありません。念のため)
「姫母がお祝いに駆けつけてしまえばいいのにね!」という、カツオ姫マニアには堪らないセリフを書きやがった虫博士が、とうとう収納編を開始するそうでーす。(ご本人は明言せず濁してます)
えー。虫博士がカナさんみたいになるのぉー?
・・・・なんか似合わ・・・・げふっげふっ・・・・何でもありません。













