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単行本 『 片付けられない女魂 』 は、Amazonマーケットプレイスで購入できます。
片付けられない女魂     Amazon
(扶桑社 / 全503頁 / 書き下ろしアリ)



「化粧をし始めてからこれまで、ただの1度も、夜に化粧を落とさず寝たことが無い」と言う友人がいる。
彼女は超ド級のコスメマニアだ。
知り合った頃はお互いお肌ピチピチの若者だったのに(夏目基準)、彼女は当時から、ズボラなあたしが呆れるくらい、肌のことを気にかけていた。
彼女は、気になる化粧品は全て買って試してみないと気が済まない。
そりゃあ、試してみなくちゃ自分が求める化粧品にも出会えないけど、でも彼女の購買意欲は凄まじく、時に異常で、あたしはそんな彼女のことをいつも、口をあんぐり開けて見つめていた。

彼女が美容にかける情熱は本当に凄い。
あたしは彼女と年に数回旅をしているのだが、ホテルの部屋で彼女は、あたしの5倍くらいの量の荷物の中から出した入浴剤を入れて風呂に1時間入り、その後更に1時間半かけて肌の手入れをしてからでないと寝ない。
朝起きるとシャワーを浴び、その後また1時間かけて肌の手入れをし、20分でメイクをしたら10分かけて全身に日焼け止めを塗る。
それを旅先でも必ず毎日やる。
「一晩くらいやらなくたっていいじゃない」とか、「時間が無いから手を抜く」とかいうイレギュラーは無い。
必ずやる。
ちなみに、彼女がそうしている間、あたしが何をしているかと言うと。
旅先では普段にも増して大量の酒を呑んでいるため、夜、彼女が風呂から上がった頃には、顔も洗わず爆睡し始める。
翌朝は彼女がドライヤーを使う音で目を覚まし、ボーっとしたり朝食を摂ったりした後、チェックアウト15分前にようやくシャワーを浴びる。(本当)

あたしは自分が、酔ってる時に肌の手入れをするのは無理だと判っているし、お酒を呑まない彼女は、1日でも手入れを怠るとそれが顕著に自分の肌に表れることを知っている、というだけのことなのだが、旅先でのあたし達はあまりに違い過ぎている。
ただ、初めて一緒に旅をした時はお互いがお互いの行動に驚いたのだが、すぐに慣れた。
あたしは彼女の、強迫観念にも似た肌の手入れにアレコレ言うつもりもないし、元来呑気な彼女もまた、あたしが顔を洗わないで眠ってしまったところで、「あたし、顔を洗わないで寝ようとしても眠れないよー。顔を洗わなくてもぐっすり眠れるなんて、お酒ってすごいね」と言うくらい。



「・・・・酒のせいだけじゃないよ」
「うん、知ってる」
「そうか」
「でも夏目ちゃんはオッサンだから、手入れはヒゲだけでいいんだもんね」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」







いや、鼻毛もマスト。

(上司の愛用品。時々目の前でやりやがる。もちろん凝視する)







ちなみにこの、「夏目ちゃんはオッサンだから」という言葉を初めて彼女に言われたのは20代半ば頃。
確かに当時のあたしは、シラフであろうとなかろうと、肌の手入れにはちっともさっぱり興味がなかった。
でも、それからほどなくして、やたらいろんなことが気になるようになった。
何故なら、常に傍にいた、あたしと大して歳が変わらない彼女の肌が、どんどん綺麗になっていることに気づいたからだった。
若かりし頃から手入れを怠らなかった彼女の肌は、歳を重ねるたびに俄然輝きを増した。
それに気づいたのがきっかけであたしはようやく、毎日化粧を落とすようになり、肌の手入れもマメにするようになった。
どんな巧いセールストークもどんな知識もウンチクも、彼女の肌には叶わない。
百聞は一見にしかず。
彼女の肌には説得力がある。

で。
そんな彼女にアドバイスを貰いつつ、気合いを入れて肌の手入れを始めてみると、これが案外面白い。
そして、飽きない。
元来堪え性がなくモノグサで、何をやっても3日坊主どころか1日で飽きるこのあたしが、なんでだか、肌の手入れだけは続けている。




(時々、自分で「アホか」と思ったりもする)



もちろん、コスメマニアな友人の美肌には到底及ばないしこれから先も彼女のようにはなれないだろう。
それどころか、何度席替えをしても必ずエアコンの風を顔面で受ける席に当るハメになる星の下に生まれたあたしが人並みの手入れしたところで全然ちっとも追いつかないのかもしれない。
でも、それでも、長年コスメマニアな彼女を見てきたから、やらないよりはずっとマシなんだと信じられ、夜な夜なテレビを見ながら肌の手入れをするのが日課となっている。
ちなみに、今のあたしがこの他に「日課です」と胸を張って言えるのは、結露取りとアイロンがけくらいしかない。



・・・・というような、コスメへの熱い思いを100文字にまとめて(短い)応募をしてみたら。




(業務連絡。さなえさん、さなえさん。
デカいほうのダンボールはまたもやステ奥とお揃いっす。
ほんと、奥様じゃないのにね、俺





当 選 し た よ 、 マ マ ン !






逸る気持ちを抑えてダンボールを開け、






デカプチプチをよけるとそこには!




サイバーバズさん、ありがとうございまーす)





ナ ノ ア ク ア の ジ ェ ル パ ッ ク 、 き た ー !





ここ最近で一番試してみたかったコスメなんだよう。
いやー、テンションあがるわー。
ん?なになに?






洗顔後、顔を冷やしたら顆粒とジェルを混ぜ合わせて、ヘラで顔に乗せてラップかマスクで覆って、20~30分放置したらジェルをヘラで取って顔を洗って、通常どおりのスキンケアをする?
で、これを10日間続ける?











メ ン ド ク ・ ・ ・ ・ さ く な ん か な い っ !
(本当に)





できるできるー!
つうわけで、今日から10日間連続で、酸素パックをすることになりました。
手順がやたらメンドウだけど、呑みに行かなければ大丈夫!
結露が薄い昨今、家に帰る楽しみが半減しちゃったけど、でも!今日から10日間はスキップして家に帰ろうと思います。(やめろ)
・・・・と同時に。
ステキな奥様とおんなじアイロンをかけたり、スタイロフォームを貼ったり、雑誌の取材を受けたりする予定。(詳細は後日)



それにしても。
普段なら、仕事以外の予定が複数入ると全てメンドウになっちまうあたしにこれだけのヤル気をくれるなんて、ジェルパックってすげー。
・・・・と、うっとりしていた矢先、外出中の上司から電話がきた。





「 今 日 、 焼 肉 食 べ に 行 か な ・ ・ ・ ・ 」











「 行 か ね 」
(註:部下が上司に言った言葉です)











「言うと思った。でも今日は歳の頃もイイカンジのイケメンが一緒だぞ?
お前に紹介してやろうと思っ・・・・」











「 興 味 ね え 」
(註:部下が上司に言った言葉です)



・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。
しかし、電話を切った直後、何の前触れもなく唐突に、コスメマニアな友人がいつだか言っていたことを思い出した。



「高級美容液より高級エステより、恋が一番美肌に効くんだよ」



・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。
恋?



そ ん な メ ン ド ク セ ー こ と は 出 来 ね 。





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 啓蟄も過ぎたんだから、蟲師、にょきにょきあがって来ないかな。