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単行本 『 片付けられない女魂 』 は、Amazonマーケットプレイスで購入できます。
片付けられない女魂     Amazon
(扶桑社 / 全503頁 / 書き下ろしアリ)



同僚の吉田から、打合せで使う資料を手渡された。
が、打合せ開始10分前、資料の作成を手伝ったアシスタントの女性が慌てた様子であたしの席にやってきて、「さっきの資料に不備があったので差替えたいんです」と言う。
「あと10分だ、がんばって!」とあたしが言うと、彼女は大きく頷いてから走って自席に戻り、打合せ開始2分前に修正版の資料を持ってきた。

「すみませんでした!4~11頁まで差し替えをお願いします」
「了解っす!」

あたしは、先に渡された数十枚の紙の束から8枚を抜き、修正版に差し替えた資料一式を持って会議室に入った。
ところが、打合せが始まった直後、4~11頁のうち6枚は、修正する必要がなかったのに間違えて手直ししたことが判明する。

がっくりと肩を落とした後で机に突っ伏して「俺の指示の仕方が悪いのか・・・・」と嘆く吉田を、あたし以外の参加者が慰めた。
あたしは、手元の資料を捲りながら、「ははーん。「4頁“から”11頁まで」じゃなくて、「4頁“と”11頁」だったのねー」なんてことを思っていた。

一生机に突っ伏してくれてても良かったのだが、吉田はあっつう間に立ち直り、打合せが再開した。

・・・・ちっ。

打合せは進み資料も進み、5頁目の説明が始まる時のことだった。
吉田が参加者全員を見渡して言った。



夏目以外で、差し替え前の資料が手元にない人、いますかー?」



参加者からは次々と、「あるよ」とか「大丈夫」とかいう声があがる。
結局、打合せ開始2分前に差し替えた資料を、会議室にくる途中にあるリサイクルボックスに捨てたのはあたしだけだった。
5~10頁は、隣に座った、ひと回り近く年下の男性社員・柳沢に見せて貰ったから支障はなかったのだが、打合せ終了後、あたしが柳沢に礼を言うと、柳沢は「どういたしまして」と言った後、吉田に向かってある疑問を口にした。





「吉田さんは、どうして夏目さんが資料を捨てちゃったことを知ってたんスか?」





・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。





500円やるから黙れ、若者。





しかし、あたしが心の中でどれだけ凄んでも、もちろん柳沢には伝わらない。
柳沢だけじゃなく、そこに居る誰にも伝わらない。
それが証拠に吉田は、何を今更という表情でアッサリ、「つうか、コイツが資料を捨てたこと、知らないのはお前だけから」と言った。
話が見えない柳沢を見て、会議室から出ようとしていた上司がとうとう、あの言葉を発しやがった。
あたしが最も聞きたくなかったあの言葉を。





「夏目は 捨 て 魔 だから、要らなくなると即処分するんだよ」
(嫌味ではなく素で)







・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。








(こんな汚部屋で10年以上暮らしていた女に素で)





恐ろしいことに、職場であたしは実に頻繁にこの手のことを言われている。
どんなことを言われてもブログを始める前は全く気にならなかったのだが、汚部屋をブログで公開してからというもの、会社で「捨て魔」とか言われるのがどーも耐えられない。
恥ずかしいっつうか、居た堪れないっつうか、土下座して謝りたくなるっつうか、穴でも掘って隠れたくなるっつうか、言ったヤツのミゾオチに一発食らわせたくなるっつうか。(待て)

別に「会社だから」とか「捨てることも仕事のうち。給料のうち」とか気を張っているわけではなく、単純に、会社と家とでは習慣が違うっつうだけの話だ。
でも、職場でこの手のことを言われるたびにあたしは、家での自分の自堕落っぷりを思い浮かべてしまう。
そしてそのたび、「なーんで会社でできることが家では出来ないのかね」と不思議に思っていた。



ところが先日のこと。
汚部屋住人であるあたしが常にぼんやりと抱いていたこの疑問に、とても納得のいく答えをくれる人と話す機会を得た。






桜が満開の日に行われたその座談会は、声をかけて頂いた時からとても楽しみだった。
だって、読み倒した本の著者と会える機会なんて滅多にないし、






(Amazonでは、「あわせて買いたい」の欄に並んでる率高し)




お互いが汚部屋住人だということが判っているから、気取ることも気負うこともせず、自然体で話せそうな気がしていた。
それに。
片付けられない女が2人揃って、心理学の先生と話が出来る機会なんて、これを逃したら一生あるまい。






というわけで。
心理学者の齊藤勇先生と、「片づけられない女のためのこんどこそ片づける技術」でおなじみのイラストレーター・池田暁子さんとの座談会に参加させて頂きました。

部屋を片付けたい一心で、気付けば34万2,200円分、合計23個もの棚を買い集めていた女(=池田さん)と、片付けどころか自分の部屋そのものに見向きもせず仕事と酒と麻雀に明け暮れていたオッサン女が、初対面とは思えないトークを繰り広げる中、齊藤先生はあたし達を責めることなく、興味深い話をたくさんして下さいました。
あたしの、「なーんで会社でできることが家では出来ないのかね」という疑問にも答えてくださっています。
この座談会の様子は、GW明け、



5月7日発売の 『 婦人公論
(2008年5月22日号)



に、4ページにわたり掲載されます。

ちなみに、この号の特集は、「捨てて始まる、新しい私」。
物だけではなく、いろんな「捨てる」を特集しているらしいので、部屋を片付けられない人も片付けられる人も、機会があったら是非是非読んでみてください。



#発売後、座談会裏話などを書いてみようかと思っております。
#多分あたしは池田さんに対してタメ口でした。初対面なのに。大人なのに。
#齊藤先生みたいなお父さんの娘に生まれたかったです。マジで。






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 「え。換気扇掃除って、ついこのあいだやったばっかりじゃないですかー」と思ったのはあたしだけじゃないハズ。30年に1回くらいやるもんだと思ってるのもあたしだけじゃないハズ。