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単行本 『 片付けられない女魂 』 は、Amazonマーケットプレイスで購入できます。
片付けられない女魂     Amazon
(扶桑社 / 全503頁 / 書き下ろしアリ)



「欲しい」なんて言ってないどころか思ってすらいないのに、手に入れてしまう物というのは案外多い。
たとえば。
自堕落番長のエサをネット通販で買う時、注文したものだけ送ってくれりゃあいいものを、おまけが入っていたりする。
これがたとえば、キャットフードのサンプルとかなら判るのだが、






犬の置き物だったり、






100均でも売ってなさそうなポーチだったり、果ては、






ペットとは何ら関係のない店のロゴが入ったエコバックだったりするからびっくりよ、奥さん。(誰)

ネット通販じゃなくても。
なんでだか、あたしと顔を合わせるたびに、とあるアニメの素晴らしさを熱く語る女性が居る。
仕事で付き合いがあるから邪険には出来ないけれど、自分と同世代の女性が、相手が興味を示さないことにも気付かず、前のめりで喋り続ける姿はちょっとキビシイわけで。
だから、「夏目さんが一番感動したアニメってなあに?」と訊かれた時、大して考えもせず、「『 フランダースの犬 』 の最終回かな」と答えた。



よく考えれば、フランダースの犬の最終回じゃないのかもしれないが、一生懸命考えたところで、彼女が、あたしの一番に心底興味があるとは思えない。
しかしそれから数日後、彼女はあたしの顔を見た途端、満面の笑みを浮かべて近づいてきた。
「ま・・・・またアニメ・・・・?」と身構えたのだが、少し違った。
彼女はあたしに箱を差し出して言ったのだ。









「感動、再び♪」












ははーん、なるほど、なるほどぉー。
部屋でこれを見つめて最終回を思い出しちゃったら・・・・



号泣しちまうじゃねえか、コノヤロウ。



親しくもなく仕事上の付き合いしかない女が「フランダースの犬」と言ってるのを聞いたからといって、「よし!お皿をあげよう!」と思いつきそれを実行に移してしまう人の思考回路は理解できないけれど、社会人として暮らしていればこんな風に拒絶できない場合もあるわけで。
いちいち目くじらを立てるのも、「プレゼントっつうものはねー」と語ることも、意味がない気がする。
もちろん、彼女にどうこう言うつもりは全くない。



この手の話は掘り下げれば掘り下げるほどただの他者批判になってしまいそうだが、「全くあの人は」とか「あの店、値段は安いのにアレがあるからなあ」とか思いながら暮らしていたくはない。
だから。
この手の物を有意義に手放す方法を考えた。






半年分くらいだろうか。
この手の物をまとめていた袋を、姪が通う学童保育施設に持っていった。
学童保育では、入所児童の父兄から不要品を集め、そばにある小さな商店街で時折催されるフリーマーケットで売るのだそうだ。

「フリマの売上金って何に遣うのかね?」と姪に訊いてみた。
すると、なんともステキな答えが返ってきた。



「みんなのおやつ。売り上げが多い時は、ケーキが出たりするんだよ」



いいねえ。
これらをくれた人達の自尊心も損なわず、あたしも苦じゃなく、子供達は社会の仕組みを学び、お金を稼ぐことの大変さと素晴らしさも学ぶ、と。
うん、やっぱいいねえ。



と、悦に入ってると、姪が続けて話し出した。



「夏目ちゃんはお仕事好きだよね?」
「うん」
「仕事したら1日でいくらもらえるの?」
「教えない」
「夏目ちゃん、もらったお金は何につかってるの?」
「いろいろ」
「ケーキ買ったり?」
「まあね」
「ふうん」
「何?」
「あのね、おとうさんがね」 ←あたしの義兄
「うん」
「「夏目ちゃんは仕事してもらったお金を全部寄付してるんだよ」って言ってたの」
「あ?」
「なんか、ゲームみたいなのをしておじさんとかに寄付してるって」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
いい人なんだね、夏目ちゃん





・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。





小学5年生に、真実を話すか否かが、目下のあたしの悩みです。





つうか義兄よ。





給 料 全 部 、 は 言 い 過 ぎ だ か ら !





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 「汚散部屋を知らない子」、そろそろ産まれますなあ。(しみじみ)