BOOK INFOMATION

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片付けられない女魂     Amazon
(扶桑社 / 全503頁 / 書き下ろしアリ)



2008年8月1日(金曜日) 午後8時か9時頃~

片づけ・そうじ界 「 お掃除戦士・レンジャー隊 」 主催
チ ャ ッ ト 大 会 開 催 決 定 !



詳しくは、酉蔵クンのブログをご覧ください。


(不肖夏目も参加予定です)





昨日の夕方、夏目父との長旅から戻り、4畳半の部屋にある小さいベランダでタバコを吸いながら、物凄く久しぶりに、具体的には1ヶ月半ぶりくらいに、ただただぼーっと過ごした。



やっぱ、ぼーっとする時間って必要だよなあ。
動いてないとダメな人もいるけど、あたしはぼーっとしてる時間がないとダメだ。



・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。



つうか。
夏目父って、旅先だといつもに輪ぁかけて我儘になりやがるなあ。
大体、「この辺は蛍が見られますよ」って言われた途端、「ウチに帰るっ!」って何だ。
季節の風物詩さえも、ただの虫扱いかよ。
そんなに虫が嫌いなら、リハビリ兼ねて、あたしの部屋で寝起きしてみりゃあいいんだ。
あとアレもだ。
山の田舎に行ったんだ、ハエがいたくらいで大騒ぎすんなよ。
騒ぐほど嫌いなら、新聞紙でペシっ!っとしたあたしのことを「人でなし!」って言うなよ。



・・・・と、心の中でボヤきながらふと足元に目をやると、そこには、心がほんわかするような物があった。




(急に茂った!)






(花芽だ!)



最近あたしの住む街では、適度に日が照り、適度に雨が降っていたようで、家を留守にしていた間も、日々草は健気に、でも元気にすくすく育っていたのだった。
それを見たら、夏目父の我儘っぷりなんかどうでも良くなった。



リビングへ行き、山の田舎生活に疲れきってソファーに寝転がっている夏目父に声をかけた。

「あっちのベランダに置いてた日々草、すげー伸びてたよ」
「へー」



・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。
そうか。伸びてるくらいじゃ見に行く気にならねえか。



「花芽もね、出てた」
「へー」



・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。
これでもだめか。
でも、ベランダに置いてる鉢を家ん中に持ってきたら、嫌がるだろうしなあ。
・・・・あ。



「裏の家の柴犬、犬小屋から出て・・・・」





早く言えよ



そう言いながら夏目父はガバっと起き上がり、呆れているあたしを置いてひとり、4畳半の部屋に入っていった。
なんだかなあと思いながらゆっくり後に続いたが、リビングを出た途端、4畳半から「ギャ!」という叫び声が聞こえてきた。
もちろん、夏目父の叫び声が。



「どうした!」

慌てて4畳半へ行き、呆然と立ち尽くしている夏目父に声をかける。

「何これ!」

夏目父はベランダの床を指差して言った。






「日々草だよ」
「そうじゃなくて!何、これ!虫じゃないの!?」



夏目父が指した方向をもう一度よく見た。
すると。






確かに何やら見慣れない物体がある。
なんだろ?
固まって動かない夏目父の脇を抜けてベランダに出、溝にポロンと落ちているそれをじっと見た。






「何かの種・・・・?」
何の!
「さあ」
何の種!
「・・・・・・・・・・わかりません」
虫でしょ!
「違います」
じゃあ何でこんなところにあるの!
「カラスかなんかが落としてったんじゃないでしょうか?」
証拠は!
「は?」
カラスが落としたっていう証拠は!?
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」





ね え よ 。





「・・・・鳥くらいしか考えられないでしょ。でも虫じゃないよ?だってほら、裏返しても足もなんもなさそうだし」

そう言ってあたしがその物体に手を伸ばした時だった。
夏目父はもう一度「ギャ!」っと叫び、今度は何だ?と思ってあたしが視線を移すと、「触るの!?触れんの!?」と言う。



「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・触れますけど」
「虫かもしれないのにっ?」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ええ」
「虫かもしれないのにっっっっっ!」





マ ジ で う る せ ー ん だ け ど 。





「どうしますか?虫か虫じゃないか確認しますか?それともこのまま放置しますか?」
あまりのウルサさにうんざりしながらあたしがそう訊くと、夏目父は悲鳴にも似た声で言った。



「 ど っ ち も イ ヤ ! 」





・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。





駄々こねてんじゃねーよ、オッサン。



その後、固まったまま動かない夏目父をなだめすかし、素手ではなく、履いていたサンダルで未確認物体(夏目父基準)を裏返してみることで、話はまとまった。



「それじゃやりますよ?」
「い、いいですよっ!」



・・・・なんでこんなモンをひょいとひっくり返すことに親の許可が要るのかちっともさっぱり判らない。
が、ヤツの気が変わらないうちにやってしまわないと。



未確認物体(夏目父基準)に足を伸ばす。
が。
サンダルの先が未確認物体(夏目父基準)にあと数センチというところで、夏目父が絶叫した。





「踏みつけないでぇーーーー!潰さないでぇーーーー!」





夏目父はそう言うと走り出し、リビングへ逃げ込んだ。
そして。
なんでだか、それ以降、夏目父はあたしと口をきかなくなった。
別に口きかなくてもいいんだけどね、あたしは。
口きかなくたって、ひとっつも困んないんだけどね、あたしは。
困るのはキミのほうだと思うがね。



案の定、今日の夕方になって、夏目父からメールが届いた。

「昨日のあれ何だった?」

あたしが家に帰ってから直接訊けばいいじゃないか。とも思うが、まあいいや。

「やっぱり何かの種みたいだったよ」
「で、それ、どうした?ちゃんと捨てた?」







「 う ん 」




























このあとで種を日々草の鉢に埋めてみたなんて、夏目父には絶対言えない。





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 カナさん!おかえりなさい!!!!!