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単行本 『 片付けられない女魂 』 は、Amazonマーケットプレイスで購入できます。
片付けられない女魂     Amazon
(扶桑社 / 全503頁 / 書き下ろしアリ)



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うちのマンションには、あたしが密かに「スーパー専業主婦」と名付けている4人の最強主婦がいる。
彼女達は本当にスゴイ。
まあ、あたしが見知っている専業主婦といえば、母親と姉と親戚の叔母ちゃん達くらいなものだから、一般的に見てスゴイのかどうかは判らないけど、でもスゴイ。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。
こうも「スゴイ」「スゴイ」ばかり書くと、かなり頭の弱そうな文章になるって判っちゃったけど、でも、彼女達はほんとーにスゴイのだ。



あたしが住んでいるマンションは戸数が少ないため、専任の管理人がいない。
でも、管理会社はマメに巡回してくれるし、委託している清掃業者の仕事も丁寧だから、困ることはない。
ただ、今のマンションで暮らし始めた当初、「困るってほどじゃないけど、でもなあ・・・・」と思うことがあった。
たとえば、階段の蛍光灯が切れかかった時。
すっかり切れてしまえば諦めもつくのだが、チカチカ点滅する蛍光灯ほど煩わしくて侘しいものはない。
うちのマンションの場合、共有部分にある蛍光灯の交換は管理会社がやってくれるのだが、チカチカ点滅し始めてから管理会社の定期巡回日までが3日もあったりするわけで。
気づいた住民が電話をすれば、管理会社はすっ飛んで来てくれるのだが、「そこまでするほどのことでもない」と思い、3日後まで待つのが常だった。
帰宅するたびチカチカする蛍光灯の下を歩くと、どーも、寂れた気持ちになってイタダケないが、それでも、定期巡回日まで待っていた。
が。
そんな微妙な状況の打開策をいち早く思いついたのが、スーパー専業主婦だった。

スーパー専業主婦は、管理組合の定期総会で、管理会社にこんな要望を出した。


1.予備の蛍光管を、マンション敷地内にある備品倉庫に置いておいて欲しい。
2.ラクに持ち運び出来るような脚立を用意して欲しい。
3.備品倉庫のスペアキーを、スーパー専業主婦に預けて欲しい。


つまり。
スーパー専業主婦は、いちいち管理会社を呼ばない代わりに、住人が自主的に交換できる環境を整えて欲しいと、管理会社に要望したのだった。
しかし、その要望を管理会社が受け入れてくれたからと言って、スーパー専業主婦は、「さあ、環境も整ったわけだし、これからは気がついた人達が自主的に替えましょうよ!」とは言わない。
彼女達がスゴイのは、「真っ先に気づくのは私たちだろうから、私たちが替えますよ?」と、アッサリ言って、しっかり実行しちゃうところにあるのだ。
・・・・と、これだけを書くと、「管理会社にとっちゃ、ちょろい客じゃん」と思うかもしれないけれど、スーパー専業主婦はスーパーなので、管理会社に交換条件を提示することも忘れない。
しかも、管理費の値引交渉なんていう、後々まで尾を引きそうなことはしない。
スーパー専業主婦が出した交換条件は、



「総会の時、ケーキでも買ってきてくれればいいわよ」



である。
それ以来、ウチのマンションの総会では、管理会社からケーキが振舞われるようになり、よって住人の出席率も高くなっている。

蛍光灯だけじゃない。
スーパー専業主婦は、雪が降れば雪かきをするし、夏になるとマンション敷地内の草むしりをする。
これも当初は、管理会社がやることになっていたのだが、蛍光灯の時と同様、スーパー専業主婦が管理会社に、雪かき用のスコップやむしった雑草を入れるためのゴミ袋を用意して貰い、自分達でやることにしたのだ。
ちなみに、これらの作業に対する交換条件は。



「総会の時、コーヒーと紅茶を出してくれればいいわよ」



である。
こういうことが積み重なって、今やウチのマンションの総会では、「軽いパーティーか?」くらいの食べ物が振舞われ、住人の出席率は毎回9割を超えている。

ボランティア精神がないあたしは、「自分がせっせと働いて得た報酬を、働いてない人も含めた全員で山分けする」という感覚が理解できなかったのだが、その疑問を投げかけるとスーパー専業主婦は明るく言う。



「だってー、みんなが仕事してる間、暇なんだものー」



・・・・いや、どう考えてもヒマじゃなさそうなんですけど。
つうか。



あたしなら、どんだけヒマでもやらね。
(小声で)



スーパー専業主婦には、「やって あ・げ・て・る の!」とか、「どうして私たちだけが!」なんていうヒステリックなところが全くなく、まるでそれが元々自分の仕事であったかのようにあっさりとしているのだ。
そして、スーパー専業主婦はスーパーなので、他の住人にそれらの作業を「やれ」と強いることはない。
というかむしろ、たとえばあたしが草むしりを手伝おうとしようものならば、「日焼けはお肌の大敵よ!ほら、「色の白いは七難隠す」っていうでしょう?美白よ、美白」などと言われ、やんわり追い返されるのだ。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。
一生嫁にも行けなさそうで、三十路もだいぶいってて、七難どころか七十七難くらいある地黒のあたしはこの言葉を聞いて、「え?嫌味?」と一瞬思うのだが、あたし以外の住人も、「私たちが言い出したことだもの、気にしないで」とか「仕事で疲れてるんだもの、ゆっくり休んで」とかいう理由でやんわり追い返されているらしいから、あたしへの言葉も嫌味ではないのだろう。
・・・・ないと思うことにしよう。そうしよう。

とにかく、万事が万事こんな具合。
うちのマンションの住人は誰もが、スーパー専業主婦たちのおかげで、快適な暮らしが出来ていると言っても過言ではない。



そんな、スーパー専業主婦がいるうちのマンションは、この秋から大規模修繕工事を予定している。
「パーティーか?」くらいのご馳走が振舞われることもあり、春から何度も行われている話し合いの場は毎回賑って和やかで、だからこそ、言いたいことが何でも言える雰囲気が出来上がっている。
工期は約3ヶ月。
その間は生活に様々な制約があるし、ましてや、マンション一戸が買えるくらいのお金がかかるわけだから、住人の意見を思いっきり反映した工事にしたいという思いをみんな持っていたと思う。
スーパー専業主婦はその場でも、沢山のナイスアイディアを出したし、費用を値切ることも忘れなかった。
そして、先日行われた説明会ではとうとう、参加者一同から大絶賛される案を提示した。



工事は、マンションの外側全てに足場を組み、そのまた外側をシートで覆う作業から始まる。
埃や塗料が飛散する可能性があるため、マンション敷地内にある駐車場と駐輪場は工事用資材置き場にして、住人の車や自転車は、敷地外に借りた場所に移動することになったのだが、どうしても他所に移せないものもある。
それがゴミ収集用のコンテナだった。
施工会社によると、ゴミ置き場がなければ工事がだいぶやり易いのだが、別な場所にゴミを捨てるとなると、町内会やご近所との話し合いを持つ必要があり、「まあ多分、同意は得られないでしょう」とのこと。
だったら無駄に波風立てることはせず、多少工事に影響があろうともゴミ置き場は現状のままにし、万が一工事によってコンテナが激しく汚れるようなことがあったなら、その時は施工会社で新しいものに替えてくれると言う。
施工会社のこの提案にはもちろん参加者一同が納得した・・・・かに思えたのだが、実は、話の途中で施工会社が言った「ゴミ置き場に面したマンションの外壁にも足場を組みますから、ゴミ置き場自体は若干狭くなりますけど」という言葉に引っ掛かっている人物がいた。
そう。
スーパー専業主婦だ。



「ゴミ置き場が狭くなると、収集を依頼した粗大ゴミを置く場所がなくなるわ」



・・・・確かに。
でもまあ、3ヶ月くらいならいいんじゃないかなあと、あたしは思った。
しかしスーパー専業主婦は続ける。



「やるかやらないかは別にして、人の心情として、長年使い続けたベランダにある物を全て撤去するのは大仕事でしょう?でも、それを頑張ってやり終えたとするわよね?で、ベランダの工事が済んで綺麗になる、と。そこに鉢を戻すわけだけど、せっかくベランダが綺麗になったんだもの、今まで使ってたオンボロの棚じゃなくて、新たに綺麗な棚を置きたくなるものでしょう?」

「はい」

「となると、古い棚は必要なくなるわよね。でもそれを捨てようにも、粗大ゴミ置き場がないんじゃ捨てられない。でも、何年も外に置きっぱなしにしていて汚れた物を、捨てもせず家の中にずっと置いておかなくちゃいけないなんて困るのよ」

「困りますよねえ・・・・」


・・・・なるほど。
あたしは部屋の中に汚いものがあったところでひとっつも困らないけど、普通の人は困るのか。そうか。そうなのか。

スーパー専業主婦は続ける。


「でしょう?それに、外観が新しくなるとどうしても、あたしたちみたいな主婦は特に、「家の中もなんとかしたいなあ」って思い始めるわけ」

「わかります、わかります」


わかります、わかります。
独身のあたしでもわかります。
なんとなく、ですがわかります。


「でも、粗大ゴミが捨てられないと、それなりのことしか出来ないわけよ。絨毯ひとつ替えられないでしょう?」

「そうですねえ」

「そうじゃなくても、工事期間は不便に暮らすことになるんだから、工事が終わるまではゴタゴタしても、工事が終わったらゆったりとすごしたいのよ。そのためにもね、工事している間に家の中のこともやってしまいたいって思うの」


なーるーほーどーねー!
さぁーて、施工会社はどう出る?
粗大ゴミ置き場をどこにする?
ここが腕の見せ所だぞ?
・・・・と、あたしはそのやり取りをワクワクしながら見ていたのだが、次に口を開いたのは施工会社ではなく、またもやスーパー専業主婦だった。



「そこで、お願いなんですけど」
「はい」
工事でもゴミはたくさん出ますよね?
「はい」



家から出る粗大ゴミを、工事のゴミと一緒に捨てて貰えないかしら?



このお願いが無茶かどうか、あたしにはよく判らない。
でも、現場監督の顔が一瞬曇ったから、戸惑ったのは確かだろう。
しかしその後、スーパー専業主婦は、一度に大量の粗大ゴミが出て工事に支障が出ないよう戸別にヒアリングして調整する役を、自らかって出た。
すると施工会社はこの提案を、快く受け入れてくれたのだった。
処分料はもちろん無料。
出席者一同からは拍手が起こり、施工会社も管理会社も満足げな表情を浮かべていた。


さて。
説明会の最後、施工会社の人が、「ところで、どれだけの粗大ゴミが出るんでしょうかね」と呟いた時のことだった。
出席者が口々に、自分の家にある要らない物を告白し始めた。

「小さい下駄箱もいいかしら」
「子供部屋にあるチェスト、ずっと捨てたかったのよねえ」
「ウチはプラスチックの衣装ケース3つ」
「娘の自転車、この機会に捨てようかしら」

まあ、出るわ出るわ。
長く住んでいればどこの家でも、捨てそびれている物のひとつやふたつあるものなんだなあ・・・・。
でもあたしは、自分で全部捨てちゃった。
普通に処分料を払って捨てちゃった。
こんなことになるのなら、捨てずにいたほうが良かった・・・・なんてことは微塵も思わなかったけど、でも、この機会にあたしも何か捨てたい!

えーっと、えーっと。
要らない物、要らない物。
ゴミ袋に入らないくらいデカくて捨てそびれてる物は・・・・?
あ・・・・。








と ー ち ゃ ん ?
(ナマモノは不可)








いやいや、違うな。
でも何かあるだろー、捨てる物。

このタイミングで言わなければ捨てられないわけじゃないけれど、でもあたしは、どーしてもみんなの波に乗りたくて、必死で考えた。
で。
思いついたと同時に、なぜだか挙手して言った。



「 は い ! バ カ デ カ い ぬ い ぐ る みを 捨 て た い で す !」
(必要以上の大声で)








こうして、トトロの処分が決まった。



これは、自分が仕事をしている時だけじゃなく、お店で食事している時や買い物をしてる時にもよく思うことだけれど。
たとえ自分がお金を払う側であっても、仰け反っているだけではいいサービスが受けられない。
サービスを提供する側だって生身の人間なわけで、客に腹を立てながら仕事をすれば、多かれ少なかれその気持ちが仕事に表れるものだと思う。
自分では、そうならないように割り切っているつもりでも、嫌々ながらにやった仕事はそれなりでしかない。
だからあたしは。
自分の意見はハッキリ言うけど誰のことも不快にはせず、心地よくサービスを受けるためなら手間を惜しまない、というスタイルを貫くスーパー専業主婦たちを、心の底から「スゴイ!」と思うのだ。





説明会から帰宅し、夏目父にその内容を伝え、トトロのぬいぐるみを捨てることも話した。
すると夏目父はなぜか嬉しそうに、「やっと捨てる決心がついたかー!」と言う。



「決心って・・・・。いや、捨てるのが惜しかったわけじゃなくてね」
「へぇーーー」(ニヤニヤしながら)
「ゴミ袋に入らないから、捨て方が難しいなと思ってさ」
「へぇーーー」(同)
「粗大ゴミに出すっつったって、収集場所にアレをドーンと置くのはなんかね」
「へぇーーーーー」(同)



・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。
なんか、カンジワルイ。
つーか。
何か誤解されてる気がする。



「なあに?」
「ううん。なーんでもない」
「じゃあ何でニヤニヤしてんの?」
「別にぃー。でもさー、あのぬいぐるみって確か、小林くんがくれたんだよね?」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・そうですがそれが何か」
「ふふふふ」
「だから何だよ」
「お前、小林くんのことは捨てたくせに、ぬいぐるみは捨てないからさあ」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
「別れたこと後悔してんじゃないのぉ?実はまだ好きなんじゃないのぉ?って思ってたんだよねー」



・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。



やっぱり捨てよう。
トトロは可愛いし、トトロには罪もないけれど、やっぱり捨てよう。
だってあたし、小林になんて全然未練ないし。(本当)
でも確かに、トトロを見るたびぼんやりと、小林のこと思い出しちゃうし。(本当)
思い出したくないことまで思い出しちゃうし。



・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。



つーか、とーちゃん。
どうしてとーちゃんがそんな風に思ってるのか判んないし、今となってはどっちでもいいんだけどさ、でも、言っておくよ。








捨てられたの、小林じゃなくて、お前の娘のほうだから。
(本当)








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 某所で「ツチノコ」と呼ばれている夏目ですが、カナさんのミニブログには頻繁に顔を出しています。つーか、あたしがツチノコなら青ポットさんは何だ?


嬉しいことに最近、単行本に関する問合せメールが増えてきました。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。
あっ、すっ、すみません。
初っ端から思いっきり見栄を張ってしまいました。
単行本に関する問合せメールは2通だけでしたっ。
ただ、その2通がいずれも同じ内容だったので、その回答・・・・の前に、以前の告知の訂正です。



以前、単行本は9月7日発売予定とお知らせしましたが。




2007年9月14日発売に変更となりました。



諸事情により1週間後ろにズレますが、これで決定です。
ぺんぎんさんを始め、カレンダーに発売日を書き込んでくださったかたがいらっしゃったら、7日から14日に「↓」って書いといて下さい。



で。
2通届いたメールにあった質問内容は、「単行本のタイトルはブログタイトルと同じですか?」というものでした。
結論から言うと、違います。
というわけで、単行本のタイトルを発表できる日がやってまいりました。
タイトルは。





『 片 付 け ら れ な い 女 魂 』





です。
・・・・って、「」がくっついただけだけど、タイトルのイメージと内容のアホ加減のギャップをうまーく埋めてくれたような気がして、本人はかなり気に入ってます。
ネット書店での取り扱い等は、決定次第、随時告知していきますので、今暫くお待ちください。



さて。
前回のエントリーで呑気に、「単行本の作業が一段落した」とか書いてたけど、そう思っていたのはあたしだけで、実際は3回目のゲラチェックがあったわけで、結局は、金曜日の午前中までガッツリそれらの作業をし、だから、昨日と今日は腑抜け状態。
集中力がないというかやる気が起きないというか、去年の今頃と同じというか。
昨日から今日にやったことと言えば、

・寝る
・食う
・世界陸上(で室伏)を見る。
・秋から始まる、うちのマンションの大規模改修工事に関する説明会に出る。

くらいなもの。
本当は、説明会への出席もかったるくなって、用もないのにバっくれようと思ってたけど、説明会が始まる15分前に、あたしが密かに「スーパー専業主婦」と呼んでいるマンション住人から出席を促す電話がきちゃったんで、渋々出席してきた。
しかしこの説明会が、ものすっごく楽しかった。
しかも、思いがけず、その説明会の場で、



すげー持て余してたコイツの処遇が決まった。








(猛暑の日に洗う予定だったのに、案の定洗わなかったダメ女です)



・・・・と、この話はまた次回。 ←未だ腑抜け





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 カナさんとPIYOってます!楽しいです!


7月初旬、単なる気まぐれで「今年はお盆、ガッツリ会社を休むから」と上司に言ってみたら、タメ口で言ったのが悪かったのか、例年通りあっさり却下された。
で、先週末、またまた気まぐれで、「来週ガッツリ休むからね」と上司に言ってみたのだが、これまたあっさり却下された。
却下理由も例年通りで、
「お前がガッツリ夏休み取ったところで、墓参りして野球観て呑んで雀荘行って散財するくらいしか用ねぇだろ。男がいるわけでもあるまいし」というもの。



・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。



概ね合ってるが、最後の一言が余計だよ、部長。



11日、土曜日。7ヶ月ぶりに夏目叔父がやって来た。
で、リビングで夏目父とふたり、酒盛りを始めたのだが、それに付き合うと長くなりそうだったため、あたしはひとり部屋に篭り、汗だくで再校分のゲラとにらめっこすることにする。




(なんとか、広辞苑並みの厚さではなくなりました)



12日、日曜日。
夏目父と夏目叔父は午前中から酒盛り。
あたしは引き続き汗だくで再校分のゲラとにらめっこ。
そして夕方、部屋に篭ることにも飽きた頃、オッサンふたりに誘れるがまま野球観戦へ。






13日、月曜日。早起きしてお墓参りしてから出社。






静かなオフィスでの仕事はやたら捗り、気分良く定時で退社するも、「こんな日にまっすぐ帰るのはもったいない」と思い始め、家の近所の雀荘へ立ち寄り、その日に稼いだであろう額の倍くらいを、甚平姿の見知らぬオッサンに寄付して帰宅。

14日、火曜日。
暑さで早くに目が覚めたので、早くに出社。
相変わらずオフィスは静かで仕事が捗った。
が、昼過ぎに夏目父からきたメールを見て、顔面蒼白になる。
そのメールとは。



「小林くんが、帰省したついでに我が家にお土産をもってきてくれました。今はリビングで一緒に呑んでます」



小林は、あたしが10代後半の頃に付き合っていた男なのだが、不思議なことに、あたしと別れてからも小林は夏目父と仲良くしていて、小林が帰省するたび一緒に呑んでいるらしいのだ。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。
ふたりが仲良くしてるのはいい。
別れてから10数年も知らん振りできてるから、これから先も文句言うつもりはない。
でもなあ、とーちゃん。
家にあげんなよ。外に呑みにいけよ。
とーちゃんは知らないだろうけど、別れたのにはそれなりの理由ってもんがあるんだぞ。あたしにとっては嫌な部類の思い出なんだぞ。
だからほんと、お願いだから外に呑みに行ってくれよ・・・・。

というわけで、仕事帰りは小林を避けるべくまた雀荘へ。
日給程度の額を、近所の金物屋店主に寄付して帰宅しようとするも、夏目父から「焼酎とソーダと氷買ってきて」とメールが入る。
すぐさま、「小林、まだ居るの?」と返信すると、「今日泊まるから」と、小林本人からメールがきた・・・・。
いろんなことを諦めて、言われたものを買って帰りリビングへ行き、5年ぶりくらいで会った小林と軽く挨拶を交わして自室に篭りゲラチェック。



15日、木曜日。
早朝に目が覚めた。静まり返ったリビングを覗いてみると、夏目叔父・小林のほかに、何故か二代目までが寝ていた。
うんざりして家を出たものの、通勤途中でゲラを発送し終えると気持ちも爽やかになりイイカンジの気分で出社。
すると、会社の後輩・須賀野から「彼女と別れた」という報告メールが届いた。
「・・・・あのね、須賀野。そういうことは報告しなくていいからね。第一お前の恋愛事情に興味ねーし」と思い返信せずにいると、須賀野から「呑みに行こう」メールが届く。
なのでソッコーで、



「 行 か ね 」



と返信。
この日もまた仕事がかなり捗ったことに満足して定時退社。
が、帰り道またもや夏目父から、「ビール買ってきて」とメールが届く。
近所のスーパーマーケットでビールを買い帰宅するも、何故か家で、あたしの家のリビングで須賀野が呑んでいて、しかも、小林がまだいて、あげく、オカマ店長までいたため、すごすごと自室に引き篭もった。



・・・・という話(長い)を、さっき上司に愚痴ったところ、上司は涙を流して笑い、そして言った。



「じゃあ今晩は、俺がお邪魔しよ・・・・」













「 来 る な 、 ボ ケ 」
(註:三十路女が上司に言った言葉です)



それにしても。
あたしは夏休みも取らず、一体何のために仕事をしているのだろうか。
もしかして、夏目父の酒代のため?
それとも、リビングのエアコンの電気代を払うため?
もしくは、見知らぬオッサンに施すため?


「ねえ。あたしは何のために働いてんの?部長」


猛暑でイカれたらしい三十路女のこの、実にアホらしい質問に、だけど上司は答えてくれた。


「何のためかは判んないけど」
「・・・・判んねーのかよ」
「うん。何のためかは判んないけど、でも」
「うん」
「ただひとつ判ってることは」



「お前が麻雀強くなればい・・・・」







「 そ れ 以 外 の 答 を く れ や 」
(註:三十路女が上司に言った言葉です)



そんな不機嫌な三十路女に、しかし上司は追い討ちをかけた。

「それにしてもお前んちってさ」
「あ゛?」



「独りモンばっかりが集ま・・・・」






「 黙 れ 」
(註:三十路女が上司に言った言葉です)



兎にも角にも。
今日こそは小林がいませんよーに。 ←ウチで二泊したらしい
二代目もオカマ店長も須賀野もいませんよーに。
つうか。



あたしのビールがありますよーに。






#単行本の作業が一段落したので、ボチボチ片付け再開しまーす。



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 ↑カナさんが新しく始めた「つぶやき」、なんだかすごく癒されます。


上半身はキャミソール、下半身はパンツ一丁、髪は束ねて頭のてっぺんで結わえつけ、首にはバスタオル・・・・という変質者チックないでたちで、先日ようやく4畳半の再生作業に取り掛かったのだが、案の定、汚さと暑さですぐにやる気が萎えた。
15年くらい前まではあたしの城だったはずなのに、今では、少なくとも真夏は、4畳半で生活するなんて無理だ。
これも地球温暖化のせいなのか?
それとも、ただ単に歳のせいか?(多分後者)

それにしても毎日暑い。
というわけで。
エアコンなどない8畳間に夕べようやく、扇風機を出した。






去年までは窓を開けるだけで平気だったんだから今年の夏だって平気だろうけど、せっかく発掘したんだもの、気が済むまで使ってみよう。

ついでに、蚊取り線香も置いてみた。






あたしは部屋で蚊に刺されたことがないし、かといって蚊取り線香にはヒメカツオブシムシを撲滅するほどの力はない。
だから、「夏といえば蚊取り線香じゃ!」と思ったところで、わざわざ買ってくる必要はないだろう。
まあアレだ。雰囲気よ、雰囲気。

ちなみに。
蚊取り線香を乗せているプレートは、去年の暮れに4畳半から発掘したもの。






発掘した時はヤニと土埃にまみれていた。
あまりに汚いため思わずゴミ袋に入れてしまいそうになったのだが、寸でのところで思い留まった。
で。






「うぇーーーー。きたねーーーー」と思いながら洗ってみると。






あっという間に綺麗になった。




(大昔、Afternoon Tea が好きだった時期があったらしいが記憶にない)



15年以上前、自分が何を思ってこれを買ったのかは覚えてないけど、でも、買った後でずっと放置していたこのプレートを使える日が来て良かったなぁ。

うん。
これでいいのだ。(バカボンのパパ)
こうやって少しずつ、古い物を再生したり新しい物を買い足したりしながら、ゆっくりと生活を楽しんでいけばいいのだ。
・・・・ということを、









シャンプーを詰め替えながらしみじみ思った。



以前4畳半から発掘した、200個もあるシャンプー&コンディショナーの試供品。
昨日詰め替えた後で数えてみたら、残りはシャンプーが6袋、コンディショナーが36袋。
もうちょっとで使い切る。
一方、いつまで経っても使い切らないのがポケットティッシュだ。
まだ、ダンボール1箱分残っている。
推定残・180個。




(元魔境にあるキッチンワゴンの上がポケットティッシュ置き場)



最初はスタバの紙袋に入れてそこから1袋ずつ引っ張り出して使っていたのだが、そのうち、紙袋に手を突っ込むことすらメンドウになったので、






片付けている最中に見つけたプラスチックの箱に入れ替えた。
ちなみにこの箱は、






8畳間で最後に片付けた収納家具の中に入っていた。






引き出し式で2段になっていたのだが、金属でできた骨組みはサビと思しき汚れがあったので、金属部分は捨ててプラスチックの箱だけ残すことにしたのだった。



こうやって少しずつ、ゴミ屋敷のような部屋に埋もれていた物を使い始めている。
些細なことだし当たり前のことだけど、あたしは長い間、当たり前のことが出来ずに暮らしていたから、こんな小さいことに、大量のゴミを捨てたのとは違う、ホンワカした満足感を覚えるようだ。



ただ。
三十路にもなると、性根はそうそう簡単には変わらないわけで。



それが証拠に、ちょーっと前まで「可愛い」だの「健気」だのと思って愛でていた日々草が、最近ちょーっと疎ましい。
というのも。




(カツアゲうさぎ皿では足りないくらい水を吸うため皿交換)






育ちすぎだから。



つーか。









ど こ ま で 伸 び る 気 だ ぃ ?





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 さすがです!カナさん!



(8月1日早朝4時51分、ゲラチェック終了)



このブログが本になることは以前書きましたが、いよいよ発売日をお知らせできる日がやってきました。



もったいつけても何なのでとっとと書きましょう。そうしましょう。







2007年9月7日、扶桑社より発売予定です。







あたしがブログを始めたのは2006年9月6日なので、開設1周年を迎えた直後に単行本が発売されるっつうことになります。

・・・・くぅぅぅぅ。
ブログを始めた頃は、自分のへなちょこブログが本になるだなんてこと、もちろん想像すらしてなかったし、それどころか、片付けを続けられるとも思ってなかったよなぁ・・・・。
よく続いたなぁ・・・・。
つうか。



いつになったら片付け終わるんだ?
(お前が知らなきゃ誰も知らねえって)



単行本発売までの約1ヶ月間、やるべきことはまだまだありますが、無駄に気負うことなく、全ての作業をとことん楽しみたいと思います。

本に関する詳しいことは発表できる時期がきたら随時ブログ上でお知らせしていく予定ですが、今の段階で書けることをちょっと挙げると。
まず。



本は縦書きです。



これが決まったのは4ヶ月前。
テレビ東京の会議室で、書籍化の初回打ち合わせをしていた時でした。

参加者全員の手には過去に発売された様々なブログ本があり、各々が、手にしたブログ本をパラパラとめくりながら「汚部屋ブログ本がどんな形になるのか?」をイメージしようとしていた矢先、多分その場でただひとり、リアルなイメージが出来ていたであろう扶桑社の編集者・田中さんが、アッサリと、でもキッパリと言ったのでした。



「縦書きにしようと思ってるんですよね」



い、いやあ・・・・、この時の驚きっつったらなかったなあ・・・・。
本をパラパラめくってた手ぇ、止まったもの。
あたしだけじゃなく、全員の手が一斉に止まったもの。
で。
一瞬の間があった後で、みんなが一斉に田中さんのこと見たもの。
「へ?」ってな顔で、一斉に見ちゃったもの。
多分、全員がアホ面で。(失礼な!)
少なくともあたしはアホ面で。

しかしながらこの提案は、本好きの端くれとしては嬉しい限り。
ゲラを手にして一番嬉しかったのは、自分が書いた文章が縦書きになっているということでした。



その他、現段階でお知らせできることと言えば。



今までブログでは一切触れていなかったことを、本に書きます。



書きます。
まだひとっつも書いてませんが。

というわけで。
ブログを読んだことがある人もそうでない人も、どちらの人も楽しめる本にすべく、日々頑張っています。





田 中 さ ん が 。



・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。



あ、あ、あたしは発売までの1ヶ月、今までと何ら変わることなく、ゆるーく片付けを続けていきたいと思ってます。



あ、そうだ。



お前も本に載っちゃうっぽいよ。











で も 、 表 紙 じ ゃ な い か ら 。 絶 対 に 。







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 うぉーーーーーん!カナさーーーーーーん!(嬉し泣き)




【2007/08/02 17:40 追々々記】
どんだけ追記すりゃあ気が済むんだ、あたし。
コメント欄で身内バレなどを心配して頂いちゃってますが、心配ないのでどうか心配しないで下さい。
バレたなら、それぞれに本を3冊くらいづつ買ってもらうまでです。
大勢に影響ありません。

【2007/08/02 17:04 追々記】
人気ブログランキングへのリンクの不具合等、無事復旧しております。
重ねて言いますが、汚部屋ブログだから追い出されたというわけではありません。
というか。
もしもそういう理由で追い出される時は、青ポットさんも一緒のハズですから。

【2007/08/02 16:02 追記】
現在、人気ブログランキングへの投票が出来なくなっており、クリックすると「無効なリンクコード」というページが表示されます。
また、インテリア・雑貨カテゴリからも存在が消えています
一瞬、「とうとうアレか?汚部屋ブログは排除か?」とも思ったんですが、どうやらそうではなさそうです。
現在、対処方法を運営サポートに問い合わせ中です。復旧まで今暫くお待ちください。