難なく片付けられる人には「言い訳だ」と一蹴されるに違いないが、片付けられない女であるあたしが、部屋を片付け始めてから今日のこの日まで、パソコンデスク脇の魔境をスッキリさせられなかったのには一応の理由があった。
あたしは部屋で、寝てる時とテレビを観ている時以外は大体パソコンデスクの前にいて、ネットをうろついたりブログを書いたりしている。
が、ネット以外にもパソコンデスクでしていることが沢山ある。
パックをしたり眉毛を整えたりマニキュアを塗ったり耳や鼻をほじったり、あとは、夏目父の会社の事務作業全般をしている。
鼻をほじるのはどこでも出来るが、夏目父の会社の給料計算や日々の会計事務はパソコンを使ってやる作業が多いため、長いことパソコンやパソコンデスクが使えなくなると大変な事態に陥る。
夏目父が会社を興して以来、かろうじて関係各位に迷惑をかけずに処理できているけれど、元々あたしは、相手の顔が見えない事柄に関してはやたらルーズで、たとえば、自分の車の自動車税は、車を持って十数年、ただの一度も期限内(例年5月末日)に払ったことがない。
ちなみに。
今年の自動車税は5月31日に払った。
成り行きだったけれど、でも奇跡だ。(夏目基準)
そんなあたしが、夏目父の会社の事務作業を10日分でも溜めようものなら、7月27日までしか描いていない絵日記を机の上に置いたまま8月31日を迎えてしまった小学生のような、なんとも嫌ーな気分になり、嫌ーな気分になったのなら溜まった分を纏めてやればいいだけの話なのだが、溜めたが最後、何かの期限が迫るまで手をつけないに決まっている。
どれだけそれが気に掛かっていようとも、嫌ーな気分のまま、どんどん溜め続けるに決まっている。
あたしは、自分がそんな人間だということを判っているから、世の中で自分自身が一番信用できない。
あたしが。
目に付いた捨てられるものをつまみ上げてゴミ袋へ入れることから始め、マニキュアを集めたり、散らばった書類を見ただけでウンザリしつつ、それでも地味ぃーに書類を抜き取っては1ヶ所に集め続けて5年分のインデックスを作ってファイリングしたり・・・・と、何段階にも分けて徐々に片付けることしか出来なかった理由は。
夏目父の会社の書類のほとんどが集まっている魔境を片付けるにあたっては、日々の会計処理が滞らないことが最重要事項。
パソコンデスク周りに魔境の物が溢れ出て、長らくパソコン前の椅子に座れないなんてことになったなら、「給料未払い」「法人税滞納」なんつーことになりかねない。
つまり。
一気に片付けようと手をつけて、頓挫するのが怖かったのだ。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。
「頓挫するのを前提にしてる時点で間違ってる」っていうツッコミは不可。

新たにカビ取りハイターを買ってきてなんとか壁のカビは取れたけれど、黄ばみが残ってしまった。
でもいいの。
他にも。
すぐにこの押し入れを見限って床板の養生に手を抜いたから、

余計なとこまで白くなっちゃったけど、でもいいの。
ここはいつか、壁板も床板も張り替えるからいいの。
だって。

床板の釘、全部錆びてんだもん。
ただ、変な形の押し入れの全貌を眺めていたら、ぼんやりと、ここをどう使えばいいのか?がイメージできてきたような気もするから、プチリフォームを実行する日までは中身スカスカでいて貰うことにした。
結局この押し入れにあった物の中で手元に残したのは、夏目父の会社の書類が綴られたファイル多数と、汚れの酷かった釣りグッズに、お姉ちゃんが置いていった扇風機。
それと。

押し入れの横に置いていたゴミ箱に入れたつもりが、

実はゴミ箱の横に転がっていた物体。

(汚かった釣りグッズは、綺麗に洗って車に積んだ)
押し入れの下段には、またカビが生えないよう、壁と隙間を作って、

ファンヒーターと扇風機だけを入れ、外していた戸をはめて、押し入れの片付け完了!

(11年ぶりに戸を閉めたの!)
さて。
片付いたのはいいけれど、書類を綴じたファイルの置き場がなくなった。
パソコンデスクはそのうち別の場所に移動するだろうけど、それまでの間は、パソコンデスクの近くにファイルがないと不便。
でも、これについては魔境を片付ける前から考えていた。
思いつくまでには人の800倍くらい時間がかかったけど、でも、決まっていた。

(魔境跡地は約80センチ)
だからファイル置き場は、ファイルを立てて置けて、それ自体が動くのがいい。
キャスターが付いてればいいってことかなあ。
あっさりした作りで、将来的に必要がなくなったら、他の場所で使えるか、もしくはカンタンに捨てられるような物。
そんなことをだいぶ前から考えていて、でも、そういう物を買ってはいけないような気がしてて、魔境への本格着手を意識したGWあたりにはとうとう、「解体した学習机のパーツを使ってキャスター付きの棚を作ればいんじゃね?」と、ぜぇーったいやりもしないようなことを思ったりもした。
が。
そんな時、ある包みが思い浮かんだ。

(今までずっと邪魔だなあと思いながらも、それが何なのか確かめやしなかった)
4畳半で学習机のパーツを丸ノコで刻んだ日に目にした、何故ここにあるのか全く記憶にないこの、薄い箱。
4畳半に散らばった大鋸屑を掃除した後で部屋に持ってきてみると、箱の表には何やらいい感じの絵が描かれていた。

つーか。
あたしはこれをいつ買ったんだろう。
買った記憶なんてねーぞ?
ゆうパックの送り状が貼ってあるってことは通販?
もしかして、酔った勢いでネットで買ったとか?(あるあるー)
だとしたら、いつだ?

(平成14年11月23日って結構最近じゃね?) ←三十路女基準
不在通知にあった日付をもとに、楽天の購入履歴を見てみたり、古い手帳を引っ張り出してみたところ、ようやくこれが家にある理由が判明した。
従弟の結婚式で貰ったカタログギフト。
他にもいろんなものがあったろうに、4年半前のあたしはこれを選んでいたのだった。
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たった4年半前の記憶が欠落している自分の脳が心配だ。
出処が判れば後はカンタン。
組み立ててみるのみ、だ。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。
ま、ま、まあヨシとしよう。
どうせ暫定だし。
今までずっと邪魔だった物が片付くわけだし。
一石二鳥って思えばいいや。
というわけで、組み立てたキッチンワゴンを魔境跡地に置き、

下の段にはファイル類を入れて、上には、郵便物やハガキや切手を突っ込んでいるカゴを乗せ、長かった魔境との戦いが本当に終わった。
みなさんハンカチのご用意を。
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いや、やっぱり今回もハンカチは必要ありません。
でも、脳内BGMの準備だけお願いします。
それでは張り切ってどうぞー。

(ようやく部屋らしくなってきた気がした)
くぅ・・・・・・・・・・。
長かったああああああーーーーーーーーー!
魔境の片付け、これまで何回やめようと思ったかわかんないよー。
あたしが魔境を見るたびにタメイキついてたの、お前は知ってた?



















