BOOK INFOMATION

単行本 『 片付けられない女魂 』 は、Amazonマーケットプレイスで購入できます。
片付けられない女魂     Amazon
(扶桑社 / 全503頁 / 書き下ろしアリ)



確認の電話が入った時、あたしが、「部屋は片付いてたほうがいいんでしょうか」という素朴な疑問(夏目基準)を投げかけると、Y嬢は、「ありのままでいいですよ」と言った。
あたしは嬉しくなって、いつもより少し高めの声で言った。



「 あ ! い い ん で す か ! そ う で す か ! 」



・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。
社交辞令かもしれないY嬢の言葉を鵜呑みにしているあたり、やっぱりあたしは骨の髄まで汚部屋住人気質なんだろう。
でもどうせ、慌てて取り繕ったってボロが出るに決まってる。
つーかそもそも、汚部屋住人ゆえの取材なんだし。
まあいっか、汚くても。



というわけでこの週末、あたしの汚部屋に初めて客人がやってきた。
いつもひとりで自堕落に暮らしている部屋に他人がいるというだけで、見知らぬ部屋に閉じこめられたようで、息苦しいわ、居た堪れないわ。
ヤバイ物がポロっと置いてありそうで気が気じゃないというか。




(エロカッコイイのに、地理の知識がだいぶ危ういY嬢)



部屋に男が居ることが物珍しいというか。




(年上の女2人に淡々とツっこめる長身イケメン・マナブ。24歳。薄着)



ところが。
狭い部屋でぼそぼそと話しているうちにカメラで撮られていることをすっかり忘れてしまったあたしは、気ぃ抜きすぎた結果タメ口で喋り始め、24歳のイケメンAD・マナブ(薄着)を呼び捨てにしまくったあげく、インタビュー半ばからはとうとう、「メンドクサイ」を連発し出し、Y嬢に、「「メンドクサイ」、また出た!」とツッコまれる始末。
まともなことはもちろん、面白いことも何ひとつ喋っちゃいないので、インタビュー箇所はつかえないんじゃないかと思う。(マジで)
というわけで。
1年前までは確実にゴミ屋敷だった自分の部屋に初めて客人を迎え入れるというイベントは結局、一切の掃除もしないまま始まり、大人らしからぬ対応をしてアッサリ終了した。(詳細はもう暫くお待ちを。あ、もちろん顔は出しません)



さーてこれで、4ヶ月見続けた、ここ11年で一番キレイな状態(夏目基準)の我が部屋ともお別れだ。
まずは、4畳半に残ったヤニまみれの家具を救出する作業から始めよう。

これから暫くは、誰が来たって部屋には入れられないぞー。
もしかすると、またあたしの寝る場所がなくなるかもしれないぞー。
挫けるなよ、あたしー。
でも、上手にやろうとも思うなよ、あたしー。
マイペースでいいから、続けるんだぞー、あたしー。
・・・・と気合いを入れ直し、改めて自分の部屋を見て思った。

10年間部屋を片付けなかったこのあたしが、こんな不便な、「引っ越し?」みたいな状態の部屋を、









(取材のためにやったことは、「布団を畳んだ」のみ)








4 ヶ 月 も 維 持 で き た っ て 、 ミ ラ ク ル じ ゃ ね ?
(夏目基準)





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 おそうじペコさんのドSな呟き、眺めてる分には楽しいです。眺めてる分には。


お姉ちゃんが嫁に行ったことで空いた部屋に、なんとなく物を置いてなんとなく暮らし始めて11年が経つ。
お姉ちゃんが部屋をどんな風に使っていたのかはあんまり覚えてないけれど、テレビの位置が今と違うことだけは確かだ。
思い返してみればあたしは、床が見えてる場所にポコポコと物を置いていっただけで、これまでただの一度も、部屋のレイアウトなんか考えたことなんてなかった。
でも。
斜めってる壁に沿って斜めにテレビを置いてることが間違いのような気は、うっすらだけどしていた。




(今度は窓も描きました)



万年床の上に座って、斜めっているテレビを真正面から見ようすると、自ずと身体も斜めを向くのだが、どうもこれが、あたしのやる気を損ねているような気がしてならない。
居心地が悪いっつーか、どんな体勢をとってもしっくりこないっつーか。
医学的根拠はもちろんないし、何かで調べてみたわけでもないけれど、長時間斜めを向き続けることは、肉体的にも精神的にも良くない気がする。
まあ気のせいだろうけど。

物を溜め込んだ汚部屋から、要らない物を排除して早4ヶ月。
この使いづらい部屋で、どうしたら快適に暮らせるのかを考え続けてはいたが、そういうことを考える脳細胞が死滅しかけているあたしに名案が浮かぶハズもなく、考えれば考えるほど斜めの壁が疎ましく思えて仕方ない。
ただ。
今のマンションに一生住むつもりはないけれど、かといって当面引っ越す予定もないわけで。
片付けに限らず、マイナス面ばかりに捕らわれていては前に進めない。
ネックになっている斜めの壁を忌々しく思っているうちは前に進めない。



・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。



とーちゃん、部屋交換してくれねえかな・・・・。
(推定返答:「犬飼ってくれたら考えてもいいよ」)



・・・・と、つい最近まではこんな風だった。
部屋のレイアウトをアレコレ考えるくせに、全くいいアイディアが浮かばないもんだからすぐに考えは行き詰まり、非現実的な方法まで考えて思考停止、というパターン。



ところが今月初め、ふと閃いた。



もしかして、テレビはあそこに移動すりゃいんじゃね?



・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。
あ。
今、「これを思いつくのにどーして4ヶ月もかかるわけ?」って思った人、手ぇ挙げてぇー。








は ぁ ー い !
(真っ先に挙手する本人)








いや、ホント、どうしてこんなことを思いつかないのか、他の誰よりもあたしが一番不思議に思っている。
要らない物を捨てまくっている時に、自分の頭と手際の悪さを嫌というほど思い知ったつもりだったけれど、どうやらあたしの、「部屋のレイアウトを考える脳細胞」も壊滅しているらしい。
が。
テレビの位置が決まった途端、僅かに残っていた脳細胞が活動し始めたようで。
普通の人よりもだいぶゆっくり脳内シミュレーションを繰り返した結果、やっぱり、4畳半の部屋をリフォームしなければコトが進まないっぽい。気がした。



モタモタしているうちにマンションの大規模修繕工事が始まったため、4畳半は今、ベランダにあった植木鉢や物干し竿やらを置く倉庫と化しているのだが、工事が終わるのを待ってたら真冬になってしまう。
えーっと。
とりあえず、植木鉢や物干し竿やらを夏目父の仕事部屋にでも移動させて(現時点では無許可)、4畳半の壁紙を張り替えて、タバコの灰と土埃と大鋸屑(とカツオ姫の脱け殻)にまみれた絨毯も張り替えて・・・・。
ってことはまず、4畳半にある家具を8畳に持ってこないといけないから、ヤニまみれの家具を拭いて、8畳にそれらの家具の置き場を確保してから移動させて、えっと、えっと、えーっと。



できんのか?ひとりで。



まあでも、どれだけ遠い道のりだろうとも、期限があるわけじゃない。
これまで同様、続けてりゃなんとかなるだろう。
へなちょこリフォームになろうとも、へなちょこDIYになろうとも、全てを楽しんでやってやろうじゃないか。



ちなみにテレビは、今パソコンデスクがある場所に置くつもり。
他の家具の配置もぼんやり決めた。
今使っているパソコンデスクと4畳半にある学習机を使って、部屋に合った、こんな形の机を自分で作りたいとも思っている。











(真上から見た図。描き間違いではありません。念のため)










できんのか?ひとりで。



さて。
ぼんやりと考えは纏まったし、あとは始めるだけだ。
よぉーし!今週末くらいから始めるかー!
・・・・と、やる気満々になっていた矢先、緊急事態が発生した。






えーっと。





近々、汚部屋でテレビの取材を受けることになりました。
(詳細は暫くお待ちを)





つまり。





あたしの部屋に初めてお客さまが来ます。







(サッシです)






・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。







(な、何の汚れでしょうか)






・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。





い、居留守を使うっていうのは・・・・

ナシですね。そうですね。掃除しましょう。そうしましょう。




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 うひょひょ!並んでるっ!


以前ちょろっと書いた時点では細かいことを確認し忘れていて、「発売までに確認しないと」と思ってたくせに、確認しないまま今日に至る。
でも、明日発売ということは、もしかすると首都圏では今日あたり店頭に並んでるかもしれないわけで。
今更、「で、どんなカンジで載るんでしたっけ?」なんて間抜けな質問はできね。

というわけで、曖昧告知。

だいぶ歳をくったオッサン風味の汚バサン・夏目が書いている、虫画像入り汚部屋ブログが、20代オシャレ女子御用達の雑誌で紹介されます。



2007年10月23日(火)発売

『 V i V i 』 2 0 0 7 年 1 2 月 号



読者アンケートによって集められたオススメの中からピックアップしたブログを誌面で紹介するという企画で当ブログが紹介されるってのは判っているんですが、ブログタイトルだけが載るのか?紹介記事が載るのか?を訊き忘れました。
でも、平均読者年齢が22歳という『 ViVi 』の誌面に、



負け犬汚部屋ブログ 『 片付けられない女魂 』 」



という文字が載ってるのを見るだけで「ぷぷぷ・・・・」と笑えそうなので、書店やコンビニ等で見かけたら是非とも手にとってみてください。




ヒナさん。
  片付けマラソン、おつかれさまでしたー。ぶらぼー。
おかんさん。
  恐縮ですー恐縮ですー。あ、あたし、その対談本買いました。
ヘンリー嬢。
  西田が乗ってる玉、遅ればせながらあたしも最近入手したんだ。(照)





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 捨て奥でDIYで蟲師な方がブラックな面白アンケートを実施中です。
 どれに投票しようかなー☆


何年ぶりなんだろう、こういうことするのは。





そもそも、どんだけ暑い夏も扇風機なんて使ってなかった・・・・つうか、11年も暮らしてる自分の部屋に扇風機があることを知ったのなんて、今年の5月だし。






扇風機を出した時も思ったけど、コードをクルクル巻けるのって便利だなあ。






仕舞う場所があるのって素晴らしいね。






まだちょっと早いけど、出しときましょう出しときましょう。



扇風機を10月半ばまで出しっぱなしだった部分をフューチャーしてはいけないのだよ。
そんなことは、どうでもいいのだよ。
それよりも、だ。
11年もの間、何もかもを出しっぱなしにして暮らしていたあたしが、季節を感じて、「仕舞って出して」をしたことがミラクルなんだよ。
こういうね、自分の小さい変化を褒めながら、喜びながら生活するのがいいんだよ。





ね ?








(腕が短すぎて他のポーズが取れない)







・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。







バ カ に し て ね え か ?





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 誰が何と言おうが「快挙」だもん。


桐島カレンの凛々しいシェフスタイルが印象的な「聡明な女は料理がうまい」という本が出たのは、1990年のことらしい。
その頃あたしは既に彼女に出会っていたが、彼女の作った料理を食べてこの本のことを思い出すのはもっと後のことである。



先週女友達と呑みに行った。




(ケータイのカメラで撮って一番美味しそうに見えるのはビールだと思う)



彼女にどうしても渡さなければいけない物があった。





  iconicon
書店はもちろんのこと、
Amazon・楽天BOOKS・7andYなどのネット書店でも発売中でーす。



彼女は、自分で買った3LDKのマンションにひとりで暮らしている。
立派なマンションには、家中に高価な家具が並んでいて、照明もオシャレだし、選んだカーテンのセンスもすごくいい。
ただ。
どの部屋も、ものすごく散らかっている。
そう。
彼女は、友人・知人・同僚など、誰もが認める「片付けられない女」だ。



彼女はあたしの先輩だった。
出会った頃の彼女の印象は、美人で色白でスタイルも抜群、あたしより年上なのになんだか頼りなくて世間を知らなそうで、与えられた仕事はテキパキとこなすものの、時に上司や同僚と激論を闘わせて悔し涙を流したりもする、一生懸命だけどちょっと不器用な人だった。
ある日あたしは同期の女の子に、彼女の家に遊びに行こうと誘われた。
で、あたしは人の家に遊びに行くのが苦手だったから、その子の誘いをやんわり断ったのだが、同期の女の子は先輩である彼女が買ったマンションをどうしても見てみたいらしく、しつこく誘ってくる。
当時からあたしは、「つーか、お前がひとりで行けばいんじゃね?」と言うようなダメ女だったのだが、その子に対してだけは強く言えなかった。
ちょっと強く出るとヒステリックな声を出すその子のことが苦手だった。
穏便に断る方法を考えあぐねていた矢先、先輩だった彼女がこう言った。





「家、散らかってるんだけど、それでもいいならごはん食べにきてよー」





・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。





ご は ん 食 わ せ て く れ ん の か ・ ・ ・ ・ 。
(昔から食い物にはてんで弱かった)





彼女の手料理に釣られたあたしは、同期の女の子と一緒に彼女の家に行った。
で、判った。
彼女が言っていた「散らかってるんだけど」は謙遜でも何でもなく、つーか、「散らかってるなんてレベルじゃねーし」というくらい彼女の部屋は酷かった。
しかも、汚部屋ではなく、汚家(おうち)。
どの部屋も、トイレも風呂も廊下までもが泥棒一過状態。
心底驚いた。
でもそれは、「まさか彼女が汚部屋住人だったとは!」という驚きではない。
これだけの汚家なのに会社の同僚を招く、彼女の神経に驚いた。
と同時に。
彼女がやたら面白い人に思えてきた。
美人なのに気取ったところがなく、正直で開けっぴろげ。
「これでも片付けたんだよ」というわりに、リビングの入り口には堂々と下着が干してあるし、ソファーの上は、彼女に似つかわしくないボロボロのTシャツが脱ぎ捨ててあるほか、彼女が一日のほとんどをそこで過ごしていることが判るような類の物が大量に置かれていて、座る場所がない。
キッチンの入り口にある大きなゴミ箱の脇に、ゴミが満杯に詰まった市指定のゴミ袋が置いてあるし、ダイニングテーブルの上は・・・・って、



テーブル自体、見えねーし。



普段の彼女と汚部屋のギャップに驚きながらもあたしは、ソファーに置いてあった、何週間か前の新聞を黙ってよけて、とりあえず、自分の座る場所を確保した。
ところが、だ。
一緒に行った同期の女の子がこの後とった行動に、あたしは腹を立てることになる。
同期の子は、その汚部屋を見て大きなため息をつくと、「信じられないっ!」と大声を出した。
驚いてその子を見た。
するとその子はまた大声で言った。



「あたし、こんな散らかってるの、許せないっ!」



・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。



じ ゃ あ 帰 れ 。



とあたしが言わなかったのは、同期の子に「許せない」と言われた家の家主である彼女が、なんとも呑気な受け答えしたからである。



「これでも片付けたんだってばあ」
どこを!

・・・・確かにね。そこはツッコミたくなるよね。
でも、家主は怯まない。

「散らかってるだけで掃除はしてるのよ」
「はあ?掃除機かける場所なんてないじゃない!」

・・・・確かにね。床があんま見えてないもんね。
でも、家主は動じない。
「散らかってる」って言ってるのに「いいのいいの。マンション見てみたいんだもん」かなんか言ってやって来て、部屋に入った途端ヒステリックにダメ出しをする会社の後輩の言葉なんてまるで気にしちゃいない様子。

同期の子は更に怒鳴る。

「我慢できないっ!片付けていいっ?」



・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。



だ か ら 帰 れ っ て の 。



誤解のないように言っておくと。
当時あたしは今のマンションの4畳半の部屋で生活をしていた。
その頃からあたしは片付けられない女だったが、4畳半はまだ汚部屋ではなく、狭くても親に与えて貰った自分の城で、試行錯誤しながらも日々人並みに暮らしていた。
あたしのタガが外れる前の話だ。
だから、汚部屋住人を擁護したわけではないし、同期の子の気持ちも判らなくはなかった。
確かにツッコミどころ満載の汚家だった。
でもあたしは昔から、意見を求められてもいないのに率先して他人にダメ出しばかりする人がどうしても理解できなくて、他人に安易にダメ出しをする人を見ると、「お前は人を評価できる程、立派な人間か?」と心の中でツッコミを入れたくなる。
ましてや、人の家だ。
一緒に住んでるわけでもなかろうに、キーキー言う必要がどこにある。
「許せないだの我慢できないだのと言うくらいなら帰りゃあいい」と、結構本気で思っていた。
その子が全く我慢できないワケじゃないのは判っていた。
そういう子なんだというのも判っていた。
今になって思えば、郊外に建つ古い実家で厳しい親と一緒に暮らしていたその子には、独身なのにファミリータイプのマンションを買い自由気ままに暮らしているように見える彼女を妬ましく思う気持ちがあったのかもしれない。
どこかで彼女よりも優位に立ちたかったのかもしれない。
でも、だ。
そもそも、短時間で片付くレベルではないような汚部屋なのだ。
それに。
家主の彼女はその時キッチンに立ち、あたしたちのために料理をしていた。
つまり食事の前だ。
落ち着け。食事の前にヒステリックな声を出すな。メシが不味くなる。
それと。
今キミは「片付けていい?」とか言ったけど、頼むからやめてくれ。
片付けないでくれ。
考えてもみろ。
こんな汚家を今片付けたら、





部 屋 に 埃 が 立 つ じ ゃ な い か 。





埃が舞い踊る部屋で食事をするなんて、あたしだって結構イヤだぞ。
頼むから座れ。
キーキー言いながら仁王立ちせずに、まず座れ。座っておくれー。
・・・・と、あたしはひたすら祈っていたのだが、その子はそのあとすぐに、部屋を片付け始めることになる。
何故なら。
家主である彼女が言ったからだ。
「いいよぉー。片付けてぇー」と言ったからだ。



随分経った今でもこの時のことは、鮮明に覚えている。
同期の子のヒステリックな声も、家主である彼女の呑気な声も、二人のやり取りに随分イラ立ったのにひたすら黙っていた自分の気持ちも。
そしてあたしがその日以来、同期の子が更に苦手になり、家主である彼女のことが断然好きになったということも。
しかしこの時あたしが一番衝撃的だったのは、彼女が作ってくれた料理が抜群に美味しかったことである。
同期の子は食事の最中も彼女にダメ出しをしまくりだったし、彼女は同期の子の気持ちを逆撫でするほどに呑気だし、あたしはとにかく埃が気になっていたのだが、そんな劣悪な環境で食べたにも関わらず、彼女が作ってくれた料理は美味しかったのだ。
ちなみに。
今は埃くらい何でもない。
「埃?食ったって死なねーだろ」くらい何でもない。(オカシイ)



聡明な女は料理がうまい。



あたしは彼女の手料理を食べながら、「数年前に流行った桐島洋子の本はそんなタイトルだったじゃないか」と、心の中でツッコミを入れていた。
というか。



聡明じゃないのに料理が上手な女もいるわけか。
(失礼極まりない)



と、ご馳走になっている身にあるまじきことを考えていた。



彼女はいつでもあたしのことを「冷静だ」と言う。
彼女は自ら人生の別れ道を作りたがるタチで、これまで何度も大きな選択をしてきているのだが、そんな時の彼女の頭の混乱ぶりを見れば、こっちは否が応にも冷静にならざるを得ないだけだ。
しかも彼女は、深く考えれば考えるほど非現実的な結論を出すもんだから、危なっかしくてしょうがない。

常に悩んだり迷ったりしている彼女はいよいよの時、必ずあたしに相談をしてくるのだが、そのたびあたしは一言で片付ける。
たとえば、彼女が結婚を決めた時にあたしが言ったことといえば、「あんなゴミみたいな男と結婚するお前がバカだ」だったし、彼女が会社を退職しようか迷っている時は、「今辞めなくていつ辞めんのよ」くらいのことしか言っていない。
「冷静」じゃなく「冷血」に読めるかもしれないが、あたしは、あたしに相談する時点で彼女の中で答えが出ていることを知っているから、反対意見でも賛成意見でも、その時自分が思ったことをアッサリ答えているまでだ。
そしてもちろん、彼女だってあたしの言ったことを鵜呑みにするわけじゃない。
賛成意見を言われれば背中を押されるのだろうが、反対意見を言われたからって、自分が決断したことを諦めたりはしない。
現に彼女は、あたしが「ゴミみたい」だと言った男と結婚した。



数年前、彼女が離婚を決めた時は、祝福の意味を込めて、離婚届の証人欄にサインをした。
「だから言ったでしょう」とは思わなかった。
ちなみに。
離婚届を持ってあたしの前に現れた彼女にあたしがかけた言葉は、



「おつかれさまでした。よくぞ今まで頑張りました」





と、





「こんなモン書いて貰うために人の会社まで来るなよ」





である。



そんな危なっかしい彼女は、やっぱりあたしの中では「聡明」とは対極にいる人だ。




(単行本用に書いた文章をゆっくり読む彼女)



あたしは、彼女が自分の本を読んでいる姿を見ながら想った。
あたしの人生で一番酷い時に彼女がくれたたった2行のメールは、今でもあたしの宝物だ。
彼女の人生で一番酷い時・・・・は、一度や二度ではなかったが、あたしは不幸のどん底にいる彼女のそばにいた。
お互い、平凡じゃない人生を送ってきたんだなあと、改めて思った。
でも。
そんな人生を送ったからこそ深まる絆も確実にある。
望んじゃいない人生でも、だ。



そういえば彼女はこの日も、あたしに相談をしてきた。
ただ、それを語った彼女はこれまでとはちょっと違っていて、いつもより頭の中がスッキリしている気がした。
一通り話を聞いてあたしは、「いんじゃないの」と言った。
彼女はいつも通り、「いいのかなあ」と言う。
でもその「いいのかなあ」は、少しだけ楽しそうだった。
今度の決断には、彼女も少し自信があるんだろう。
「いんじゃないの」とあたしが再び言うと、彼女はにっこり笑って「良かった」と言った。



聡明じゃなくてもいい。
片付けられなくてもいい。
パーフェクトじゃなくていい。
不器用だっていい。
愛情溢れる激旨料理が作れる彼女みたいに、ひとつだけ自分に自信が持てることがあればいいんだ。



さて、あたしはこれから何を極めようか。



・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。



「片付け」でないことだけは確かだ。





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 インテリア・雑貨カテゴリの50位以内に、汚部屋系ブログが8つもランクインしてる件。


上司によると、あたしの口癖は、「メンドクセ」と「腹減った」らしい。
そういえば最近は、以前にも増して、ありとあらゆる私事がメンドくさくて仕方ない。
シラフだと、喋ることがメンドウで、だから会社では仕事に関係する話以外はほとんどしない。
「仕事中は私語は慎むべき!」なんてことは微塵も思っていないし、話をする暇もないくらい慌しく過ごしているわけでもない。
耳障りな声でなければ、人が話しているのを聞いているのは好きだ。
でも、会社では、仕事で喋ることが多い分、それ以外の話をするのがメンドウ。
じゃあ仕事以外でメンドウじゃないことはなんだろ?と考えても、思い浮かぶのは「麻雀」「トイレ」「タバコ」「食事」「呑み」「麻雀」くらいなもので、片付けはもちろんのこと、蛇口をひねればお湯が出るようになった風呂に入ることすらメンドくさい。
中でも一番メンドウなのが、買い物。
汚部屋が出来た理由のひとつには、「要らない物を買い続けた」こともあるっつうのに、「要る物を買いに出かける」というのが、何故だか物凄く億劫なのだ。
食料品はまだいい。
会社帰り、家の近くにあるスーパーマーケットに寄ればいいだけだから、これはあまり億劫に思わない。
ただ、それが休日となると話は別で、食料品を買いにわざわざ近所のスーパーマーケットに出かけるなんてこと、もう何年もしたことがない。
徒歩3分のところに、スーパーマーケットがあるのに、だ。

仕事を終えて呑みに行く前にふらっと立寄ったランジェリーショップで、アホみたいな量の下着を買ったり、ついでにうっかり


(あたしのTuche備蓄量はハンパじゃないが、ヒナさんほどではない)

Tuche も買ってしまったりするのは日常茶飯事なのだが、どうも、「どこかに行くついでに」ではなく、「必要な物を買うためだけにわざわざ出かける」だと、メンドくさくなるらしい。
で。
ずるずると買いそびれているが故に、日常生活に支障をきたしている。



あたしがそれを捨てたのは、撮っていた画像のタイムスタンプによると、去年の10月28日のことらしい。
ちょうど汚部屋に大雪崩が発生した頃で、捨てることに少し快感を覚え始めていたあたしは、ほぼ毎日使っていたそれが無くなると不便だとかはあまり考えていなかった。
というか。
いつも、汚部屋の汚い絨毯の上に伏せて置く癖がついてたそれは、




(お洗濯上手な人向けの商品だったのか)



改めて表返して見てみると、有り得ないほど汚なかった。
いつから使っているのか定かではないが、15年以上20年未満は使っている気がする。




(いつも使っている物ほど、その汚さに気づかない)



汚いだけではない。
マジマジと表面を見てみると、小さな穴が無数に開いている。






それが繊維疲労によるものなのか、他の何かの仕業なのかは判らなかったが、






穴のサイズを考えると後者の可能性が高いような気がした。




(「他の何か」入りガムテ)



大した値段でもなかっただろうし十分に使い倒したし、それより何より、いくらあたしが虫全般平気でも、他の何かの巣窟になっているかもしれない物を取っておく気にはなれず、無くなった後のことはさして考えずに捨てた。

捨てた直後は「新しいのを買わないと」と思い、ネットで「アイロン台」と検索しては、「脚付きがいいかな?スタンド式がいいのかな?」と、楽しく物色していたのだが、



どれがいいのか決めかねているうちに、考えることに飽きてきた。
でも。
「何でもいいから買ってしまえ!」と思ったり、「いやいや、思いつきで買うのはもうやめたんだ!慎重に選ばなくちゃ」と思ったり、かなりどうでもいいレベルで迷っている間にも、アイロンがけが必要な服はどんどん増えていく。
・・・・普通ならここで、「スーツをハンガーにかけて吊るせばいいだけなんじゃ、ボケ!」と気づくんだろうが、何せあたしは片付けられない女なわけで。骨の髄まで汚部屋住人気質なわけで。
全く気づかないわけではなかったが、十数年ですっかり身についてしまったその習慣がすぐに治るとも思っていなかったから、やはりアイロンがけは必須だった。



で。
新しいアイロン台を買うまでは、敷布団の上でスーツにアイロンをかけることにした。



・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。



汚いアイロン台より更に汚くねえか?



とは思ったのだが、そこはコテコテの汚部屋住人。
アイロン台を選定するのも買いに行くのもメンドウで、結局約1年もの間、敷布団の上でアイロンをかけ続けた。



ところがつい先日のこと。
暫く見かけなかった彼女を見かけたことがきっかけで、ようやくあたしは、「万年床の上でアイロンがけするのは危険じゃないか?」と気づいた。
で。
1年も「メンドクセ」と思い続けていたくせに、ソッコーでアイロン台を買いに行った。




(店に行ったら迷うことなく、使い慣れた平型に手が伸びた)



こんなモンを買うのにどうして1年もかかるのか、自分でもぜんっぜん判んない。
でも、今回はマジで焦ったわー。
だって、今まで見たことがない場所で彼女を見つけたんだもん。



(以下に虫画像が載っていますので、苦手な方は見ないでください)













(出ます!)














ご存知ない方へ。
これはヒメカツオブシムシという害虫で、あたしのルームメイトです。
いつもは「カツオ姫」と呼んで仲良く暮らしています。



ちなみにこれは、部屋の布団の上。
これまでは布団の上では見たことがなかったのだが、アイロン用に敷いてみたタオルの上に、クルンと居やがった。
しかも、2日も続けて居やがった。

アイロン台といい、このタオルといい、カツオ姫はアイロンがけ跡地が好きなのかもしれない。
まあ単に、季節的なものかもしれないが、大量発生されちゃあ困る。
つーかこいつらを根絶するのは無理なんだろうか?
絨毯剥がさないとダメなのか?
絨毯を剥がすのなんてメンドクセーよ。
でもなあ。
地べただけなんだよなあ・・・・。
ううーん。
8畳と4畳半で12畳半か・・・・。
剥がす?
剥がしてフローリングにでもしちゃう?(自分で)



・・・・・と思っていた矢先、



(以下に虫画像が載っていますので、苦手な方は見ないでください)













(出ます!)



















天 井 近 い 壁 に 張 り 付 く 彼 女 を 見 つ け た 。






・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。





が、がんばったね、カツオ姫。






・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・っていうか。





あたしのルームメイトは壁も登れるのか・・・・。





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 カナさんのブログは開設3年目に突入でぇーす!


片付けられないとか、そういう以前の問題だと思う。
だらしないというか、雑というか、「ちゃんと干せよ」っつうか、「もう乾いてるだろ?」っつうか。














(左のピンチは1足、右は1.5足。元々この状態で干した)













パ ン ツ じ ゃ な い だ け ヨ シ と す る ・ ・ ・ ・ な 、 あ た し 。





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 どう欲目にみても「ステ奥」じゃなく「捨て奥」です。