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片付けられない女魂     Amazon
(扶桑社 / 全503頁 / 書き下ろしアリ)



11年かけてせっせとゴミ屋敷のような汚部屋を作った片付けられない女には、部屋を片付けるにあたって、ぼんやりと頭に思い描いていた段取りがあった。
とは言っても、長年、「捨てる」とか「片付ける」とか「収納する」っていうことをせずに暮らしていたから、「こんな順序でやればいいんじゃないかなあ」程度の本当にぼんやりとした段取りで、それが正解だという確信はないし、また、それをやり遂げられる自信は全くなかった。



まず最初にやるべき・・・・なんじゃないかなあ・・・・?と思ったのは、捨てること。
で。
片付け始めてすぐに、捨てる基準が判らず途方に暮れた。



「必要なのか?必要じゃないのか?」を基準にすると、会社に着ていく服と持っていくバッグと化粧品と下着とパソコンとテレビさえあればいいような気になったし、「○年間使ってない物は捨てる」を基準にしても、ゴミ屋敷のような汚部屋に溢れかえった物のほとんどは、何年も使っていない物ばかり。
どう考えても、生活必需品以外の物は捨てる、という結論に至ってしまう。

でも。
部屋が片付いたら、気に入ったソファを買ってゆっくりと本を読んだり音楽を聴いたりしたいし、たまにはアルバムを開いて昔の自分を笑いながら見たい。
あと、昔録ったドラマのビデオを見ながら、「あーあー、この頃ってこの俳優引っ張りだこだったよなあ」とか、昔とは違った見方をしたい。
・・・・と、片付いた後に自分の生活スタイルが変わる前提で考えると、途端にいろんな物が必要に思えてくる。
時々、片付けずに過ごした日々を振り返ると、これまで十何年も余計な物を買い続けたんだから、これまで買い溜めた物を全部使い切ろうと思ったりもした。



というか。
部屋にどのくらいの物があるのが標準なのかが全く判らなかった。
今となってみれば標準を求めたことが間違いだったと思えるが、ブログを始めてから数ヶ月は標準を探す日々だったように思う。
自分の標準は自分で定めなければいけないんだと気付いたのは、ここ数ヶ月のことだ。
でも実は未だに、基準も標準も判っていない。決めていない。



結局のところ、片付け始めて9ヶ月経ってもあたしは、「片付けられる女」にはなっていないし、未だに生活すること自体メンドクサイと思っている。
でも、たったひとつだけ、変わったことがある。

自分の部屋にちょびっとだけ興味が出てきた。
逆に言えば、少なくともこの11年間、自分の部屋には全くちっともさっぱり一切、興味がなかった。





さて。
8畳間の片付けも残るは一ヶ所のみ。






下段に少し残ったのは10数枚のレコードだったのだが、これは4畳半にもかなりの量があるから、捨てるのか売るのか取っておくのかはゆっくり決めることにして、収納家具の上に乗っている物の片付けに着手した。

まず、左手にある雑誌やフライヤーの入ったファイルをよけ、次に、夏目父には「俺より大切だろ?」と言われている、HDD DVDレコーダをテレビの上に移動すると、棚の上は2つのダンボール箱だけになった。






何年か前、床に積んでた本が雪崩って、「チョーメンドクセ」と思いながらダンボールに詰めた記憶があるが、どんな本を詰めたのかは覚えていない。
でも。
部屋を片付け続けてきて、見つからなかった本がある。
「うん、あれだ。あれが入っているハズだ」と確信してフタを開くと。




(私信:Sさん!やっと見つかりました!『魍魎』もありましたーーーー!)



なんかじーんとくるわー。
一時期は何度も何度も繰り返して読んでたのに、ダンボールに入れたが最後読まなかったもんなあ。
よぉーぅし。
部屋が綺麗になったらソファに座ってこれを読んで、最近やたら、「ねえ、俺のビーサン知らない?黒いヤツ。なーんでないんだろ?お前捨てたんじゃね?」ばかり言っている夏目父に、「この世には不思議な事など何もないのだよ、関口君」って言ってやろうじゃないか。



・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。



黒いビーサンは、去年捨てたんだけどね。
しかも、捨てたのはあたしじゃなくてお前が自分で、だからね。



とにかくこれで最後だ。
これで部屋にある物ぜーーーーんぶを見たんだ。
何がどれだけあるのか、ぜーーーーーんぶ把握したんだ。
ちょーっと心にモヤモヤが残ってるけど、でも、部屋にある物をひとつひとつ飽きるまで眺めて、沢山の物を捨てて、9ヶ月かけてようやく、ゴミ屋敷みたいだった8畳間が、「残しておきたい物だけしかない部屋」になったんだ。



しかし、すっげえ時間かかったなぁ・・・・。(しみじみ)
最初に部屋のゴミを捨ててから9ヶ月も経っちゃったよ。
何しろゴミの量が尋常じゃなかったから、長期戦は覚悟してたけど、9ヶ月かー。




・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。





早 く ね ?
(誰か思いっきり殴ってください)





よし。
後はこの家具を解体して切り刻むだけ。
学習机を解体した時の要領でやればちょろいちょろいー。 ←コイツ、すぐにヘコタレます



側面の板に足をかけてぇー




(靴下+スリッパは怪我防止用のつもり)









うりゃーーーーーーーーーーーーっ!









・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。









お゛りゃああああーーーーーーーーーーーーっ!









・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。









ど゛りゃああああーーーーーーーーーーーーっ!









・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。









ビ ク と も し ね ー し 。







肩の付け根と肘と膝と股関節が一気に外れてもおかしくないくらいの力を加えても、側板と棚板に僅かな隙間は出来はするものの、学習机の時とは違って一向に、バキっと外れる気配がない。
そしてあたしは。



「道具を使えばいい」ということに、気づきやしねえ。



結局、側板がバキっと外れるまで、40分もかかった。




(気分は大山倍達かウィリー・ウィリアムス)



あまりの疲労でその場にへたりこみ、外れた側板にふと目をやると、なかなか外れなかった理由がそこにあった。




(接合部が全て金属だった件。金属に勝ったよ、俺!)







(どう見ても「ツマル」です)






この金属を緩めたらラクに外れたんスね。



・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。
あたしの40分にも及ぶ死闘は何だったんだ?なんてことは考えちゃいけない。
まともに考えると己のアホっぷりに泣きたくなるから、ここはひとつ、頑丈な我が身を褒め称えて次に進もう。



・・・・・・・・・・・・あ゛。




(上のほうは埃。下はカビ)





はいはい。どーもー。






(エコクリーニングって何)



窓際のカビが取れるまでの間、学習机の時同様、解体して出来た板を4畳半で、電動丸ノコを使ってゴミ袋に入るサイズに切り刻むことにする。






音は強烈だけど、身体がボロボロな今、手でギコギコやってなんかいられない。
窓を閉めきり、なるべく音が外に漏れないように注意して、











電動丸ノコ、スイッチオーン!







(1秒後)







あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛っっっっっっ!!!!!!











また、シート敷かねーでやっちゃった!!!!!
(学習機能ナシ)












(一瞬で、カブトムシの幼虫がいそうな住環境になった)



・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。
学習しねえ女だな、あたし。なんてことは考えちゃいけない。
まともに考えると己のアホっぷりで死にたくなるから、ここはひとつ、8畳間に戻ってテレビの後ろ側も掃除しよう。そうしよう。






・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。
カビが生えてそうだなあと思ったのに生えてなくて、「なーんだ。カビ、ねえのかよ」と安心したくせに、何故か絨毯養生のために新聞紙を敷いて、カビ取りハイターをシューっとやるなんて、お前の掃除用洗剤はカビ取りハイターオンリーかよ!つーか、癖かよ!習慣かよ!なんてことは考えちゃいけない。いけない。
つうか。
どーしていつもいつも、液体の染み込みやすい新聞紙で養生するのか、自分で自分がわかんね。



でも、この9ヶ月、ずぅーっとこんなんだったんだよなあ。
要領が悪くて、頭の回転が鈍くて、なーんでこんな風にしかできねーんだろ?って、自分で自分が理解できなかったんだよなあ。
そんなんで、よくまあここまで来たもんだ。



4畳半に戻り、板の切断作業を再開する。




(結局また、全て電動丸ノコで切断)



いいのいいの。
どーせ4畳半の絨毯はもうダメなんだから、大鋸屑が積もるくらいいいのいいの。
散らかったらすぐに掃除機かけりゃいいだけだもん。
こんなこと、今までの自分の散らかしっぷりに比べたら、大したことじゃないよ。
同じ失敗を繰り返しながらここまで来たんだもの。



要領のいい片付けなんてクソ食らえ。だもん。



生まれてこのかたずっと、片付けられない女なんだもの。
すぐに片付け上手になろうと思う方が間違ってるんだ。
少しずつ少しずつ、片付けが好きになって、片付けが上手に・・・・・・・



な ら な い 方 に 4 , 2 1 1 円 。



切断した板を全部ゴミ袋に詰め絨毯に掃除機をかけて8畳間に戻り、カビのとれた壁を雑巾で何度も拭いた。






そして、いつも使っている化粧品を纏めて入れたプラスチックのカゴを、元魔境に置いたキッチンワゴンの上に置いた。






これから先、部屋のレイアウトも考えなくちゃいけないし、照明やブラインドを変えたいし、家具も買わなくちゃいけない。
やらなくちゃいけないことは沢山あって、納得できる部屋が出来上がるのはまだまだ先のことだろう。

でも、まずはここが一区切り。
8畳間にある要らない物をぜーんぶ捨てたから一区切り。



それでは、ご覧いただきましょう。






みなさんハンカチのご用意を。






・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。






いや、やっぱり今回もハンカチは必要ありません。






4畳半の一区切り記事がまだ書けてないのでハンカチは必要ありません。





脳内BGMの準備も要りません。





あ、ちなみに。





8畳間で最後まで片付かなかったスペースは、9ヶ月前はこんなでした。











ぷぷぷぷぷっ。





さあ、それでは、張り切ってご覧ください。
























長 か っ た ー ー ー ー ー ー ー ー ー ーー ー っ !





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 自分の部屋が片付いたことよりも、カナさんがおうちに戻ってこれたことの方が嬉しいっす。