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片付けられない女魂     Amazon
(扶桑社 / 全503頁 / 書き下ろしアリ)



コテコテの汚部屋に住んでいるのに、職場の自分の席は常に片付いている、という人を自分以外に見たことがない。
というか、仕事関係の人の家に遊びに行ったことがないに等しいから、たとえば今一緒に働いている人たちの部屋が片付いているのかどうかを知らない。
勤務年数が短いのなら散らかすほうが難しいが、あたしのように、大きく異動することもなく同じ会社に5年も10年も15年も勤めている場合は、よほど神経質にならない限り、雑然として当たり前というような気もするし、実際うちの会社に長く勤めている人の席は概ねそうだ。
なのに、あたしの机周りは日に日に整然としていっている。
頑張って片付けているわけでは決してないし、綺麗じゃないと仕事に集中できないというわけでもない。
良く言えば「片付けるのが習慣になっている」ということなのかもしれないが、本当の理由はそんな立派なモンじゃ全然ない。
あたしの席が片付いている理由は、「直属上司が超短気で、しかも、怒るとすげーコワイ人だ」ということに起因する。



たとえば一番簡単なところで、「A社の見積書」と上司が呟いてからあたしがそれを手渡すまで、30秒かかってはいけない。
あたし以外が相手だと上司はもう少し気長に待っている気がするから、もしかすると上司は、その人が出来る最短時間だけ待つことにしているのかもしれない。
とにかく、上司があたしに求める仕事のレスポンスタイムはどんどん短くなっていて、それに応えるには机周りも頭の中も常に整理されている必要がある、というだけの話だ。
上司がキレキャラじゃなかったら、あたしは会社の席を散らかし放題にしていたと思うが、幸か不幸か過去の上司は揃いも揃って、あたしが慌てたりモタつくのを嫌うタイプ。
今の上司ほど気が短い人はいなかったが。



そんな上司の下で働いているから極力自分の席には私物を置かないようにしているのだが、唯一、デスク脇にあるキャビネットの奥に長年溜め込んでいた私物がある。

使うか使わないかと訊かれれば使わないし、使いようもない。
大事なことを書き込んでいるわけでもないどころか、書き込む習慣自体ない。
じゃあなんで取っておいてるの?と訊かれたら返答に困る。
「これだけ揃ってるとなーんか捨てられないんだよねえ。つうかカワイイし」というのが正直なところだが、 自席のキャビネットに何を入れていようがツッコむ人などいないわけで、誰にも訊かれないもんだからなんとなく溜め込んでしまっていた。






(2002~2008年までの計7冊。って、あれ?1冊足りね)



(某片付けブログで話題になっている)生保会社の卓上カレンダーである。






自分がここの保険に加入していないため、毎年知り合いのオッサンに「くれ」とせがんで貰い続けること7年。






リボン猫で、






しかも、非売品。






す、捨てらんねえ・・・・。

が、これほど使い回しが効かないモノもないわけで。
これがたとえば、7年間、その日の出来事を四文字熟語で書き込み続けているとか、職場にいるステキ男子と目が合った回数をハートマークで書き込んでいるとかなら、取っておく意味もありそうな気はする。
でも。



あたしがそんな乙女チックなことするわけねーし。





つーか、職場にステキ男子、いねーし。





それより何より、そんなアラフォー、痛々しいし。



もちろんこれまでは、どうこうする必要はなかった。
が、最近コレを入れていた引き出しに共用のPC周辺機器も入れることになり、上司や同僚の目に留まるようになってしまったから、さあ大変。
いや、大変つうより、超メンドクセぇことになってしまった。



口火を切ったのは他でもない上司。

「なんで古いカレンダーなんか取っておいてるわけ?」
「・・・・なんとなく」
「キティだからか?」
「まあ」
「キティだからって、古いカレンダー取っておいたってしょーがねーだろ」

・・・・そう、それは言われなくても判ってんだけどね。

「でもカワイイし」
「は?」
「え?」
「お前今、カワイイって言ったか?」
「・・・・言いましたが何か」

最近つくづく感じるのだが。
「カワイイから捨てらんない」という感覚は、男性にはなかなか理解して貰えない。
あ、いや、違う。
あたしが何かを見て「カワイイ」と言うと、職場の男性は必ず聞き返す。
ちなみに。
最近あたしが「カワイイ」と声に出したのは、ネットで見つけたとある動物の写真なのだが、この時は周囲から、



「 「 美 味 そ う 」 の 間 違 い じ ゃ ね ? 」



と散々言われた。
・・・・食うかよ。

そんな職場で、「カワイイから捨てらんね」とあたしが言うのはどうやら禁句だったようで、日々入りまくるしょーもないツッコミを回避すべく、ひとまず家に持ち帰ることにした。



捨てたってちーっとも困らないのは判っている。
が、片付け始めてからあたしは、これほど捨てるのを躊躇したことはない。
パソコンデスクの上に置いて時々手にとって眺めては、捨てるか捨てないかを自分に問う日々が続いた。
とてもぼんやりと、でも頻繁に。
で。
家に持ち帰って10日が過ぎた頃、「捨てたくなるまで取っておこう」と思うに至った。



これまでも度々書いているが、「要る」「要らない」とか「使う」「使わない」で括れないモノはたくさんある。
あたしは必要最低限のモノだけで暮らしていこうなんて思っちゃいないせいか、「取っておいたところで使いようがない」と思っても、なーんとなく捨てられないモノがいくつかある。
それらに埋もれ、ゴミ屋敷のような汚部屋に逆戻りする気はもちろんない。
でも、横20センチ×縦10.5センチ、厚さわずか3.5センチのモノくらいどうにでもなるハズで、




(あれ?やっぱ7冊ある)



あたしにとってこれは、要るとか要らないとか、使えるとか使えないとかいうレベルで括れないモノ。
「もう使えないけどカワイイから捨てらんね」でいいじゃないか。
これらが活躍する場はもうないけれど、時々眺めてはニンマリする、そんな使い方があってもいいじゃないか。
片付けることに頓着し過ぎると、捨てることが正しくて、捨てないことが間違いかのように思えてきてしまうけれど、こういうモノじゃなく、癒しにすらならないようなあたしにとって本当の不用品から捨てればいい。



透明のケースは捨てようかと思った。
でも、これから先何年続くか判らないが、ひと手間をかけるのが億劫で、結局仕舞うべきところに仕舞えない自分が容易に想像できるから、ひとまずはこのままで取っておくことにした。
が。
活躍することはもうないと思い込んでいたこのケースを再利用する時が、突然、意外な形でやってきた。











(今年のもカワイイ)





ん?






(油性で落書き。しかもプラケースが筆跡で窪んでいる。
後に上司の仕業と判明。
犯人曰く、「これもカワイイって言うかと思ったんです・・・・」)



あー、良かったあああああー。
ケースまで捨てちゃわないでほんとに良かったー。



・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。





な ん て 思 え る か 、 ボ ケ 。





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 あらららー。