BOOK INFOMATION
他人に迷惑がかからない類のことはとことん手を抜いて暮らしているあたしだが、それをしなくても誰にも迷惑がかからないけれど、「やらない」という選択肢がないっつうことがいくつかある。
そのひとつが、正月飾りを焼納すること。
最近じゃ玄関にかける正月飾りを複数年使う人までいるらしいが、燃え盛る火の中にそれをポーンと投げ入れないと正月気分から抜け出せない夏目父とあたしは、お正月飾りをメラメラと燃やさなければ働く意欲が戻らない。
つまり、正月飾りを焼納しないと食い扶持を稼ぐ意欲すら湧かないダメ親子なので、毎年ふたりで、近所の神社に行くことにしている。
が、9割くらいは神社の境内に出る屋台目当てである。
ちなみに。
一般的には佐義長(さぎちょう)と呼ばれるらしい小正月のこの行事は、環境に配慮して廃れた街も多いらしい。
でも、あたしが住む街では、やっていない神社はないんじゃないか?と思うほど、現役バリバリ(死後)の行事だ。
今回燃え盛る火に放り込んだものは、お正月飾りと、

(「来年こそはフックを隠そう」と毎年思っている)
去年の初詣で買った、商売繁盛の御札。

(ダメ社長 会社の景気は神頼み ←初詠み)
以前軽く揉めて以来、火の中にブツを投げ入れるのは夏目父にやらせてあげているが、ヤツには一日も早く、「それぇーぃ!」と言わないで投げ込めるようになって欲しい。

(特別、だからな)
それから暫し、門松の竹が弾ける音におののいたりしつつ、自分たちが投げ入れた正月飾りと御札が燃えるのをボーっと見て、十分身体が暖まってから参拝者の行列最後尾に並んだ。
「何をお願いしようかなあ」と呟きながら夏目父が小銭入れを覗く。
あたしは、「家内安全と商売繁盛でしょう」と言いながら賽銭を手に持った。
「お賽銭、いくらにすんの?」 ←毎年訊く親
「・・・・教えね」 ←毎年ぶっきらぼうな娘
「いくらよ?」 ←毎年シツコイ親
「・・・・教えねえっつうの」 ←毎年短気な娘

(りょ、りょ、りょ、良縁成就祈願じゃないもん!もん! ←コイツ、いい歳です)
初詣は例年より混んでいたらしいが、この日はどちらかと言えば例年より空いていた気がする。
いつもは小一時間並ぶというのに30分ほどで順番がきた。
で、例年通り、「いいことがありますよーに」と大雑把にお願いした。
さて。
最後は、毎年恒例のおみくじ、である。
過去ログを読んでいない人のためにざっと書くと、一昨年までは10年連続「小吉」で、去年は「末吉」。
最も縁遠い「待人」の欄には、「小吉」だった10年間は「来ますが遅くなります」という、ツッコミどころ満載なことが書いてあり、去年は「時間をかけて選ぶことです、時が人を運ぶでしょう」という、どこからツッコめばいいのか判らないことが書いてあった。
さーて、今年はどんなことが書いてあるんでしょ。
小吉は10年続いたから、末吉も10年続くのか?
それとも、今年は凶とか?
・・・・と、悪いほうを期待しながら(オカシイ)ひいたおみくじを開いてみると、そこには、見慣れた文字が並んでいた。

(へ?)
・・・・つまらん。
おみくじに笑いを求めるのは間違ってるんだろうが、でもつまらん。
つうかこれじゃ、あの欄に何と書かれているのかが想像できてしまうじゃないか。
もう何年も前から巫女さんは、「同じ「小吉」でも、中に書かれていることはいろいろなんですよ」と言ってくれるのだけれど、あたしの場合、小吉の時は100%アレだもの、つまんねえよ。
となれば、真っ先に見るべきは勝負運だ。
勝負、勝負・・・・と。

『 勝 負 自 分 に 勝 つ 努 力 を 。 』
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。
信念を貫いても曲げても、麻雀に負けてる気ぃするんですが。
ああなんか、今年も勝てる気しねえ。
・・・・って言ってる時点で明らかに自分に負けてるけど。
結びつける前に、一応あの欄も見てみるか。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。
やっぱやめとくか。
と、ウジウジするのは5秒で飽きたので、待人の欄を見てみた。
薄 目 で 。
(実話)

(ショックを和らげる方法が薄目ってのもどうよ)
(実話)

(ショックを和らげる方法が薄目ってのもどうよ)
が。
薄目なのに想定していた文じゃないことが判ってしまい、思わず二度見した。

(へ?)

(えええええええええ?)
『 待 人 心 が 通 じ る 人 が 来 ま す 。 』
く、来るんだ・・・・。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。
今更そんなのメンドク・・・・いえ、何でもありません。
(こら)
| HOME |