BOOK INFOMATION
遅くなっちまった、遅くなっちまった。
呑んだり打ったり打ったり呑んだり野球観たりしてたら遅くなっちまった。
取り急ぎ告知だけを。
先日、テレビのインタビュー取材を受けました。
もう一生、テレビカメラの前で何かを話すことなど無いと思ってましたが、季節モンなのか何なのか、立て続けにいくつかテレビの話をいただきまして。
「汚部屋住人ニーズなんてそんなにあるわけねーし」と心の中で毒づきながらメールを見ると、その中に、我が目を疑う番組名を発見。
「う、嘘・・・・。なんであたしが?」とオロオロしつつ連絡を取ったところ、トントン拍子で話が進み、片付けられない理由や片付け始めたきっかけ、家族のことなどについて、ボソボソと喋ってきました。
45分番組の中の1コーナーですが、あたしの喋り以外は面白いハズ。
つうか。
あたしはその番組を、少なくとも丸3年は毎週欠かさず見てるんで、それに自分が出るってのはすげー不思議な感じです。
ま あ 、 今 回 の は 見 ま せ ん が 。 絶 対 に 。
放送は今晩の予定です。
2 0 0 8 年 5 月 3 0 日 ( 金 ) 2 4 : 4 0 ~
(5/31(土)の0:40~)
T B S 系 列 『 R 3 0 』
(5/31(土)の0:40~)
T B S 系 列 『 R 3 0 』
放送がない地域や、1~2週遅れで放送される地域もあるようですが、視聴可能な方は、今週から3週続けて見てみればどれかがアタリだと思われます。(テキトー過ぎ)
ちなみにこの、『 R30 』 なる番組、見たことのある人なら構成がわかると思うんですが、スタジオMCはTOKIOの太一くんといのっち。
ゲストを招いてのトークがメインの番組ですが、それ以外にマンスリー企画というコーナーがあり、あたしはそこでボソボソ語る予定です。
ちなみに、今月のマンスリー企画のテーマは。
『 制 御 不 能 な 私 』
(先週は「摂食障害」で、今週が「片付けられない女」)
(先週は「摂食障害」で、今週が「片付けられない女」)
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。
ああそうさ。確かに散らかしまくったさ。要らないモンも溜めまくったさ。
10年以上、己を制御もせず自堕落に暮らしてきたさ。
(落ち着け)
10年以上、己を制御もせず自堕落に暮らしてきたさ。
(落ち着け)
つうわけで、今晩です。
是非ともご覧あれー。
10代後半から20代前半にかけて、夏になるとあたしは、実の親からしょっちゅう、「どこの国の人ですか?」と訊かれていた。
「日本です」と答えると、実の親はきまって、「へー。じゃああなたのご両親はどこの国の人?」と訊く。
で、渋々「日本です」と答えると、実の親は怖い声で、
「そんな焦げた娘を産んだ覚えはない」
と言い放った。
そう。
当時のあたしは、いつでも肌が真っ黒だった。
美白のスペシャリストは声を揃えて、「日に焼かないのが一番」と言う。
「若い頃、海にばっか行っててすげー日焼けしてたんスよ」というようなことを言ったなら、「焼いちゃダメよー!」と美容部員に言われたこともある。
ごもっともな話だが、20年も前のあたしに今ダメ出ししたところで、何の解決にもならない。
それに。
世の中には海水浴やマリンスポーツをする楽しみもあるわけで、夏を満喫しまくった若かりし頃のあたしは、20年後の自分のために紫外線を避けて暮らすなんてことが考えられないくらい生き生きしていたハズだ。
それはそれでええじゃないか、ええじゃないか。
元々色は黒いほうだが、それに加えてとにかく日に焼けやすい。
赤くなったり痛くなったりすることはなくて、見てるそばからどんどん黒くなる。
ハワイでもグアムでも沖縄でも家のベランダでも野球場でも、あっつう間に小麦色の肌が出来上がる。
で、シミもあるにはあるのだが、何しろ肌が黒いからイマイチ目立たない。
な ん て ー の ? 保 護 色 っ て ー の ?
(ヤケになるな)
(ヤケになるな)
だけどやっぱり、どんだけ目立たなくても気にはなる。
いざという時はレーザーなりケミカルピーリングなりすればいいと思っているが、でも、ある程度のことは日頃から自分でやっときたい。
だって俺、女の子だもん。
(ごめんなさいごめんなさいごめんなさい)

(ごめんなさいごめんなさいごめんなさい)

というわけで、久々にサイバーバズのサンプル試用レポ。
今回は、AVON(エイボン)の新製品「ミッションホワイト」の、「ブライトニング ローション」「ブライトニングミルク」「ジェルエッセンス」、化粧水と乳液と美容液です。
改めて考えて気づいたけれど、化粧水・乳液・美容液の3つとも美白効果のあるものを、朝晩10日間連続で使い続けたなんて初めてかもしれないなあ。
で、使ってみた感想は。
保湿力がすげーよ、これ。
製品サイトによると、この「ミッションホワイト」シリーズは、エイボンが新開発したアグホワイトなる成分が配合されていて、それが保湿力を高めているそう。
美白効果だけじゃなく、浸透力と保湿力が優れていると、アレコレ使わずに済むからステキ。
化粧水を手のひらにとってみると美容液なみのトローリ感にびっくり。
ティッシュパックにもってこいだなあ、これ。
まだ11日目なので美白効果のほどはよく判らないけど(え!)、使い始めてからというもの、肌のキメが整ってる気がするし、明らかに化粧のノリが違う。
これで美白ができるんだろうか、ほんとうに。(失礼)
ただ、モノグサなあたしにとって最大のネックは。

化粧水と乳液がフタ付きの瓶に入っているということ。
長年ポンプ式の化粧水と乳液を使っていたせいで、

フタを取って瓶を持ってさかさまにしてちょいと振って・・・・(中略)・・・・わずかに化粧水の残る手でフタを持って瓶に乗せてクルクル回すっていうのが、どーにもこーにも億劫でたまらない。(オカシイ)

美白のためのケアは毎日続けなければ意味がないと思っているのだが、あたしにとって、続けるためにはケア用品の使いやすさが重要。
ジェルパックみたいに、夜ゆったりとやるものならばどれだけ手間がかかってもいいが、普段使いの化粧水は「ぷしゅ!」「びしゃびしゃ!」で終わらせたい。
最初に、化粧水と乳液のフタを外しておいて、ぜーんぶを塗り終わったら手を拭くなり洗うなりした後でフタをしめればいいのかもしれないが、この10日間、そう思っても出来たためしがない。
ううーん。
フタ付きの化粧水~美容液を使ってる人ってどうしてるんだろう。
いちいち手を拭いたり、瓶を拭いたりしてるんだろうか。
ううーん。
使用感はすごくいいんだよなあ。
AVONさん、
これのポンプ式を作ってくれねえかなあ・・・・。
(モノグサ向けに)
(モノグサ向けに)
たった1枚のTシャツを探していただけなのに。
どうしてもっとこじんまりと出来ないんだろう。
こじんまりと出来たなら、こんなにうわーーーーっとならなければ、あたしのやる気も萎えないだろうに。
「欲しい」なんて言ってないどころか思ってすらいないのに、手に入れてしまう物というのは案外多い。
たとえば。
自堕落番長のエサをネット通販で買う時、注文したものだけ送ってくれりゃあいいものを、おまけが入っていたりする。
これがたとえば、キャットフードのサンプルとかなら判るのだが、

犬の置き物だったり、

100均でも売ってなさそうなポーチだったり、果ては、

ペットとは何ら関係のない店のロゴが入ったエコバックだったりするからびっくりよ、奥さん。(誰)
ネット通販じゃなくても。
なんでだか、あたしと顔を合わせるたびに、とあるアニメの素晴らしさを熱く語る女性が居る。
仕事で付き合いがあるから邪険には出来ないけれど、自分と同世代の女性が、相手が興味を示さないことにも気付かず、前のめりで喋り続ける姿はちょっとキビシイわけで。
だから、「夏目さんが一番感動したアニメってなあに?」と訊かれた時、大して考えもせず、「『 フランダースの犬 』 の最終回かな」と答えた。

よく考えれば、フランダースの犬の最終回じゃないのかもしれないが、一生懸命考えたところで、彼女が、あたしの一番に心底興味があるとは思えない。
しかしそれから数日後、彼女はあたしの顔を見た途端、満面の笑みを浮かべて近づいてきた。
「ま・・・・またアニメ・・・・?」と身構えたのだが、少し違った。
彼女はあたしに箱を差し出して言ったのだ。
「感動、再び♪」


ははーん、なるほど、なるほどぉー。
部屋でこれを見つめて最終回を思い出しちゃったら・・・・
号泣しちまうじゃねえか、コノヤロウ。
親しくもなく仕事上の付き合いしかない女が「フランダースの犬」と言ってるのを聞いたからといって、「よし!お皿をあげよう!」と思いつきそれを実行に移してしまう人の思考回路は理解できないけれど、社会人として暮らしていればこんな風に拒絶できない場合もあるわけで。
いちいち目くじらを立てるのも、「プレゼントっつうものはねー」と語ることも、意味がない気がする。
もちろん、彼女にどうこう言うつもりは全くない。
この手の話は掘り下げれば掘り下げるほどただの他者批判になってしまいそうだが、「全くあの人は」とか「あの店、値段は安いのにアレがあるからなあ」とか思いながら暮らしていたくはない。
だから。
この手の物を有意義に手放す方法を考えた。

半年分くらいだろうか。
この手の物をまとめていた袋を、姪が通う学童保育施設に持っていった。
学童保育では、入所児童の父兄から不要品を集め、そばにある小さな商店街で時折催されるフリーマーケットで売るのだそうだ。
「フリマの売上金って何に遣うのかね?」と姪に訊いてみた。
すると、なんともステキな答えが返ってきた。
「みんなのおやつ。売り上げが多い時は、ケーキが出たりするんだよ」
いいねえ。
これらをくれた人達の自尊心も損なわず、あたしも苦じゃなく、子供達は社会の仕組みを学び、お金を稼ぐことの大変さと素晴らしさも学ぶ、と。
うん、やっぱいいねえ。
と、悦に入ってると、姪が続けて話し出した。
「夏目ちゃんはお仕事好きだよね?」
「うん」
「仕事したら1日でいくらもらえるの?」
「教えない」
「夏目ちゃん、もらったお金は何につかってるの?」
「いろいろ」
「ケーキ買ったり?」
「まあね」
「ふうん」
「何?」
「あのね、おとうさんがね」 ←あたしの義兄
「うん」
「「夏目ちゃんは仕事してもらったお金を全部寄付してるんだよ」って言ってたの」
「あ?」
「なんか、ゲームみたいなのをしておじさんとかに寄付してるって」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
「いい人なんだね、夏目ちゃん」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。
小学5年生に、真実を話すか否かが、目下のあたしの悩みです。
つうか義兄よ。
給 料 全 部 、 は 言 い 過 ぎ だ か ら !
小学5年生に、真実を話すか否かが、目下のあたしの悩みです。
つうか義兄よ。
給 料 全 部 、 は 言 い 過 ぎ だ か ら !
生まれてこのかた、ただの一度も真っ当に片付けが出来たことのないあたしがモノを捨て始めた時に、うっすらとタブー視していたこと。
それは、「要る物だけしかない部屋になる前に収納家具や箱を買うこと」だった。
当時はまさか、大量の物を捨てた現在もまだ、家具やソファを買えずにいるとは思っていなかったが、とにかく、家具や箱を買ってしまったなら、それに物を詰め込むことを先に考えてしまって、要・不要を選別して捨てる作業が疎かになりそうだと思っていた。
が、片付け始めた頃は家具や箱を買いたい!という欲がとても強く、ごちゃごちゃしたものを見るたびに、「箱を買って詰めれば片付くんじゃね?」とか、「家具を買って入れれば片付くんじゃね?」とかばかり思っていた。
だから、「片付けたい!」と思うがあまり、捨てるより前に収納家具を買う人の気持ちはよーく判るし、片付けのモチベーションを上げるためにまずはステキな家具や雑貨を買うってのもアリだと思う。
でもやっぱり、片付けたい!と思うがあまり、2Kの部屋に23個もの棚を押し込んだ人はなかなか居ないだろう。
そして。
そんなオモシロ発想の人と、汚部屋について語れる機会も滅多にないだろう。
現在発売中の 『 婦人公論 2008年5月22日号 』 に、心理学者の齊藤勇先生と、「片づけられない女のこんどこそ!片づける技術」の池田暁子さんとあたしが、汚部屋について語った座談会の模様が掲載されています。

掲載されているのは話した中のごく一部ですが、予定の倍の時間が過ぎても尽きないくらい喋り倒したので、今日はネタバレにならない程度に、誌面に載らなかった話をちょびっと。
座談会には、齊藤勇先生、池田さん、夏目以外に、2人の女性が同席していた。
1人は編集部のAさん、もう1人は構成を担当したI さん。
構成のI さんは「収納大好き!」という世にも珍しい人だったが(夏目基準)、編集のAさんはどちらかといえばこっち寄りらしく、そんな彼女が恥ずかしそうに自室の写真を見せてくれたのは、まだ本格的に座談会が始まる前だった。
Aさんの部屋の写真を見て、あたしと池田さんは少し黙った。
で、多分池田さんも同じことを感じているだろうと思ったあたしは、念のため、写真の一部を指差してAさんに確認した。
「あの、ここに見えてるのって床ですよね?」
文字通り、足の踏み場もない部屋で暮らしていたあたしと池田さんにとっては、床がたくさん見えているAさんの部屋はとても普通に思えた。
つうか、「この部屋に何か問題でも?」くらいフツー。
なので。
Aさんの汚部屋住人登録申請は即時却下し(←申請制で承認制で登録制?)、座談会は始まった。
話をしていて一番驚いたのは、池田さんも、物の大きさやサイズの把握が苦手だったこと。
たとえば、家具と壁の間に数10センチの空きがあるのを見て、そこにピッタリハマりそうな棚を持ってきてみるのだが、はめようとして初めて、2つのサイズが全然違うことに気付く。
「あれ?なんであたしは、これをピッタリって思っちゃったんだ?」と首を捻りたくなるくらい違ったりする。
まあ、あたしのそういう感覚が激しく鈍いのはさして不思議じゃないのだが、イラストレーターの池田さんがそうだとは思ってもみなかった。
だから、「あ!あたしもそういうの全然ダメだー」「重いものをよいしょって持ってきたのにハマらないって判ると、それだけでもうやる気がなくなるんですよねー」などと暫し2人で盛り上がった。
が。
その様子を黙って眺めていた構成の I さんが、タメイキ交じりに発した言葉であたし達は我に返ることになる。
「メジャーでサイズを計ってから移動しましょうよ・・・・」
「 あ 、 な る ほ ど ・ ・ ・ ・ 」
(言われてようやく気がついた)
「 あ 、 な る ほ ど ・ ・ ・ ・ 」
(言われてようやく気がついた)
そんな、ピントのズレた女2人の話を延々聞いてくださった齊藤先生はとてもホンワカした方で、その雰囲気をとても心地良く感じたあたしは、座談会が終わるころにはとうとう、日常生活の愚痴まで喋っちまう始末。(あり得ん)
でも、愚痴って癒されたのは生まれて初めてでした。
先生、その節は大変お世話になりました。
(土下座)
(土下座)
というわけで。
『 婦人公論 2008年5月22日号 』 は現在発売中です。
来週後半になると書店には次号が並んでしまうと思うので、まだ読んでいないかたはお早めにどうぞ。
それと。
『 婦人公論ブログ 』 では、汚部屋住人登録申請即時却下のAさんが、座談会の模様を書いていらっしゃいます。
編集長コラムと併せて、是非是非読んでみてください。

(何でも布団の上で撮る癖をそろそろ直したい)
朝7時半に起きて布団を干し、天気良さそうだから洗濯するか!と思い洗面所へ行こうとした時、廊下で起きぬけの夏目父と遭遇した。
あたしが洗面所のドアノブに手をかけると、夏目父が寝ぼけた声で言う。
「あ、洗濯機側の電球、切れてるよ」

それが何か?
くらい言っていいような気もするが、あたしがどう言ったところで夏目父が電球を交換することはない。
だから、近所のスーパーマーケットの開店を待って電球を買いに行き、あたしが交換。

その時、ようやく目が覚めたらしい夏目父は自堕落番長と一緒にベランダに出ていた。
で、また呟く。
「水がないや」
南側のベランダにある鉢植えの土がカラカラになってるっつうことなのだが、
蛇 口 を ひ ね れ ば 水 が 出 ま す よ 。
とあたしが言ったところで、やっぱり夏目父は水やりをしない。
10回に1回くらいはやるのだが、9回はしない。
本来ならば、あたしが買ってきたわけでも育ててるわけでもない草や木がどうなろうとどーってことはないハズだが、虫嫌いなのに草花を育てるのが好きな夏目父は、家にある植木が枯れたらまた買ってくるし、虫を見つけようものなら、たとえそれが蟻でも、ベランダには一切出なくなるわけで、結局はあたしが世話をすることになっている。
案の定昨日も夏目父は、水やりせず、フラフラとどこかに出かけていった。
朝干した布団もイイカンジになったし、洗った布団カバーはあっつう間に乾いたので、昼前に全てとりこんだ。

(こんな柄の敷布団を使ってる女に婚期は無い気がする)
で。
台所からせっせと水を運び、植木鉢にジャバジャバ遣った後、天気も良かったからか、3ヶ月放置していたことに着手した。
ところで。
ブログを読んでいる人からだけでなく、職場の同僚や友人や親戚からまでも、我が家は親子仲が良いと思われているのだが、確かに大喧嘩することはないが、かといってべったりくっついているわけでもないから、「仲が良い」というのとは少し違う気もしている。
親子に限らず、大人が、人からアレコレ指図されたりダメ出しをされたり求めていないのに意見されたりすることを心地良く思うハズもなく、だから夏目父とあたしは長いことかけ、相手のしたことに意見も文句も言わないようになり、無駄に衝突しなくなった。
人間関係において、「褒める」とか「感謝の気持ちを口にする」というのがヨシとされているが、普段返事をするのも億劫なあたしは、日常生活で親にこれをやられたらきっと鬱陶しくてたまらないだろう。
そもそも、電球の交換も水遣りも、あたしがやったところで親に褒めて欲しいとか感謝して欲しいとは微塵も思っちゃいない。
文句を言われなきゃそれでいいのだ。(バカボンのパパ風)
だから。
自分の部屋以外の掃除やメンテは概ね、親がいない時にすることにしている。
まあ、夏目父が居る時にやったとしても、多分何も言われないんだろうが、角煮の時みたいにノリノリで手を出されでもしたらまたメンドクサイ。
だから夏目父が出かけたのを見計らって着手したのだが、思いがけず今回は、まるであたしを監視するように、別の、毛深い男が辺りをウロつきやがった。

(土に鼻をつけてニオイを嗅ぐ自堕落番長)
設置はすぐに完了。

フェンスと物干し竿がシルバーだから、竿かけもシルバーのを買ったけど、

これがもし、ブロンズとかだったら目障りだったろうなあ。・・・・なんてことを考えているうちに、ビビっときた。
で、近所のホームセンターに出かけた。
買ってきたものはコレ。

(未だタバコ部屋としてしか機能していない4畳半で撮影)
いつも洗濯物を干しているのは南側にあるデカいベランダで、そっちはだいぶ離れた場所からでないと、ベランダで何をしているのかが見えないようになっている。
が、あたしがタバコを吸うために日に何度も出ている、北側の、4畳半の部屋にある小さいベランダは、細い私道を挟んだ向かいの家々がウチのマンションより高い場所に建っているせいで、あたしがベランダに出ると向こうの家の中が丸見えだ。
上から下は見えても、案外、下から上は見えないものだろうと思う。
でも、たとえば向かいの家が洗濯物を干している時、マンションのベランダで仁王立ちになっている人が見えたら、気になるだろう。
だから、「ベランダのフェンスに目隠しをしよう」と、半年も前に思いついたのだが、ネットでアレコレ探しても、黒いのとか青いのとか茶色いのとかしか見つけられず、それじゃなーんか、却って目立つような気がして買えなかった。
ところがつい最近、近所のホームセンターに番長のメシを買いに行った時のこと、薄いグレーのコレを見つけた。
でも、出来ればベランダのフェンス全部に目隠しをしたいと思っていたから、サイズが微妙で買えなかったのだった。
まず、買ってきた2つのうち1つを、ベランダの端から貼った。

やっぱ、黒とか茶よりは違和感ないな。
本当なら、アルミパンチのパネルを張り巡らしたいけれど、

とっとと目隠ししてしまわないと、いつまで経っても4畳半が機能しない気がするので、暫くはコレでヨシとしよう。
さて。
問題は、残った箇所。

買ってきたのは、横が180センチなのだが、1枚張って残った箇所は140センチ弱。
つまり、そのままでは長すぎる。
つうわけで。
細くて長いストロー状のモノを40センチ分、切り離すことにした。

(スダレと同じ作り)
編んである糸を切り、140センチ分のところで結び直すこと14回。
最初から最後まで、何が興味深いのか、

この位置で微動だにしない自堕落番長がすげー邪魔だった。
が、ヤツを手で払いのけながら作業を続け、ようやく、140センチの目隠しが完成。

外したフレームをはめ直し、「次はあっちの部屋っすね」とでも言いたげに移動した番長に先導され、4畳半へ。

何しろあたしのやることだから、「短くし過ぎてたりして」と不安を抱きつつ張ってみるも、奇跡的にピッタリ。

(これを奇跡と思うあたしがオカシイという自覚はある)
やっぱ4日も休みが続くと、いくらあたしでも、何か生産的なことをしたくなるんだなあとしみじみ思う。
2年くらい前までは、休みになれば打って呑んで寝て、起きて食って打って呑んで寝て、を繰り返すだけだったろうに。
少しだけだけど、休日の過ごし方が変わったなあ、あたし。

(翌5/4は終日飲酒)
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。
初日頑張ったから、残りの3日は呑んだくれてもヨシとするか・・・・。
(するな)
片付け始めてから半年経った頃くらいまで、あたしはぼんやりと、不要品を捨てずに済む方法を考えていた。
こんなあたしでも、自分の部屋で長年放置した結果、「まだ使えるけどもう使わないモン」となってしまった服や雑貨や消耗品をあっさりゴミにしてしまうことにはわずかな罪悪感を感じたし、加えて、自分の性格を十分把握しきれてなかったから、「オークションで売ろうか?」とか「傷んでいない服はリフォームしようか?」とかいうことを、実に頻繁に、でもぼんやりと考えていた。
が、自分が、そういうことを思いついても実行しないヤツだと判ってからは、身の丈に合わない野望は抱かなくなりつつあった。
なのに。
中身が空になったビデオテープラックを見ていたらやっぱり、「何かに使えそう」と思ってしまった。

この、いっぱい物が入りそうな、横にしても使えそうな形が、あたしの決断を鈍らせる。
「絶対要らねえって。だって、手前の棚を開けようとして何度爪をバキっとやったか判んないし」と思ったそばから、「じゃあ、取っ手をつければいいんじゃね?」と思いついたり、「いや、でも、奥の棚に物が詰まってないと、手前の棚を開ける時にラック全体が前に傾くんだった」と新たなケチの付け所を見つけたのにすぐ、「じゃあ、転倒防止ユニットでもつけりゃあいいのか」と思ったり。
ただ。
自分が「片付けない女」ではなく「片付けられない女」なんだと自覚してからというものあたしは、「何かに使えそう」「いつか使うかも」と思った途端、脳内で自分にツッコミを入れる癖がついていた。
「何か」って何だ?「いつか」っていつだ?
いつか何かに使うとしても、このままの状態じゃあたしは使いこなせないに決まってる。
そう思ってよく見てみると、このラック、3つのパーツに分離できそうだ。
こんな込み入った作りのラックじゃなく、シンプルな棚3つなら、あたしでも使うんじゃね?
・・・・と思ってしまったのが悲劇の始まりだった。
まず、諸悪の根源(夏目基準)である蝶つがいを外した。


ネ・・・・ネ、ネジが1本外れなかったけど、そんな細かいことはいいのいいの。
扉が扉でなくなることが重要なんだから。
よし。
次は、奥の棚にくっついてる、可動式の小さい棚を外そう。

これ、上部は本体の棚板の溝にデカいネジ1本で引っ掛かっているだけだけど、

下がどんな風になっているのかがよくわからない。

まあ、レールの上で左右に動くわけだからコロコロがついているんでしょう。そうなんでしょう。
下は固定されたままだけど、上さえ外せばどうにかなるんじゃないかという淡い期待のもと、まずは上部のネジを外した。
で、縦長の箱を手前に引き出してみた。
・・・・って。

途 中 で 引 っ 掛 か っ た っ き り ビ ク と も し ね ー し 。
それにしてもこのラック、表面に全くネジが出ていない。
ドライバを使って外せる箇所なんてごくわずかで、棚板も、一部は

こんなのに引っかかっているのだが、側板とガッチリくっついているものも多い。
つうか、あたしはてっきり、姉ちゃんが自分で組み立てたラックなんだと思ってたけど、こりゃ違うな。
うちの姉ちゃんがこんな重いモンをわざわざ組み立てようと思うわけがない。
でも、あたしにとっては中途半端に使えて中途半端に使えないこのラックを姉ちゃんはちゃんと使いこなしてたんだから、本来の形のままで使うことを考えたほうが良かったのかもしれないなあ・・・・。
縦長の箱が引っ掛かって出なくなったことでだいぶやる気が失せたので、景気づけにビールを呑もうと台所へ行った。
冷蔵庫から一番搾りを取り出すと、それを見た夏目父が「俺も」と言う。
気持ちがやさぐれていたため一瞬、「発泡酒渡してやろうか」と思ったものの(鬼娘)、冷えたのがなかったため、渋々一番搾りを取って渡した。
リビングのソファに座り、つまみもなしにビールをグビグビ呑み始めると、夏目父が喋りだした。
「センゴクバサラツーの」
「あ゛?なんつった?」
「センゴクバサラツー」
「へ?」
「セ・ン・ゴ・ク・バ・サ・ラ・ツー」
「なにそれ」
「ゲーム」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」 ←興味ナシ

「去年その続編が出てね、 『 戦国BASARA2 HEROS 』 っていうやつなんだけど」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」 ←早く話が終わらないかなあと思ってる
「プレステ版は単体で売ってんの。でも、wii版は単体で売ってなくて、プレステ版とのダブルパックしかないの」 ←後日、勘違いだったことが判明するのだがそれは置いといて。

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」 ←どーでもいいぞーと思ってる
「俺はwiiのは要らないんだけど、このあいだ○○(自分の孫)と話したら、○○も戦国BASARAが好きなんだって」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」 ←孫と好みが合ってよかったねーと思ってる
「で、○○はwiiのほうがいいんだろうから、ダブルパック買って2人で分けようと思うんだけど」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」 ←だから、どーでもいいぞぉーと思ってる
「対象年齢がさー、12歳以上なんだよ」
「ほう」 ←この会話、唯一のリアクション
「で、質問なんだけど」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」 ←ロクな質問じゃねえだろと思ってる
「 ○ ○ っ て 今 何 歳 ? 」
(世界でたった1人しかいない己の孫の歳が判らないお爺さん参上)
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。
(世界でたった1人しかいない己の孫の歳が判らないお爺さん参上)
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。
そのまま夏目父と話していると生きる気力すら失いかねない。
だからあたしは夏目父の質問に答えず、まだ飲みきっていないビールを持って部屋に戻った。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。
いや、待てよ。
いくら夏目父がオカシイっつっても、まさか自分の孫の歳がわかんないなんてことあるのか?
だって夏目父は、自分のもあたしのも、お母さんのもお姉ちゃんのも義兄の歳も、自堕落番長の歳だって知ってるぞ?
あと、自分の孫が小学5年生になったってことも知ってるぞ?
小学5年生が何歳なのかなんて、普通の大人だったら判るだろー。
・・・・とすれば、さっきのあの質問は冗談だったのかな。
それともあたしの聞き間違いかな。
聞き間違いだよな、多分。
そんなことを考えながら、ラックの解体作業を再開すべく、にっちもさっちもいかなくなった縦長の箱に手をかけた。
・・・・と、その時。
夏目父が、ノックもせずにあたしの部屋のドアを開けた。
「ねえ・・・・ってあれ?そのラック捨てちゃうの?」
「うん」
「何かに使えそうな気、しないでもないけどね」
「うん。でも、何に使えるのか、さっぱりわかんないから」
「そっか。じゃあ、いい使い道が思いつくまで、俺の部屋に置いておいてもいいよ」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。
何を企んでやがるんだ?オッサン。
(親に優しくされて戸惑う娘)
何を企んでやがるんだ?オッサン。
(親に優しくされて戸惑う娘)
「い・・・・い・・・・いいの?」
「うん」
「でもあたし、そのまま何ヶ月も放置するかもよ?」
「いいよ。そん時は俺がこっちの部屋に持ってくるから」
「ほう」
「ああ、そんなことより」
「ん」
「 ○ ○ っ て 今 何 歳 ? 」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。
マジでわかんねーのかよっ!
(イラっ!)
(バキっ!)

(イラ立ちが功を奏したミラクルなパターン)
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。
マジでわかんねーのかよっ!
(イラっ!)
(バキっ!)

(イラ立ちが功を奏したミラクルなパターン)
あたしが姪の歳を答えずに怪力っぷりを見せつけたせいか夏目父は、全開にしたあたしの部屋のドアを閉めもせず、無言で立ち去った。
さて。
3つになったラックはどうしようか。
デカい2つはちょっとの間、夏目父の部屋に置かせて貰うとして、一番小さいのはすぐにでも何かに使えそうな気がしないでもない。
あ!
文庫本入れはどうだろう?
縦の長さが半端だー。
じゃあ、単行本は?
縦はイイカンジだけど、奥行きが足りね。

棚の位置を変えて文庫本入れにするのがいいのかなあ。

(この棚板だけはネジ留めされていた)

(ネジを外せば棚板が外れると思い込んでいます)

(悲劇が始まります)
あれ?
ネジは全部外したのに、棚板が外れない。
なんだ?もっとネジあんのか?
・・・・と思い背面を見てみると、


遅ればせながら、背面のベニヤ板とタッカーでも留められていたことに気付いた。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。
力まかせに引っ張れば外れそうだよ・・・・な。
で、もしベニヤがバキっといっちゃったら、どっかでベニヤ買ってきて、切って張り直せばいいじゃん。
タッカーを丁寧に外す手間を省きたいがゆえに、自分が絶対やらないようなことを妥協点とするあたりが実にアホっぽいが、でもその時は、ベニヤなんて結構どうでも良かった。
だから。
棚板を力任せに引っ張ってみた。
すると。
驚くほど小さい力で棚板は抜けた。
でも、引っ張る力を込め過ぎていたせいで、抜けた棚板が手からすっぽ抜けた。
カ ー ン !
ガ シ ャ ー ン !
ガ シ ャ ー ン !
な、な、な、なっ、何かが壊れたことは間違いないだろう。
恐る恐る音のしたほうを振り返ってみる。
と。

(あたしの部屋のドアを開けるとそこは玄関です)

(3年くらい前、自分で電気工事して自分で取り付けたセンサーライトです)
すっぽ抜けた棚板は、全開になっているあたしの部屋のドアを越え、内玄関にある照明のシェードを直撃していた。
あああああ・・・・やってもうたー。
つうか何でドアが開いてんだよう・・・・。
ただならぬ物音を聞いた夏目父と自堕落番長がリビングから飛び出してきた。
が、玄関にある棚板と割れたシェードと、部屋の入り口に転がっている棚板が外れたラックを見て、事態を把握したようだった。
やがて夏目父は、静まるその場に似つかわしくない声で言った。
「 ナ ー イ ス ピ ッ チ ー ン グ ! 」
「うるせーよ」
「ナーイスコントロール!」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
「先発ローテ入り確実だね!」 ←野球の話です。
「うるせぇって」
「あ、あのさ」
「はい」
「 ○ ○ っ て 何 歳 ? 」
(世界一シツコイ)
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。
空 気 を 読 め 、 オ ッ サ ン 。
(世界一シツコイ)
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。
空 気 を 読 め 、 オ ッ サ ン 。
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