BOOK INFOMATION
あたしが暮らしている部屋は北側にあり、隣の4畳半には西日があたるのというのに、変な形をしている8畳の部屋は窓が北北東にあるせいで直射日光が当らない。

(上が東。カビが生える押し入れは、8畳間の「収納」と書いてある箇所)
長く住んでいる家なので今更日当たりの悪さをぶーたれる気はないのだが、でも、カビは困る。
そもそもあの、掃除しなくちゃいけないような気にさせるビジュアルが腹立たしい。
あたしがどれだけ身体が丈夫でも、どれだけ汚部屋住人歴が長くても、どれだけカツオ姫と仲良しでも、ふぅーっと吹けば胞子がぱーっと飛び散りそうな出来たてホヤホヤのカビは嫌だ。
第一、あたしが大事にしていたファイルをいとも簡単に汚すようなヤツだ。
絶対友達にはなれない。(ならなくていいぞー)

(中身は無事)
さてと。
変な形の部屋にある変な形の押し入れに生えた忌々しいカビを掃除するか・・・・。


(あたしに何の恨みがあるんだよ、カビ)
押し入れの前に置いたキッチンワゴンの上がヤバいことになっているからそれには触らずに、

(でも、こんなモンは散らかってるうちに入んね。(夏目基準))
左側から潜り込んで、仕舞っておいた扇風機と、役立たずだった除湿剤を押し入れから出した。
で、イラっとした。
次に、押し入れの床に新聞紙を敷いたら、愛用の洗剤をプシューっとね。


で。
押し入れの戸を閉める、と。

(もう一生開けなくても全然ちっとも困らない)
この押し入れに生えたカビを掃除したのは去年の5月で、その次に押し入れを開けた去年の10月には中は何とも無かったから、梅雨時や夏場はこの押し入れにカビは生えなかったことになる。
ということは、押し入れ内部に生えるカビは壁が結露ったことが原因で、結露するっつうことは、壁のすぐ向こうはコンクリートなんだろう。
さて。
前回の記事のコメント欄に多くある「押し入れの戸を開けっぱなしにしては?」という案は、もちろんあたしも考えた。
確かにそれならカビは生えないかもしれない。
でも、別の問題が生じてしまうことに気付いた。
押し入れの壁の向こうに断熱材が施されていないということは、押し入れの戸を開けてしまうとそれは、カーテンのないデカイ窓が部屋に1つ増えたようなもので、つまり、部屋全体がすげー寒くなってしまうのだ。
それじゃあ、仕事に出かける時に戸を開けて、帰ってきたら閉めればいんじゃね?とも思うが、あたしがそんなマメなことをするとも思えない。
それにしても。
夏には戸がなくてもいいけれど戸を閉めておいたところでカビは生えないから開放するまででもなく、その代わり、冬は戸を開けておけば冷気に襲われ、閉めたら閉めたで中ではカビが大発生する押し入れなんて、マジで要らない。
つうか。
そんな手のかかる輩は、夏目父だけで十分だから。
しかし「要らない」と言ったところでどうにもならないわけで、こんな時こそプロに相談するのがいいだろうと思い、前にもちょろっと書いた大工の友人に相談を持ちかけた。
ちなみにこの大工は、設計士でもあり建築士でもあって、新築もリフォームも手がけている。

(すげー久しぶりに焼き鳥屋に行った)
「で、その押し入れ、変な形ってどんな形なの?」
「鍋に入れようとしてちょっとデカく切っちゃった最初の長ネギみたいな形」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・たとえが判りづらいって」
「判れよ」
「えーっと、うーんと、今より押し入れが狭くなってもいい?」
「うん」
「わかった。じゃあ、近いうちに寸法図りに行くよ」
「あ゛?」
「え?」
「「やってちょーだい」って言ってんじゃないよ」
「へ?」
「あたしが自分でやるの」
「えええええええええええええ!」
「・・・・うるせえよ」
「自分で?お前が?」
「うん」
「無理でしょー」
「難しいんだ」
「いや、そうじゃなくて」
「ん?」
「結構時間かかると思うよー」
「時間かかってもいいんだよ。最悪、次の冬までにできればいい」
「でも」
「なに」
「お前、すぐ飽きそう」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
「で、メンドクさくなって中途半端なところでやめちゃって、かといって続きを俺に頼むわけでもなくて、そのうち、カビなんて気にしないことにした、とか言いそう」

(気にするけどカビ取りハイターで取るよ。買い置きもあるしね)
「でさ」
「・・・・まだ続くのか」
「そのうち、「いいこと考えた!あたし、部屋の押し入れで椎茸育てる!」とか言い出して」
「・・・・・・・・どんだけ頭悪いんだよ、あたし」
「いや、お前は自分じゃ気付いてないかもしれないけど、時々ものすごく頭悪いんだよ」
「・・・・知ってるよ」
「ならいいけど。でね、」
「・・・・もういいよ」
「(無視して)椎茸に失敗したら次はなめこ!とか、松茸!とか言いそうな気ぃするんだよ」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
「あのさ」
「・・・・はい」
「念のため言っとくけど」
「はい」
「 押 し 入 れ で 椎 茸 は 無 理 だ か らね ? 」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。
そ ん な 念 押 し 、 い ら ね え か ら 。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。
そ ん な 念 押 し 、 い ら ね え か ら 。
こうしてズンズン話は逸れ、結局この日は押し入れをどうするか、結論を出さずに散会した。
ところが、月曜日の日中、大工な友人から不思議なメールが届いた。
> お前んちの玄関の前にブツを置いておいたから、
> カッターで切って、押し入れの壁に隙間なく貼り付けてみて。
> 隙間なく、がポイント。
> 完成したら写メするように。
> 期限は2008年3月31日。
> 1分でも遅れたら、俺に鮨奢ること。
なんかやたらメンドクセぇこと言いやがるなあ・・・・。
そしてその日遅く、このメールのこともすっかり忘れた頃に家に帰ると、玄関先には、見たこともない不思議な物体が置かれていた。

(スタイロフォームなる断熱材。らしい)
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。
(これを切って貼る自分を想像中)
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。
おう、大工。
鮨 食 い に 行 く ぞ ぉ ー 。
(不戦負)
汚部屋にあるモノをあれだけバンバン捨てたくせに、それでもまだ、どうしても捨てられないモノがあった。
使うか、使わないかで言えば、まあ使わない。
でも、あたしが想像するにそれは、あたしと同年代の人の実家になら5枚や10枚はありそうな気がする。
音楽をダウンロードして聴く時代にレコードを持っていたところで聴きやしないってことは判っているけれど、でも、今ほど心(や身体や部屋)が汚れていない頃に大切にしていた物は、やはり捨てるに忍びない。
あたしは、誰もが羨む、住宅展示場のモデルルームみたいな部屋で生活感無く暮らしたいわけじゃない。
ただ、自分の住み処が自分にとって居心地のいい場所になればそれでいい。
だから。

(これは第一期生)
壊れた物だって絶対に使わない物だって、それがたとえば、「かつての自分は今よりもずっと物を大事にして暮らしていたんだ」ということを思い出させてくれるのであれば、寧ろとっておいたほうがいいような気もする。

(昔あたしはこの人を「でびぼー」と呼んでいた。何だその略し方は)
CDと違ってレコードは、どんなに小さい傷もつけてはいけない物だったから、それはもう、大事に大事に扱っていた。
好きな歌手のレコードを買うためにお小遣いを貯めて、ようやく1枚のLP(!)を買えた時の嬉しさったらなかった・・・・って。
とはいえ。
4畳半にあったレコードプレーヤーは去年の初夏に捨ててしまったし、どれだけ安く売っていようとも、これから先、あたしがレコードプレーヤーを買うことなんてないだろう。
それならば、何か特別に面白いレコードだけを取っておいて、後は捨ててもいいのかな。
たとえば、こういうのとか。

(1972年に発売されたらしい。ってか、この歌詞、阿久悠だったのか)
・・・・なんてことをアレコレ考えつつも、あたしは去年の秋、家にあるレコードを全てまとめて、自分の部屋の、変な形の押し入れに突っ込んでいた。

で、最近になってようやく、これらを処分する気になった。
部屋を片付けようと思い立った時、自分の物より先に家族の物を片付け出すような、まるで、自分の部屋が汚いのは家族の誰かのせいだと言わんばかりの片付け方はしたくないと思っていたけれど、いよいよ、自分の物以外にも手をつけていい頃合いなのかもしれない。
よし、捨てるか!
・・・・と、レコードをまとめていたファイルボックスを押し入れから引き出した。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。
この週末の予定決定。
カビ取り。掃除。カビ対策に決定。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。
つうか。
カ ビ が 生 え る 押 し 入 れ な ん て 、 い ら ね 。 マ ジ で 。
春になったらライブに行く気満々の夏目父は、最近予習に忙しい。
「♪やっときぃたーんだよ あーいたかーあったでそー♪・・・・って、ねえねえ、ここんとこ、「会いたかったでそー」って聴こえるよね?「でそー」って。ね?」
・・・・耳だけで予習しろや、と文句のひとつも言いたくなるが、まあ例年これだから出来ないんでそー。そうなんでそー。

そういえば、2月の3連休あたりから、夏目父はウザ元気だった。
普段からだいぶオカシイ人だが、ウザ元気になった夏目父はいつもの30倍くらいメンドウで、思えば、角煮を作ったあたりがそのピークだったんじゃないかと思う。
確かにあたしは料理が出来ないけれど共同作業はもっと出来ない。
なのに、手ぇ出すどころかあたしを助手扱いにしやがる始末で、あげく、豚バラブロックの煮汁を捨てようとしたあたしに向かって、「ばか!」と言いやがった。

(良い子のみんなー。バカって言うヤツがバカなんですよぉー)
「・・・・・・・・煮汁は250ccしか使わないんだよ」
「角煮には250ccしか使わないってことでそ。他の料理に使えばいいでそ」
「・・・・・・・・他の料理って何」
「な・に・か、でそ」
「・・・・・・・・その「何か」は誰が作るの」
「だ・れ・か、でそ」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。
「でそ」「でそ」ってウゼー。超うぜー。イラっとするー。殺意芽生えるー。
でも、どれだけイラっとしようとも、それを夏目父に表明したところで何ともならないわけで、だからあたしは黙って、煮汁を他の鍋に移した。
それを使って何を作るのか?何が作れるのか?すら判らないまま。
で、鍋ごと冷蔵庫に入れてみたのだが、冷蔵庫に変なモノ(夏目基準)が入っているというのがどーも気になって仕方ない。
そもそも、ああいう煮汁って日持ちするの?塩や醤油の味がついてりゃなんとなく想像もつくけど、豚とネギと生姜の汁なわけでしょ?そんなの、あっつう間にダメになるんじゃないの?
うー、鍋の蓋を開けて酸っぱい臭いがしてきたら嫌だなあ。
その鍋を洗うのも嫌だし。
いいや、あの鍋だって古いモンだし全然ちっとも惜しくねえや。
よぉーぅし、もし大変なことになってたら鍋ごと捨てよう・・・・って、ダメだ。
中身が入ったまま鍋を捨てちゃ、ゴミ捨てルール上問題アリだ。
うぅぅぅ........、分別メンドク・・・・(以下、自主規制。一文字だけだけど自主規制)。
最悪の事態しか考えつかないため、気持ちをスッキリさせるべく、夏目父が居ない隙にそぉーっと鍋を覗いてみた。
で、ビビった。

(これを見てビビるのはあたしだけか)
ひぃぃぃー!透明だったスープが茶色になってる!
それに、なんだこの白いのは!
脂?それとも・・・・!?
(鍋の中で起きた最悪の事態を脳内シミュレーション中)
(シミュレーション終了)
ひ ぃ ぃ ぃ ぃ ぃ ー !
(うるせ)
(シミュレーション終了)
ひ ぃ ぃ ぃ ぃ ぃ ー !
(うるせ)
つーか、なんでスープがこんなに茶色いんだよ!
たった1日しか放置してないのに、鍋の中で何があったんだ!
(再び、鍋の中で起きた最悪の事態を脳内シミュレーション中)
(シミュレーション終了)
ひ ぃ ぃ ぃ ぃ ぃ ぃ ぃ ぃー !
(うるせえっての)
(シミュレーション終了)
ひ ぃ ぃ ぃ ぃ ぃ ぃ ぃ ぃー !
(うるせえっての)
・・・・とそこに、夏目父登場。
そして、慌てて鍋を元に戻そうとするあたしを見て、言った。
「醤油とか入れといたから」
「!!!」 ←茶色は醤油か!と安心する、料理が出来ない女
「ああ、固まってる脂はとってね」
「!!!」 ←脂だったのか!と安心する、料理が出来ない女
「ちなみにそれ、ラーメンスープ」
「!!!!!!!!」

(3玉88円。ブレてるのは空腹で撮ったせいか?)

(麺を茹でるくらいはあたしも出来る)

(正しい使い方。間違った使い方はコチラから)

(固まった脂を取ってもまだこのくらい)

(ぎゅるるるるるー! ←炭水化物に反応したらしい)

(ネギを切るのもなんとか出来るが、幅3ミリ以下は無理)
いっただっきまーす!

(角煮を乗せて出来上がり。美しい盛り付けとか彩りを考えるのは出来ない)
「あ、美味い!」
「美味しいねえ」
「すごいよ、とーちゃん!」
「でそ?」
「(イラっとしつつも)こんな風に、角煮の煮汁でもう一品みたいなのって、「デキる主婦」って感じだよね」
「美味いし安いしね」
「この技をマスターすればあたしも、ステ奥になれるかも!」
「なにそれ」
「すてきな奥様」
「え゛!結婚すんの!?」
「いや、しねーけど。つーか、できねーけど」
「なんだ。まあ、奥様になれなくちゃ、そのステ奥とやらにもなれないよね」
「うん」
「っていうか、ラーメンライスを食ってるようじゃステ奥は無理」
「え?」

(ごはんはおかわり自由なので、3膳食べた)
「オッサン街道まっしぐらでそ」
「(イラっとしつつも)餃子無し、ビール無しだよ?」
「・・・・その発想がもはや女子じゃないでそ」
「(イライラっとしつつも)器は女子だよ!」

(ごちそうさまでしたー)
「器は関係ありません」
「そうですか」
「そうでそ」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
誤解しようも無いと思うが念のため書いておくと。
スープを作ったのは夏目父で、あたしはそのスープの脂をとって温めて、買ってきた麺を茹でてネギを刻んだだけ。
あたしが美味しいと言ったら夏目父は満足げな表情をしていたから、「俺が作ったスープ」と思っていたに違いない。
が。
2人でラーメンを食べた翌々日、事態は急変した。
その朝リビングにいった時は、「なんかすげー具合わりぃー」と、娘の口調を真似る余裕があったのだが、時間と共に顔色が悪くなり、夜になると夏目父は「寒い」と震えだした。
熱を計ってみるとなるほど39度近くあり、さてどうしたものかと思っていると、とうとう、上から下から大変なことになった。
「んー、胃腸にくる風邪かねえ」とあたしが言った。
すると夏目父は、顎まで布団をかけたまま、「違う」と言う。
「じゃあ何だろう」と訊いた。
すると夏目父は、添い寝しにやってきた自堕落番長の鼻先に向かって、まるで内緒話でもするかのように囁いた。
「娘が作ったラーメンにや・・・・ら・・・・れ・・・・た・・・・!」
・・・・・・・・・・・・・・・・。
「おうこら」
「・・・・・・・・・・」 ←狸寝入り
「オカシなこと言うと」
「・・・・・・・・・・」 ←同
「あたし、トイレに篭城す・・・・」
「 風 邪 で そ ! 」
部屋を片付け始める前、あたしは自分が「片付けられない女」ではなく「片付けない女」なんじゃないか?と思っていた。
「片付けられないんじゃなくて片付けてないだけ」と。
なんともイタイ話だ。
まあ、あれだけ酷い汚部屋と真正面から向き合う勇気が出ず、現実逃避の意味で自分自身に言い訳していたんだろうが、いざ片付けを始めてみたら、ありえないくらい要領が悪いわ頭が働かないわで、「やっぱりあたしは片付けられない女なんだ」と思い知らされた。
片付けたことがないから、自分が「片付けられない」のか「片付けない」のかすら判らなかった。
しかし、だ。
料理に関しては、「しない」のではなく「出来ない」のだと判っている。
何がどうダメかというと、単純にセンスがない。
気まぐれに何かを作っても、百発百中、不味い。
せめて10回に1回くらい「まあ、こういう料理があってもいいかな」と思えるものが出来上がってくれればいいけれど、レシピを見ながら作っても100%確実に完璧に不味いのだから、これはもう、材料を切っている手か包丁かまな板か、鍋かフライパンから、「料理が不味くなる汁が出てるんじゃ・・・・?」と思いたくなる。
そういえば、あたしがこれまで100回は読み返している本、ナンシー関とリリー・フランキーの対談集 『 小さなスナック 』 でリリー・フランキーが、



「自分が作るカレーは何故だか魚の匂いがする」と話していた。
シーフードカレーを作っているわけでもなく、それ系の物を入れたわけでもないのに、だ。
それを読むたび思い出すのは、あたしが昔、ビーフシチューを作っている最中、鍋からなんでだかカニの匂いが漂ってきたことだ。
何度嗅いでもカニだった。多分毛ガニ。
市販のルーを使って突飛な具材を入れたわけでもないのに何でそんなことになるのかはもちろん判らないし、カニの匂いがするビーフシチューは当然不味かった。
そんな、自他共に認める「料理の出来ない女」の元に、圧力鍋が届いた。
が、もちろん、何の前触れもなく送られてきたわけじゃない。
ペコさんが以前書いていたHRの美容液レポを読んで、「なぬー?ブログをやってるとそんなステキな体験が出来るのか!」と思って登録したサイバーバズで募集していた「 『 ラゴスティーナ 』 圧力なべモニターキャンペーン」 に応募したら、おそうじペコさんと共に当ったのだ。
そ、そう、応募したの。
料理も出来ないのにあたしが自分で応募したの。
で。
「 当選しましたメール 」 を見た途端、途方に暮れたの。
モニターというからには使用感レポを書かないといけなくて、使用感レポを書かないといけないってことは、料理をしなければならないということ。
圧力鍋どころか、ミルクパンさえも使わず日々生活しているあたしに、そんなことが出来るのか!?と思い、なんだか結構、いや、あたしにしてはかなり真剣に悩んだのだった。
圧力鍋が我が家に届くことになった経緯を説明した後、夏目父に「何を作ればいいんだろ」と訊いてみた。
すると、「近所の惣菜屋で煮物でも買ってきて「作りました☆美味しかったです♪」って書けばいいじゃん」と言う。
夏目父に相談したあたしがバカだったと猛省し、次は、焼肉を一緒に食べた、料理上手だけど聡明ではなく片付けられない女友達(長い)に相談してみた。
すると彼女は迷いもせず、「豚の角煮」と言った。
「角煮?」
「そう」
「ふうん」
「だって(註:ここから一気にまくし立てます)、肉じゃがでも煮物でもカレーでもいいけど作ったからには食べなくちゃいけないわけよ。でもあんた、食べるの?っていうか食べたい?別に、でしょ。でも角煮を2切れ3切れなら食べるでしょ。自分らが食べるもの作りなよ」
「・・・・な、なるほど」 ←押され気味
「あと、比較的、手間かからなくてラクだから」
「そうなの?」
「そうなの」
「ふうん」
というわけで、生まれて初めて使う圧力鍋というもので、生まれて初めて豚の角煮というものを作ってみることにした。
圧力鍋についてきた冊子にあったレシピ通りに。
400グラムの豚バラブロックというのを買ったのも人生初。

(推定30年モノのまな板だが、ここ11年はほとんど使っていないに等しい)
これと、長ネギを1/2本・・・・と。
あ、え?長ネギ?

(しかも枯れてる)
緑のとこしか残ってないけどまあいいか。(根拠ナシ)
で、次は生姜を3枚、と。

あれれ。
3枚でいいのになんかいっぱい切っちゃった。
まあいいか。(根拠ナシ)
で、水を1リットル入れて、と。

(後から数えたら、生姜は9枚。レシピの3倍)
これだけ入れてフタをして中火にかけて、シューってなったら弱火にして、そこから23分加圧、とな。 ←レシピを見て確認しまくった。一生忘れなさそうだ。

圧力鍋を使ったことがある人ならば普通に知っているんだろうが、あたしは火にかけるまで知らなかったことがある。
圧力鍋って、蒸気が出る、シューって音、すごくね?
いや、これをすごいと思うのは単純に我が家では聞いたことのない音だからなんだろうが、なんかこう、とても大層なものを作っているような音がするのだ。
「・・・・ねえ」
「ん?」
「圧力鍋ってうるさくね?」 ←暴言
「そう?料理してるんだもん、こんなもんでしょ」
「そうか。料理ってうるさいものなのか」
「・・・・うるさくないってば」
「え、うるさいよ」 ←シツコイ
「いや、俺にとっては圧力鍋の音よりも」
「うん」
「鍋に向かって何か言ってるアイツの声のがうるさい」

(23分間、鍋から2メートルの距離で鍋に向かって鳴きまくり)
余談だが、我が家に居る、茶色くてシマシマで毛深いこの自堕落番長は、たとえばあたしがやかんを火にかけてお湯が沸くまでのあいだ自分の部屋に戻っていると、やかんから勢いよく湯気が出始めた頃に、物凄くデカい声で鳴く。
これがたとえば、ごはんが炊き上がったのを報せるために炊飯器から流れるメロディーを聞いても鳴くとか、リビングにある電話が鳴っても鳴くのならなんとなく判るのだが、ガスコンロを使っている場合に限って鳴く。
しかも、ニャーというよりは、ウォーーン!と、遠吠えするように鳴く。
で、台所やリビングにあたしか夏目父が居れば鳴かないから、これまでは、「報せてるつもりなんだろうか」と思っていた。
でも今回の件で、報せてるわけじゃないことが判った。
サイレンに合わせて遠吠えする犬が居るように、番長を刺激する何かがあるだけなんだな、この「シュー」には。
シューから23分後、鍋の中の蒸気を抜いてフタを開ける。

・・・・こ、これがホントに美味しくなるのか?
一瞬不安になったがとりあえずレシピブック通りに任務続行・・・・しようと思った矢先、とんだ邪魔が入った。
夏目父だ。
あたしが圧力鍋のフタを開けると、やおらリビングからキッチンにやってきて、「トング!」と言う。
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
「はい!トング!」(手を出しながら)
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
「あれ?もしかして「トング」知らないとか?」
「・・・・知ってるよ」
「じゃあ、はい!トング!」(手を出しながら)
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
なんかこの、医龍が手術室で「メス」って言うような仕草と喋りが気に入らない。
つうか、なんでノリノリなんだよ。
「トング、ありませんけど」
「え?なんで?」
「知りません」
「昨日、マロニーなんか買ってきてないでトング買えば良かったのに」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
ど け 、 じ じ い 。

(退かないじじい、フライ返しとフォークで取り出した肉を切る)

(退かないじじい、フライ返しとフォークで取り出した肉を切る)
「煮汁は何cc使うの?」
「・・・・・・・・250cc」
「はい!煮汁、250cc!」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。
超 う ぜ ぇ ん だ け ど 。

(うぜぇじじいに渋々従う娘)

(うぜぇじじいに渋々従う娘)
「砂糖は?」
「・・・・・・・・大さじ1」
「はい!砂糖、大さじ1!」
「・・・・・・・・・・あの」
「何!」 ←何で張り切ってるのか、マジでうぜぇ
「大さじって何cc?」 ←無知な娘は結構いい歳
「さんじゅう!」
「あ、はい」

(そうかー!大さじ1って30ccなのかー!と内心感動。でも言わない)
追記 : 親子共々間違ってます。15ccが正解だそうでーす。
・・・・と、ここまでは一応親子共同作業だったのだが、いちいち量るのが性に合わないのか、夏目父は酒だの醤油だのみりんだのを目分量で入れやがった。
「ああああ、これまでレシピに忠実に従ってきたのにー」
「は?生姜、9枚も入ってるけど?」
い つ の 間 に 数 え た ん だ よ 。
調味料を加え、フタを閉め、更に10分加圧。
またもや「うぉーーーーん!」と吠える自堕落番長と共に鍋を監視し、シューからきっかり10分で火を止めフタを開けた。

び、微妙・・・・。
ところが、フタを外して少し煮詰めると、居酒屋でよく見てよく食べているのに似た物が出来上がったのだった。
加圧時間は2回の合計で33分。
鍋を準備してから皿に盛るまでかかった時間は45分。
写真を撮りながらじゃなきゃ、もうちょっと短縮できるのかも。
で、肝心の味だけど。
何しろ、自分が作った料理を美味しいと思ったのは初めてなもんで、戸惑いまくった。
「き、奇跡・・・・だよね?」
「何が?」
「だってこれ美味しいよね?」
「うん」
「圧力鍋ってすごい!」
「うん、すごい」
「やっぱ奇跡だよ。あたしが作った料理がこれまでまともだったことなんか・・・・」
と、ここで夏目父があたしの喋りを遮って言った。
「俺が作ったんだもん、美味しいに決まってるよ」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。
ご馳走様でした。大変美味しゅうございました。
・・・・って、言えばいいのか。満足か。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。
ご馳走様でした。大変美味しゅうございました。
・・・・って、言えばいいのか。満足か。
つうか、夏目父よ。
次は、ビーフストロガノフ、よろしくね。
(100%有り得ねー)
(100%有り得ねー)
金曜日。
「何食べる?」
「焼肉以外で」
「珍しいね」
「明日焼肉食いに行くからさあ。あっ、辛いモンが食べたい」
「じゃあ、韓国料理屋さんにしようか!」
「うん!」
・・・・と話がまとまり意気揚々とタクシーに乗り込んだ5分後にあたし達が、韓国料理屋さんではなく餃子屋に居たのは、件のニュースのサブリミナル効果ではなく、店の外壁にデカデカと書かれていた文字に、2人揃って心奪われたからである。

(焼き目パリパリの鶏肉棒餃子)
前回彼女と会った時は本が出たばかりだったが、その後彼女はじっくり、本もブログも読んでくれていた。

いや、「読んでくれていた」どころではない。
元々文章を読むのが好きな人ではあるが、改めて話してみると、それはもう面白いくらいにあたしのブログに詳しかった。

あたしがコメント欄にちょろっと書いた話も知っているし、リンクしているブログも読んでいる。(主婦である彼女の最近のヒットは粉モンブログ)
そして、本やブログを読んでいて、尚且つ、あたしをよく知っているからこそ抱く疑問も多数あるらしい。
で。
質疑応答に入る前にまず、あたしと彼女の心を鷲掴みにした物を注文した。

(「あ、撮る?」と、首を持ち上げる料理人)
うひょー!

(「(鴨の)首、いる?」と料理人。食えないモンはいらね)
うひょひょー!

う ひ ょ ひ ょ ひ ょ ひ ょ ひ ょ ー い !
(壊れた女)
北京ダックでテンションが上がりまくり、喋りまくり、「吉田ってもしかして○○さん?」「そそそ」なんて話もしまくり、ついでにメートル上がりまくり(死語)、予定通り泥酔。そして撃沈。
翌土曜日。
毎週毎週、土曜の朝になると「あ゛ー」となる。
片付け始めて暫く経った頃にセットしたケータイのアラームを解除していないせいで、用事があろうとなかろうと、土曜の朝は7時に目を覚ますハメになるからだ。
で、この7時という時間が非常に半端。
なんで7時にセットしたのかは、もはや自分でも判らないが、用事がない時はもちろん、用事がある時でも7時に起きなければならない時なんてほとんどない。
なのに起きてしまう。
あ゛ー、だ。
酒の残る身体で布団から出て、資源ゴミの収集場所まで新聞を運ぶも、そこには「資源回収は来週土曜になりました」と書かれた張り紙があった。
最初は呆然とし、すぐに、顎が地面まで下がりそうなくらいがっかりした。
で、体感的には行きの倍くらい重くなった新聞紙を持って家に戻ろうとすると、我がマンションの誇りであるスーパー専業主婦のひとりに出くわした。
「おはようございまーす」 ←朝から爽やか
「・・・・はよーございやす」 ←全身アルコール漬け
「資源回収、来週になったのよねえ」
「そうだったんですね・・・・」
「あら、夏目さん」
「あい」
「その新聞、おうちまで持って帰ることないわよ」
「え?」
「ちょっと待ってて。今倉庫の鍵開けるから、倉庫に入れておきましょうよ」
「いいんですか?」
「置きっぱなしはもちろんダメよ。でも、ちゃんと来週倉庫から出せばいいわよ」
「わー、(酒残ってるわ身体重いわで、いっそのことこの場で燃やしてしまおうかと思ってたんで)助かりますー」
「夏目さんち、ゴミ置き場まで一番遠いんだし、また4階まで持っていくことを考えたらここは臨機応変にね」
す・・・・、
す・・・・、
好 き で す っ 、 奥 さ ん !
スーパー専業主婦のおかげですっかり気分が軽くなったあたしは、部屋に戻って風呂を洗い浴槽にお湯をはり、洗濯機を回してから、ゆったり湯船に浸かった。
で。
溺 れ か け た 。
(良い子は風呂に浸かって寝ちゃダメよ)
(良い子は風呂に浸かって寝ちゃダメよ)

(夏目父がいつも絶賛する上カルビ)
あたしは親と一緒に呑みに行くことがよくあるのだが、その時はこの女友達が一緒のことが多い。
親と一緒に呑んでくれる友達の存在は本当に有り難い。
たとえ、
「ちょっと聞いた?今うちの娘、親に向かって「あっちに座れ」って言ったよ」
「冷たいねー」
「「あっちに座れ」だって」
「もっと優しく言えばいいのにねー」
「ねー」
「ねー」
と煩かろうが。(正確には「あっち側に座って」と言ったのだが、まあ大差ない)
そして翌日曜日。
我が家は朝からソワソワしていた。
特に、夏目父に落ち着きがなかった。
「何時に来るんだろう?」「クール宅急便なら午後だと思うよ」という会話をしたのが、午前10時頃。
「宅急便が来る前に買い物に行ってきてよ」「うん、3時くらいには行くから」という会話をしたのが昼ちょい過ぎ。
その後も。
「マロニーちゃんも買ってきて」とか「葛きりじゃなくてマロニーちゃんね」とか「マロニーちゃん、忘れないでね」とか「♪マーロニーぃちゃん♪ってメロディ、作曲はやっぱ、浪花のモーツァルトかね?」とか「マロニーちゃんって、なんで「ちゃん」付けなんだろう。クンじゃダメ?マロニークンじゃダメ?」とか「たとえマロニーちゃんが1袋1,000円でも買ってきてよね」と、20分おきくらいに言う。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。
あたしがマロニーを買い忘れたら泣くんじゃね?
(そんな親はイヤだ)

(他にも白菜や春菊など、3年分くらい包丁を使った)
(そんな親はイヤだ)

(他にも白菜や春菊など、3年分くらい包丁を使った)
何故だか夏目父は、マロニーちゃんの袋をあたしの手の届かないところへ置いたが、鍋の中に入れるんだから意味ねーし。
こうしてサブの準備は完了。
そしていよいよ、メインが到着した!

(じゃーん!)

(どーん!)
『 地球洗い隊 』 の企画 『 大そうじ大賞2007 』 の賞品、勝負肉である。
審査員を引き受けてからずっと、「勝負肉が羨ましい(じゃねえか、このやろう)」と言い続け、あげくは、「写真だけでどんぶりメシ3杯はいける」とまで書いたからか、 『 地球洗い隊 』 の小山田店長があたしにまで大盤振る舞いしてくれたのだ。
この勝負肉ですき焼きをした。
食べるのに夢中になりすぎてすき焼きの写真を撮り忘れたのだが、ほんとうに、ほんとうに美味しかった。
それと。
料理が出来ない娘と料理をしない親が暮らしているもんだから、もう何年も、家のリビングで鍋がグツグツして美味しそうな匂いが立ち込めていたことなんて無くて、だからなんだか、あたしも夏目父も幸せだった。
「家で美味しいものを食べられるのって、幸せですなあ」
「そうですなあ」
「この電気鍋も久しぶりに使ったもんね」
「そうだねえ。もう、どこで買ったのかも忘れたもん」
「あたし覚えてるよ」
「え、どこ?」
「あの、小学校の時に住んでた・・・・」
「ん」
「・・・・・・・・・・・おい」
「ん?」
「あんなに、うなされたように言ってたくせに」
「え?」
「マロニーちゃんはそっちのけで、肉ばっか食ってんじゃねえかよ」
あたしがそう言うと夏目父は少し恐い表情で、きっぱり言った。
「何言ってんの。何が悲しくて俺がマロニー食わなくちゃいけないの」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。
知らねーよ。お前が買ってこいって言ったんだろうよ。
つーか。
肉を目の前にした途端、「マロニー」って呼び捨てにするその態度はどうかと思うよ。
食べ始める前は、「すごい量だし一気に食べちゃうのもったいないから、2回に分けて食べる?」とか呑気なことを言っていたし、食べながら、「幸せだねえ」なんて言い合っていたのだが、お互い内心、「お前より、1グラムでも多く食ってやる!」くらいのことを思っていたのだろう。
「おなか苦しー」と言いながらも箸が止められない。
結局一晩で全て平らげ、「勝負肉で満腹になっちゃって、もう動けないー」という、食いしん坊万歳状態。
一昨日は北京ダックと餃子、昨日は焼肉、今日はすき焼き。
しかも超満腹。
普通ならば、「当分お肉はもういいや」くらいの気持ちになりそうなものだ。
なのに、肉(と鮨)が好きな夏目父は、ソファーに仰向けに寝転がりながら(牛食って牛になる気満々)呟いたのだった。
「 明 日 は 豚 の 角 煮 だ ね 」

(翌朝撮影。件のダンボールの中身は圧力鍋)
・・・・・・・・・・・・・・・・・・。
料理、全然できないんだけど、俺。
(つづく)
#続きのへなちょこ料理記はすぐに書くので、今回はコメント欄閉じまーす。
#ほんとにへなちょこです。

ここ2週間くらいでだいぶメンツが変わってる気が。
自分でもなんでだかはよく判らないのだが、とっくに壊れていたのに買い替えず、もう何年も騙し騙し使っていた物がある。
物凄い高価な物ってわけじゃなく、貯まっているヨドバシのポイントを使えばすぐにでも買えちゃう物。
「つーか、VARDIA買う前にまずそっちだろ!」とは、自分でも思っていたし、

夏目父には部屋を片付け始めてすぐに、「何よりも先にアレを買い替えましょう」と言われてもいた。
というのもそれは、夏目父の会社の仕事をする時にのみ使っていたからで、まともな使い方が出来なくなったそれと格闘しているあたしを見ていた夏目父は多分、「早く買い換えればいいのに」と長年思っていたに違いない。
CDコンポとか大量の衣類とか、なくても困らない物は思いつきで買うくせに、本当に必要な物をなかなか買えないなんて普通に考えればオカシイ話だが、もしかすると実はあたし、物凄い倹約家・・・・は雀荘になんか行きませんね。そうですね

モニタのすぐ横にあるCANONのモノクロレーザプリンタLBP-220が発売されたのは、1997年6月らしい。
あたしが買ったのは発売された年の暮れだった記憶があるから、丸10年使い続けていることになる。
レーザなのに小さくてそれなりに高性能なところが物凄く気に入っていたのだが、如何せんこのプリンタ、使い始めて数年経つと、正常に紙送りが出来なくなるという事象が頻発する機種。
(参考:「CANON LBP-220の紙の多重送りを改善しよう」)
あたしのも、使い始めて3年くらい経った頃から一度に2、3枚の紙が給紙されてしまうようになり、やがてそれは5枚になり7枚になり、最近では、一気に20枚くらいの紙が給紙されるようになった。
で、早々に自動給紙は諦め、何枚印刷する時でも必ず、1枚ずつ手差ししていたのだが、たとえばA4の紙50枚に印字しようとすると、1時間くらいは平気でかかってしまうわけで。
夏目父はあたしがそうしてまでこのプリンタを使い続けていることが理解できず、いつも、「なんで新しいの買わないかねえ」と、不思議そうに呟いていた。
なんで新しいのを買わないのか?って、「紙送りはオカシイけど印字はまともだから」くらいしか理由はないのだが、去年の秋くらいからとうとう、印字もちょっとおかしくなってきた。
そして決定打は、この発表。
キヤノンのレーザープリンター・ファクシミリなどに異臭や発煙の可能性
キヤノンは4日、1995年から2006年にかけて製造・販売した小型複合機8機種とレーザープリンター7機種、ファクシミリ2機種の計17機種で、製品の設置状況や電源コードの配線状況によって、電源コネクターの差し込み口に長期間のストレスが加わった場合などに、差し込み口のはんだ付け部に亀裂が生じて、異臭や発煙に至る可能性のあることが判明したと発表。注意を呼び掛けている。ほかの写真 はんだ付け部に亀裂が生じた場合、回路が断線して使用できなくなったり、その断線の状況によっては製品内部から異臭や発煙が生じる可能性があるという。 対象製品の電源コードや電源コネクターの取り扱い方法について注意喚起を図るとともに、ユーザーの使用環境によっては対象機種を無償で発生防止措置を行う。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20071204-00000021-rbb-sci
1枚1枚、紙を手差しで給紙し続けること7年。
ようやく買い替えを決意したのだった。
で。
買ってきたプリンタは、10日ほど、玄関に放置。
こんな邪魔なところに置いてたら、いくらあたしでもさっさと交換するだろうと思っていたのだが、あたしは自分が思っているよりもずっと、鈍感でモノグサらしい。
しかし昨日、いよいよ、夏目父の会社の仕事で300枚ほど印刷しなければいけなくなったため、ようやく交換した。
まずはプリンタ付近にある物を撤去。
すると、

(希望も救いもないストーリーで、観た後は親子沈黙)
こんなものやら、

(好きでもないのに案外いるなあ、黄色いクマ)
こんなものが残った。

(前から見ると普通だが)

(真上から見ると、見事なダラけっぷり)
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。
ヤル気が失せそうになるけど止めるわけにはいかない。

(モニタの裏側は、ケーブルと埃がいっぱい)
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。
「埃を取るべきか?掃除するべきか?ゴチャゴチャになったケーブルを整えるべきか?」と思わなかったこともないが、完璧を求めると頓挫しそうだったので、見なかったことに。

(撤去完了)

(配置完了)
とりあえず置いてはみたものの、PCと繋ぐケーブルが同梱されていない。
で、取説を見てみると。

(「本プリンタにはUSBケーブルは付属していません」)
部屋がゴミ屋敷みたいだった頃ならば、確実にドンキに車を走らせていただろう。
このプリンタに合うUSBケーブルを自分が持っていることは判っているのに、部屋のどこにあるのかは見当もつかず、それを探すことを考えただけで気が遠くなるから、買いに走っていたハズだ。
いや。
今回も一瞬焦ったし、「箱の中に書いてどうするよ。箱にデカデカと書いとけよ」とも思った。
でも、買いには行かずに済んだ。

(捜索にかかった時間、1分弱)
「部屋のどこかにあるのが判っているけど探すのがメンドウだから買う」の積み重ねが汚部屋を作った原因のひとつなんだということをどれだけ理解していようとも部屋を片付け始めていなければ、やっぱり買いに行っていたと思う。
あたしが今、探そうという気になれるのは、探すことが以前ほどは大仕事じゃないことを身をもって知っているからなんだろう。
こうすると散らかる、こうすると物が増える、という片付けのノウハウは巷に溢れているけれど、汚部屋住人がそれを知ったからといって即実生活に取り入れられるかと言えば、そうでもない。
というか。
そんな片付けのノウハウが机上の空論と思えるほど、以前のあたしにとって、USBケーブルは遠いところにある物だったのだ。
無事PCとプリンタを繋ぎ、テストプリントをし、300枚超の印刷を開始した。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。
はいはい。わかってますわかってます。やりますよ。すぐやります。

問題は、明日の午前中の資源回収にダンボールを出し、月曜日にプリンタを捨て、火曜日にプラゴミを捨てられるのか?なのだが、まあ、まとめておけばいつかはやるだろう。
つうか。
資源回収、明日かー。
1ヶ月って早ぇーなー。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。
明日か。
午前中だよなあ・・・・。
今 晩 呑 み 過 ぎ る 予 定 な ん だ け ど。
(あたしに唯一ある計画性)
(あたしに唯一ある計画性)
これらのゴミをとりあえず4畳半の部屋に移動した頃、印刷も終了。
もちろん、以前とは比べものにならないくらい早かったし、何より、印刷中にプリンタに付きっきりだったことを思えば、「新しいプリンタ、ばんざーい!」だ。
ふむふむ。
印刷が終わったら、前面のフタを閉めておけばいいんだね。
ほうほう、どれどれー。
パ タ ン 。

(やっぱり白にしとけばよかったんじゃ・・・・)

(やっぱり白にしとけばよかったんじゃ・・・・)
ま、ま、ま、まあ、パソコン周りの掃除は、3連休にやりましょう。そうしましょう。
・・・・9割9分、やらないと思うけど。(こら)
そして今朝。
10日ぶりに広くなった玄関先には、「ふそうしゃ」と言えない宅急便のお兄ちゃんが立っていた。
「早くにすみません」
「いえいえ」
「さいーばーず・・・・あれ?さばーい・・・・あれ?さいばいばー・・・・?」
「・・・・・・・・サイバーバズ」
「そうです!さーばーばーずさんからお届け物でーす」
「・・・・・だから違うっての」

(玄関に何もなかった時間、5時間)
秘密主義というわけでは決してないのだが、積極的に友人に連絡をしない不届き者なので、友人に会う時はいつも「久しぶり」になってしまう。
限られた時間では、お互いの近況を話すのが精一杯で、会わない間に「話したい」「伝えたい」と思っていたことを伝えそびれてばかりいる。
去年の夏の終わりに、彼女と長く電話で話したというのに、実家のことや片付けのこともたくさん話したはずなのに、その時もあたしは、伝えたいことを伝えられなかった。
友人の中で最も付き合いの長い彼女は、あたしが年賀状に書いた「話したいことがある」という言葉を気にかけてくれ、年明けに2回メールをくれた。
あたしが返信したのは、最初のメールを受信してから10日も経ってからだったが(我ながら酷い)、そうして久しぶりに会ってみると、彼女はあたしが返信しないことを責めるわけでもなく、「ちゃんと届いてたならいいの」とアッサリ言う。
有り難い人だ。

照明を全て、フランク・ロイド・ライトで統一しているような洒落た店でも、あたしはいつも通り生ビールを頼み、お酒が飲めない彼女はノンアルコールカクテルを頼んだ。

「・・・・で」
「ん?」
「話したいことってなあに?」
ニコニコしながら答えを待つ彼女にあたしは、「結婚するんじゃないからね」と、言わなくても判ることを敢えて言い、自分の本を差し出した。

ブログをやっていることや本を出すことになったいきさつをあたしが話す間、彼女はパラパラと本をめくっては開いたページを見て笑っていたのだが、あたしをよく知っている人に手っ取り早く状況を理解して貰うには、単行本用に書き下ろした文章を読んでもらうに限るわけで、だからあたしは「ゆっくりどうぞ」と言って、彼女がそこを読み終わるのを待つことにした。

読み終えた彼女は、「こういう場所じゃなく、ひとりっきりで読んでたら泣いてたよ」と言って顔を上げたのだが、その目は十分過ぎるほどに潤んでいて、それを見たあたしは危うく泣きそうになった。
その後、店を変えて明け方近くまで、お互いの仕事や家族や家やヒメカツオブシムシや恋愛について語り合った。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。
み、み、見栄張っちゃった。
コイバナをしたのは彼女だけだったぜ。
そして一昨日のこと。
思いがけず彼女から手紙が届いた。

封をきってみるとそこには、便箋2枚に渡って、本の感想と彼女の想いが書き綴られていた。

一瞬、「メールじゃノーリアクションだから手紙にしたのか」と、情緒のないことを考えたのは内緒だ。
彼女が数年に1度くれる手紙はいつでも可愛くて強くて優しいのだが、今回のは格別で、こんなあたしを否定せず、かといって過剰な賛辞が並んでいるわけでもなく、でも確実に愛情が詰まっていて、これまで貰ったどんな恋文よりも胸に響いた。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。
ま、ま、また見栄張っちゃった。
恋文なんて貰ったことなかったよ、あたし。
(本当)
(本当)
じーんとしつつも、最後まで読んでしまうのがもったいなくて、同じ箇所を何度も読み返していたのだが、文章の流れは締めに向かっていた。
読み終えるのがもったいなくて、一度に何行も読んでしまわないよう、焦点の合っている文字以外は見ないようにしていたのだが、それでもとうとう最後の一行になってしまった。
が。
そこを読んだあたしは、椅子からズリ落ちそうになった。
何故ならその手紙は、文末にキラキラした目の絵がくっついた、こんな言葉で締められていたのだから。
「あのね、今度、生ガチャピン子に会わせて頂けないかしら・・・・?」
(文中、唯一の敬語がコレ)

(確かに彼女の興味をそそりそうなルックスではある)
え ? ガ チ ャ ピ ン 子 宛 の 恋 文 だ っ た の ?
(違う。と思いたい)
(文中、唯一の敬語がコレ)

(確かに彼女の興味をそそりそうなルックスではある)
え ? ガ チ ャ ピ ン 子 宛 の 恋 文 だ っ た の ?
(違う。と思いたい)
今、片付けブログ界では節約とダイエットが流行っているけれど、その少し前まで大流行していたのは大掃除だった。(初っ端から間違ってる)
でも、いくら探しても、あたしの辞書には「大掃除」どころか「掃除」という文字がない。
2007年版の辞書にもなければ2008年版の辞書にもない。
なのに、だ。
なんでだか、どんな手違いからなのか、 『 地球洗い隊 』 が企画した、『 大そうじ大賞2007 』 の審査員をすることになり、年明けの1月6日に締め切られた後は全ての応募レポートを読み耽る日々が続いた。
欲目なしで、ブログで付き合いのある方のもない方のも同じように、何度も何度も読みました。
家じゅうのありとあらゆるところを掃除している人もいれば、年に1度の大掃除だからこそ普段なかなか掃除出来てなかった箇所にポイントを絞った人もいて、フットワークが重いあたしから見れば、どれもこれもが大そうじ大賞。
迷いに迷い、困ったあげくに血迷って、
そ う だ 、 あ の 人 に し よ う ! と 考 え た り も し ま し た 。
(応募してねーし)
(応募してねーし)
そのくらい難しかったっス。
というわけで。
『 地球洗い隊 』 のサイトで、『 大そうじ大賞2007 』 の審査結果が発表されました。
結果だけでなく、地球洗い隊スタッフと、前回グランプリを受賞した 『 捨ててスッキリ。キレイに暮らす。 』 のsonicaさんのステキなコメントに混じり、汚部屋住人のすっとぼけたコメントが載っているので、是非見てみてください。
あ、そうだ。
グランプリの方にお願いがあったんだ。
えーっと。
賞品の勝負肉が届いたら、ブログに画像をアップしてください。
あたし、その画像を見ながら、
ど ん ぶ り メ シ 、 3 杯 食 い ま す ん で 。
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