BOOK INFOMATION
ちょろっと手をつけただけで放置していた夏目父の会社の決算準備に再着手したのが先月半ば。
ダラダラとグズグズとモタモタと、自分でもうんざりするくらいスローなペースで作業を進め、税理士への報告を終えたのが先週初め。
決算に関わらず、夏目父の会社は超小企業だから事務全般の作業量が少ないのだけれど、いつまで経っても慣れないし、好きになれない。
一番厄介なのが領収書の整理で、毎月税理士に入力したデータと照合して貰うと、そのまま放置してしまう。

(GW明け。整理しようかと数ヶ月分纏めてみて、途方に暮れているの図)
1ヶ月分の整理と1年分のそれとじゃ前者のほうがラクだってことはあたしにも判るが、領収書の束は月次確定した後はよっぽどのことがないと見返さないというのも判ってしまっているからタチが悪い。
さて、この週末は。
金曜の昼には確実にいた2人の諭吉が、ほんの数時間であたしの元から去ってしまったショックから、

(金曜の夜、見知らぬオッサンに万券を寄付した天使の所持金)
一歩も外に出ないぞ!と誓うも、土曜午前、ブログを更新している最中に、今日が資源ゴミの収集日だったことに気づき、慌てて新聞紙とダンボールを纏める。

(4階~1階を2往復)
たった2往復で汗だくになったので台所へ水分補給に行くと、「ユーロ2008が終わるまで仕事を休みたい・・・・」と呟いて自分の会社のパートのおばちゃんに思いっきり叱られた夏目父が、自堕落番長と目を合わせて話をしていた。
「うおーーーーん」 ←猫です
「うんうん、それで?」 ←親です
「うなーーーーー」 ←猫です
「そっかそっか、そういうことかぁ」 ←人間です
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。
この光景、もう1,000回は目にしてると思うが、親が本格的にオカシくなったんじゃないかと思って毎回ビビる。
が、聞かないフリをして冷蔵庫を開けペットボトルの水をガブ飲みしていると、夏目父がこっちを見ずに話し掛けてきた。
「今日、新聞の日?」
「うん」
「もう出してきた?」
「うん」
「残念だったねえ」
「何が」
「一仕事終わったー!と思ってるでしょ」
「う、うん」 ←嫌な予感
「新聞紙、まだあるんだよ」
「・・・・ほう」
「でもちゃんと縛っておいたから」
「・・・・え?あ、ありがと」
「どーいたしまして」

(夏目父の部屋から発掘)
あー、びっくりしたー。
どうリアクションしていいのか判んなかったし、わざわざ褒めることでもない気もするし、一般的には普通のことを自分がやって「すげーすげー」言われたら、その時の気分によってはカチンとくるかもしれないし。
でも聞いてよ、おかあさん。
夏目父が、古新聞とダンボールを紐で縛ってくれたんだよ!
(夏目家のミラクル)
(夏目家のミラクル)
「あたしが台所に行かなかったらどのタイミングで言うつもりだったんだ?」とか、「マンションの下に持って行くまでがゴミ出しです」とか、言いたいことがないわけでもないし、今回のことは100%気まぐれで、だからこれが最初で最後になる可能性は高い。
でも、2人っきりで暮らして丸12年で、初めての出来事だった。
もうねえ、たった1回だけでもいいよ、いい。
これから毎月古新聞を束ねるたびに、思い出してニンマリするからいいよ、いい。
月イチのじゃなくて週2の燃えるゴミをまとめてくれや。
なんて贅沢は言わないよ。
かれこれ10年くらい思ってるけど、言わないよ。(諦めろ)
諭吉2枚失踪のダメージをチャラにするほどではなかったが、夏目父の行動にびっくりしたその勢いであたしは、1年分の領収書や書類の整理に取り掛かった。
始めてみれば大して時間がかからないのは判ってる。
確か、1年分の書類を纏めるのは丸1日くらいしかかからなかったハズ。

(ベランダから見える繁華街の灯りを見て想いを馳せる)
それにしても。
結局のところあたしの場合、自分の心にモヤモヤを作ってるのは、他の誰でもない自分自身なんだなあと、改めて思い知った。
自分が勤める会社での仕事なら、多少は他者に翻弄されることもあるし、逆にあたしが迷惑をかけることだってある。
でも、なるべくそうならないよう、互いに迷惑をかけないようっていう気遣いや保身が、つまるところ責任感なわけで。
自分の部屋にいる時くらいはそんなことから解放されたいが、解放された途端せっせと自分に重石を乗せ始めてちゃ、気の休まる時間なんてなくなっちゃう。
それどころかそのうち、「自分の部屋より会社のほうが気が休まる」なんてことになりかねない。
そんな人生もアリだろうが、あたしはいいや。
今よりもっと仕事したいなんて思わないし。(ダメ社会人)
土曜の昼から始めた1年分の書類整理が終わったのは日曜深夜。

(領収書の糊付けも布団の上で)
カセットボンベ同様これも、いつかはやらなくちゃいけない宿題にずっと手をつけないでいるような気分になってたシロモノだったから、ようやく着手できてスッキリした。
で、それと同時に。
紙 ゴ ミ の 多 さ に 驚 い た 。

(3行で済むことでもA4に印刷するのがお役所なのかぃ?そうなのかぃ?)

(3行で済むことでもA4に印刷するのがお役所なのかぃ?そうなのかぃ?)
それよりも何よりも。
布 団 周 辺 の 乱 れ っ ぷ り に も 驚 い た 。

(こんくらいはすぐに散らかせるのが汚部屋住人)

(こんくらいはすぐに散らかせるのが汚部屋住人)
ひとつのことを集中してやると他のことが煩雑になるこの性格はなんとかならねぇのか?と思うが、まあ、この程度の散らかり方はちょろいちょろい。(甘い)
で、昨日の朝のこと。
「紙だらけの重いゴミ袋3つとバッグを持って家を出て、そのまま出社っつうのは難しいかなあ」などと考えながら台所へ行くと、キッチンやリビングのゴミも結構な量になっていて、それに自堕落番長の御不浄砂(命名:夏目父)を加えたらやっぱ1回で捨てるのは無理っぽい。
平日の朝の1往復と2往復の違いはデカい。
仕方ない。紙ゴミは次のゴミの日に捨てるか・・・・と、ゴミ袋を眺めていると、あたしより早く起きていた夏目父が風呂から出てきた。
「おはよう」
「ああ、月曜日はゴミの日か」 ←とーちゃん挨拶!朝の挨拶!
「うん」
「ゴミ袋2つもあんの?」
「うん。でもこれ以外に、デカいのが3つある」
「ほう」
夏目父をあてにすることなく12年も暮らしてきたあたしは、ゴミ袋5つを、どうやったら2往復で運べるか?を考えていた。
が。
夏目家にまた奇跡が訪れた。
「ゴミ袋1個、俺が出して行こうか?」
な ん で す と ?
な ん で す と ?
「5個あるんだもん、普通は3個と2個だろーが」なんて思わない思わない。
1個でもびっくりだよ!
つうか、何だよぉ、とーちゃん。
急に普通の人になってくれるなよう。
びっくりするじゃねえか。
「あ、全部で5個か。じゃあ2個持っていくよ」
な 、 な ん で す と ?
な 、 な ん で す と ?
「足し算も微妙なのかよ」とか「お前が3つであたしが2つっつうのもアリだぞ?」だなんて思わない思わない。
でもさあ、とーちゃん。
いきなり2個ってハードル高くね?(高くねえ)
「え、いいの?」
「いいよ。出かけるついでだし」
「2個もいいの?」
「いいよ」
「じゃあ軽いの2個、お願いします!」
「玄関に置いといてくれる?」
「かしこまり!」
台所とリビングのゴミをテキパキとまとめ、2個のゴミ袋を玄関の、いくら夏目父でも見落とさない場所に置き、あたしは風呂に入った。
風呂の中でも暫くは、「なんかの冗談か?」と思ったり、「「やっぱ、録画してるユーロ2008見たいから仕事に行くのやめた」なんて言い出しそう」と思ったり(あるあるー)、狐につままれたような気分。
が、夏目父が出かける音が聞こえると、今度はジワジワと嬉しさがこみあげてきた。
と・・・・
と・・・・
と ー ち ゃ ん が 改 心 し た ど ぉ ぉ ぉ ぉ ぉ ー !
(うるさい)
と・・・・
と ー ち ゃ ん が 改 心 し た ど ぉ ぉ ぉ ぉ ぉ ー !
(うるさい)
会社に行ったら部長に言おう。
あと、友達にもメールしよう。
叔母ちゃんにも従兄弟にもメールしよう。
夏目父の人と成りを知ってる人みんなに教えよう!
・・・・と、テンション上がりまくりで風呂を出た。
で、部屋に戻る途中でふと玄関に目をやると。

(あたしが置いたまま動きナシ。跨いで出てったと思われる)
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。
いつもと変わりないとーちゃんでよかった・・・・。
なんて、全然ちっともさっぱり思わね。思うわけねえ。
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