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片付けられない女魂     Amazon
(扶桑社 / 全503頁 / 書き下ろしアリ)



あたしが暮らしている部屋は北側にあり、隣の4畳半には西日があたるのというのに、変な形をしている8畳の部屋は窓が北北東にあるせいで直射日光が当らない。




(上が東。カビが生える押し入れは、8畳間の「収納」と書いてある箇所)



長く住んでいる家なので今更日当たりの悪さをぶーたれる気はないのだが、でも、カビは困る。
そもそもあの、掃除しなくちゃいけないような気にさせるビジュアルが腹立たしい。
あたしがどれだけ身体が丈夫でも、どれだけ汚部屋住人歴が長くても、どれだけカツオ姫と仲良しでも、ふぅーっと吹けば胞子がぱーっと飛び散りそうな出来たてホヤホヤのカビは嫌だ。
第一、あたしが大事にしていたファイルをいとも簡単に汚すようなヤツだ。
絶対友達にはなれない。(ならなくていいぞー)




(中身は無事)



さてと。
変な形の部屋にある変な形の押し入れに生えた忌々しいカビを掃除するか・・・・。






(あたしに何の恨みがあるんだよ、カビ)



押し入れの前に置いたキッチンワゴンの上がヤバいことになっているからそれには触らずに、




(でも、こんなモンは散らかってるうちに入んね。(夏目基準))



左側から潜り込んで、仕舞っておいた扇風機と、役立たずだった除湿剤を押し入れから出した。
で、イラっとした。





お前、除湿剤だろ?






それならまずは、己の身についた水から吸ってみたらどうなんだ。






(結露ってる除湿剤に非がないのは百も承知)



次に、押し入れの床に新聞紙を敷いたら、愛用の洗剤をプシューっとね。








で。
押し入れの戸を閉める、と。




(もう一生開けなくても全然ちっとも困らない)



この押し入れに生えたカビを掃除したのは去年の5月で、その次に押し入れを開けた去年の10月には中は何とも無かったから、梅雨時や夏場はこの押し入れにカビは生えなかったことになる。
ということは、押し入れ内部に生えるカビは壁が結露ったことが原因で、結露するっつうことは、壁のすぐ向こうはコンクリートなんだろう。

さて。
前回の記事のコメント欄に多くある「押し入れの戸を開けっぱなしにしては?」という案は、もちろんあたしも考えた。
確かにそれならカビは生えないかもしれない。
でも、別の問題が生じてしまうことに気付いた。
押し入れの壁の向こうに断熱材が施されていないということは、押し入れの戸を開けてしまうとそれは、カーテンのないデカイ窓が部屋に1つ増えたようなもので、つまり、部屋全体がすげー寒くなってしまうのだ。
それじゃあ、仕事に出かける時に戸を開けて、帰ってきたら閉めればいんじゃね?とも思うが、あたしがそんなマメなことをするとも思えない。

それにしても。
夏には戸がなくてもいいけれど戸を閉めておいたところでカビは生えないから開放するまででもなく、その代わり、冬は戸を開けておけば冷気に襲われ、閉めたら閉めたで中ではカビが大発生する押し入れなんて、マジで要らない。
つうか。



そんな手のかかる輩は、夏目父だけで十分だから。



しかし「要らない」と言ったところでどうにもならないわけで、こんな時こそプロに相談するのがいいだろうと思い、前にもちょろっと書いた大工の友人に相談を持ちかけた。
ちなみにこの大工は、設計士でもあり建築士でもあって、新築もリフォームも手がけている。




(すげー久しぶりに焼き鳥屋に行った)



「で、その押し入れ、変な形ってどんな形なの?」
「鍋に入れようとしてちょっとデカく切っちゃった最初の長ネギみたいな形」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・たとえが判りづらいって」
「判れよ」
「えーっと、うーんと、今より押し入れが狭くなってもいい?」
「うん」
「わかった。じゃあ、近いうちに寸法図りに行くよ
「あ゛?」
「え?」
「「やってちょーだい」って言ってんじゃないよ」
「へ?」
「あたしが自分でやるの」
「えええええええええええええ!」
「・・・・うるせえよ」
「自分で?お前が?」
「うん」
「無理でしょー」
「難しいんだ」
「いや、そうじゃなくて」
「ん?」
「結構時間かかると思うよー」
「時間かかってもいいんだよ。最悪、次の冬までにできればいい」
「でも」
「なに」
「お前、すぐ飽きそう
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
「で、メンドクさくなって中途半端なところでやめちゃって、かといって続きを俺に頼むわけでもなくて、そのうち、カビなんて気にしないことにした、とか言いそう」




(気にするけどカビ取りハイターで取るよ。買い置きもあるしね)



「でさ」
「・・・・まだ続くのか」
「そのうち、「いいこと考えた!あたし、部屋の押し入れで椎茸育てる!」とか言い出して」
「・・・・・・・・どんだけ頭悪いんだよ、あたし」
「いや、お前は自分じゃ気付いてないかもしれないけど、時々ものすごく頭悪いんだよ」
「・・・・知ってるよ」
「ならいいけど。でね、」
「・・・・もういいよ」
「(無視して)椎茸に失敗したら次はなめこ!とか、松茸!とか言いそうな気ぃするんだよ」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
「あのさ」
「・・・・はい」
「念のため言っとくけど」
「はい」







「 押 し 入 れ で 椎 茸 は 無 理 だ か らね ? 」







・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。







そ ん な 念 押 し 、 い ら ね え か ら 。







こうしてズンズン話は逸れ、結局この日は押し入れをどうするか、結論を出さずに散会した。
ところが、月曜日の日中、大工な友人から不思議なメールが届いた。



> お前んちの玄関の前にブツを置いておいたから、
> カッターで切って、押し入れの壁に隙間なく貼り付けてみて。
> 隙間なく、がポイント。
> 完成したら写メするように。
> 期限は2008年3月31日。
> 1分でも遅れたら、俺に鮨奢ること。



なんかやたらメンドクセぇこと言いやがるなあ・・・・。



そしてその日遅く、このメールのこともすっかり忘れた頃に家に帰ると、玄関先には、見たこともない不思議な物体が置かれていた。






スタイロフォームなる断熱材。らしい)





・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。





(これを切って貼る自分を想像中)





・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。





おう、大工。







鮨 食 い に 行 く ぞ ぉ ー 。
(不戦負)





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