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片付けられない女魂     Amazon
(扶桑社 / 全503頁 / 書き下ろしアリ)



あたしの女としてのタイムリミットはとっくに、具体的には15年くらい前に過ぎた。と思ってはいるが、「 Around40 」 なんつうドラマを見てしまうとどうしても、我が身のダメっぷりを改めて自覚してしまう。
しかも、あのドラマの第1回目をなんでだか、同僚達15人(平均年齢37歳、オッサン率100%、既婚率80%)で、呑みながら見るハメになったからさあ大変。
酔ってるハズのオッサン達はでも真顔で、「ところでお前、彼氏いない歴何年?」とか「結婚する気はあるのないの?」とか今更なことを訊きまくる。
和気藹々とした酒の席で飛び交うその手の質問を「セクハラだ!」なんて思うハズもなく、あたしにしてはかなり真面目に考えてみたものの、結局どちらも「よくわかんね」としか答えられない。
で、そんな答えに納得しないオッサンが細かく質問し始めるも、



「え?前の男といつ別れたか、覚えてないの?」
「う、うん」 ←指折り数えれば判るが数える気がない
「結婚は?したいと思わない?」
「相手もいないのに結婚する気になってる人っているのかね」
「じゃあ、これまで結婚したいと思う男に出会ったことは?」
「ないんだろうねえ」 ←他人事?
「じゃあ!じゃあ!!プロポーズされたことは!?」
「それは・・・・・・」



「 な い 」



と、あたしの代わりに上司が答える始末。
・・・・・・・・ほっとけ。



結局明け方まで、その手の話をダラダラとし散会した。
で、翌日の昼頃に起き出して、平日にちまちまやっていた家具の解体の続きをし始めたのだが、4畳半と8畳の部屋を行き来しているうちにふと、冬物のコートが目に入った。




(改めて写真に撮ってみると、すげーヨレってる)



前夜の酒の席であたしは、自分を除くオッサン達のパワフルさに驚いた。
人間の三大欲求はもちろんのこと、家庭に関わる希望や夢や、仕事に対する意欲や昇進を目指すパワーなど、改めて見てみると、Around40なオッサンはまだまだ全然枯れていない。
なのに。



何 で あ た し は こ ん な に 枯 れ て る ん だ っ け 。
(知らね)



飲食欲と麻雀欲は人の三倍くらいあるけど、他に何の欲があるっていうんだ。
彼氏が欲しい!とか結婚したい!と思うこともなく、かといって、昇進するどー!と思ったことはないし、最近はめっきり物欲まで無くなってしまった。



そもそも、冬物のロングコートが欲しいって思い始めたのって、何年前よ。
5~6年前からうっすら思ってなかったか?あたし。
なのに、真剣に選ぼうともせず、12年くらい前に買ったこのコートを何で今でも着てるんだよ。




(すげー高かったけど、完全に減価償却済)



確かに着心地は良かったよ。
だけどもう、全体的にクタクタじゃないか。
つうか。









今、7号が着れてる時点で気付け。





ヒ モ 、 伸 び た ん じ ゃ ね ? っ て 気 付 け 。






(またもや服を10枚捨てた。これまでに捨てた服は540枚 ←俺メモ)



今度の冬こそは、その時の自分にぴったり合うコートを、脚が棒になるくらい歩き回って探すんだ。
・・・・春になったばかりなのに次の冬のことを考えて鼻息荒くしてるのもどうかと思うけど、でもそうするんだ。
間に合わせじゃなく、その時の自分に合うものを、5万でも10万でも15万でも買ってやるんだ。



こうして、長いこと着続けていたキャメルのコートをようやく捨てた。
服でもモノでも、気に入って使っていたものはなかなか捨てられないけれど、使用頻度が高いってことはつまり劣化しているわけで。
ましてや、部屋着と違って人の目に触れる服なんだもの、せめてそこだけは、ピシっとしていようじゃないか。
そのくらいの線引きはしようじゃないか。
いい歳なんだもん。



週末の呑み会でオッサン達に刺激されたおかげで、今日はいつもより少し気合いを入れて出社すると、ロッカー前で、いつもピシっとした格好をしている倉木(39歳・♂)と一緒になった。



「おはよ。金曜はおつかれー」
「・・・・おはよ」
「お前さあ、土曜は何時に起きた?」
「昼ちょい前」
「はあ?あんだけ呑んだくせにおかしいんじゃねえの?」
「野球観に行きたかったから」
「・・・・・・・・お前って、春になるとオッサン度増すよな」
「そうかしら」 ←精一杯の女子語
「キモイ」
「すまん」



・・・・と、その時。
金曜の夜は春物のコートを着ていた倉木が、今日は厚手のコートを着ていることに気付いた。



「あれ?倉木、なんで今日冬物?」
「ああ。だって今日すげー寒いし」
「そうだねえ」 ←寒いと思いつつも春物を着てきた女
「これ、ホントはもう捨てようと思ってたヤツだから、今日が着納めかなあ」
「お!あたしもコート捨てたばっかだよ」
「会社に着てきてたやつ?」
「うん。キャメルの」
「ああ!あの!」
「ん?」






「 お 前 が 女 み た い に 見 え る コ ー ト ね ! 」








(さようなら、あたしが女みたいに見えるコート様)






・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・つうか、倉木。







着 て る 時 に 言 っ て く れ 。





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