BOOK INFOMATION

単行本 『 片付けられない女魂 』 は、Amazonマーケットプレイスで購入できます。
片付けられない女魂     Amazon
(扶桑社 / 全503頁 / 書き下ろしアリ)



(4畳半の続きをお待ちの奇特な方はもう暫くお待ちください)



アメブロのインタビューでもちょっと触れたけれど、汚部屋を片付けていて、買ったまま開封すらしていない物を発掘することがちょくちょくあった。
服や雑貨やコスメグッズなど、新品未使用の物をゴミとして捨てるのは罪悪感との戦いだったが、でも、人よりだいぶ長い時間をかけ、胸に手を当てて考えた末にそれらを捨てたことはその後の生活に多大な影響を及ぼしている。
一番大きな変化は、本当に必要な物と本当に欲しいものしか買わなくなったということなのだが、本当に必要かどうかを見極めるのにやたら時間がかかってしまうので、最近は買い物をする時の自分が鬱陶しくてたまらない。
が、先日、イレギュラーな買い物をしなければならない事態が起こってしまった。



経緯はこうである。
愚痴る相手が口の悪い女の部下しかいない、という可哀想な上司と酒を呑んでいると、これまで30回は行ったであろうその居酒屋で嗅いだことのない香りが漂ってきた。
平日の夜で閉店時間が近いこともあり、あたし達以外の客は1人だけだったのだが、その香りを上司と二人で思いっきり吸い込み、声を揃えて「美味しそー」と言うと、店主ではなくその客があたし達を見やり、「飲みますか?」と声をかけてきた。
少し酔い始めていたあたし達は遠慮もなしに「はい!」と答えてご相伴にあずかり、美味しい美味しいと喜んで飲んでいたら、思いがけずそれを戴けることになった。






店に居た男性客はコーヒーの自家焙煎屋さんで、その居酒屋にランチ用のコーヒー豆を納めているとのこと。
そのコーヒーをご相伴にあずかったのだったが、家ではインスタントコーヒー、会社ではユニマット、外ならもっぱらドトールっス!なあたしにとってそれは、飲んでしまうのがもったいないくらいの美味しさだった。
家で美味しいコーヒーを飲みたくないわけではもちろんないのだが、何しろたくさん飲むくせに超モノグサなので、淹れるのもメンドウなら洗い物とゴミが増えるのもメンドウで、だからインスタントコーヒーばかり飲んでいる。
しかも。
瓶を傾けてマグカップにインスタントコーヒーを入れてお湯を注いだらかき混ぜることなくゴクリという、コーヒー屋さんにはとても言えないような飲み方だ。
そんなあたしが、美味しいコーヒーを戴いてしまった。





豆 で 。







コ ー ヒ ー ミ ル が な い の に 豆 で 。




(一瞬「このまま食ってみっか?」と思った俺。アラフォー、独身、彼氏ナシ)



コーヒー屋さんは、「豆は冷凍室で保存して、飲む都度挽くのが一番美味しいよ」と笑顔で言った。
「この味が気に入ってくれたなら(居酒屋の)ご主人に言ってくれればいくらでも持ってくるよ」とも。
更に聞けば居酒屋のご主人は、店で出すのとは別に賞味期限ギリギリのコーヒー豆をタダ同然の値段で譲り受けているらしい。

うー、それ魅力。

居酒屋のご主人曰く、「賞味期限ギリでも過ぎちゃっても、風味は落ちるけど充分美味しいよ」。

ううーん、それも魅力。



「しかもこの豆、有機栽培なんだって!」



・・・・・・・・・・ふむ。
(そそられないらしい)



という具合で。
味と値段には相当の魅力を感じたのだが、インスタントコーヒーにお湯を注いだ後、かき混ぜることすらメンドクセと思っているこのあたしが、コーヒーを飲む都度豆を挽いてドリップするなんてことができるのだろうか、いやできない。(反語フル表記)
でも。
改めて考えてみると、いや、改めて考えるまでもなく、あたしは大人になってからずっと、時間に余裕があろうとなかろうとプライベートのほぼ全てを手抜きして暮らしていたわけで、未だに万年床生活から抜け出せてないし雑な性格はこれからも変わらないだろうけれど、好きなコーヒーを淹れる時間をも楽しむような豊かさには憧れる。
よし。



か、か、か、か、買うか、買っちゃうか。
(己の決断に激しく動揺)




(当方、雀荘と釣具屋とヨドバシが好きな独身女です。どーぞよろしく。 ←何が)



買うことを決めるまでに丸3日、商品選定に丸1日。
煎りたてのコーヒー豆の風味が損なわれるのに充分な時間をかけ、でも、あたしにしては超高速で、コーヒーミルを調達した。

事前にネットで入念に(夏目基準)調べ、店舗の在庫をWebでチェックし、現物を見て決めようとヨドバシへ行ったのに、シルバー・白・茶・黄・赤の5色のどれにするかで2時間超も迷う自分はやっぱりだぶ鬱陶しかった。
で。
2時間かけて選んだ色は、やはりこれ。




(カーテン下部の引き攣りは、ベランダにきた雀に飛びかかろうとした)


(自堕落番長(猫)が爪を引っ掛けた跡。その後、閉まっていた窓に顔面激突)


(全部欲しい)



手動ではなく電動というのだけは決めていて、もっと安いものはたくさんあったけれど、もしデバイスタイルでミルを出していたならそれが欲しいとは思っていた。
まさか色で2時間迷うとは思ってもみなかったけれど、どの色も欲しかったからどの色を買っても後悔しなかったんじゃないかと、今は思っている。

早速コーヒー豆を挽いてみる。




(ドキドキ)



スイッチを入れ、聞き慣れないミル音におののきながら30秒経つと、会社で見慣れているレギュラーコーヒーが出来上がった。




(ちょっと感動。いや、ちょー感動)



次はドリップ!ドリップ!・・・・と調子に乗ったところで姪から電話がきた。

「はい」
「あ、夏目ちゃん」
「おうよ」
「あのね、今週のMステ、録ってちょーだい」

最近あたしは、頼まれたTV番組を録画して編集してDVD-Rに焼いて渡すという、姪専用録画マシーンと化している。
あたし自身が興味のないことは、たとえば「一緒にゲームしよう」とか「ケーキを作ってみたい」とかいう誘いはバッサリ斬り捨てる。
つまり、姪の誘いやお願いはほとんどバッサバッサ切り捨てる鬼叔母なのだが、あたしが興味のあることならばトコトン付き合うことにしている。

請けたからには、うっかり予約し忘れたりしたくない。
姪と電話で話しながら自分の部屋に行き、TVをつけた。
そういえば数ヶ月前からあたしの部屋のTVは、電源を入れて3分くらいしないと映像が出てこなくなっているので、それを待つ間、姪と雑談をする。

「夏目ちゃん、『 ROOKIES 』 、いつ観にいく?」
「6月中旬の週末」
「わかった」
「ハンカチ忘れないようにしないと」
「どうして?」
「泣く気満々だから」
「泣けるの?」
「知らないけど、ドラマは毎週泣いてた気ぃするから」
「チチ(夏目父)も一緒に行くんだよね?」
「ああ、行かないんじゃないかなあ。父、ドラマ見てなかったし」
「そうなの?」
「今いるけど訊いてみる?」
「うん!」

なんつう話をダラダラしているうちにTVがついたので、とりあえず録画予約を済ませた。

「予約完了」
「よろしくー」
「はい」
「あ!そうだ!夏目ちゃん!」
「ん?」
「今度の月9、山Pなんだよね!」 ←山Pが好きなわけではない姪。小学6年生。
「おお!」 ←山Pが出るドラマは概ね好きな叔母。アラフォー、独身、彼氏ナシ。
「で、チチ(夏目父)は行くって?」 ←叔母の好きな話を振るも長話はできない仕様
「あ、訊いてみる」

受話器を耳に当てたまま部屋を出ると、廊下にはコーヒーのいい香りが漂っていた。
料理をしない我が家に漂う美味しい香りはごはんの炊き上がる匂いくらいで、だから、コーヒーを挽いた香りはとても新鮮だった。
・・・・ん?



コーヒーを「挽いた」香りか?これ。



いやーなムード漂うリビングのドアを開けた。
するとそこには案の定、湯気の立ったマグカップを口元に運ぶ夏目父の姿があった。
そしてキッチンのシンクには、同じく湯気の立ったドリッパーが置いてあった。



飲 み や が っ た な 、 オ ヤ ジ 。
(註:良い子は親にこんな言葉を吐いてはいけません)



「・・・・父は 『 ROOKIES 』 観に行かない」
「え。どーして?ドラマ観てなかったから?」
「いや」
「じゃあどーして?」



「 今 か ら 親 子 喧 嘩 が 始 ま る か ら 」



「え゛」
「また後で電話する」
「け、け、喧嘩が終わったら?」
「おう」
「あ、あ、あんまり喧嘩しないでね」
「おうよ」

そう言って電話を切ったものの、あたしの声が聞こえているハズの夏目父はこっちを見もせず、小指を立てそうなくらいゆったりとコーヒーを飲んでいる。
静かに深呼吸をした。
気持ちを落ち着けて、感情的にならず、あくまで冷静に。



「あの」
「このコーヒー、美味しいよ」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
「コーヒーミルもいいもんだねえ。なんかここんとこ、アレでもないコレはどうだって迷ってたみたいだけど、買って良かったじゃない」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
「そういえば最近はヨドバシに行っても、絶対使わないようなモン買ってこなくなったんじゃない?でもひとついいかな」
「あ゛?」
「コレの売り場とパソコン売り場って、離れてる?」
「別の階」
「ふーん」
「なに」
「パソコン買うの?」
「買わねーけど」
「ふーん」
「だから何」
「せっかく吟味してコーヒーミル選んで、いつもみたいに余計なモンは買わなかったのに」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・!」 ←話の先がようやく見えた
「なんでこういうモン持ってきちゃうかねえ」






(カタログ2種。大人の事情対策済)





・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。





き 、 綺 麗 だ っ た か ら で す が 何 か 。



こういうことを改めて親に突っ込まれるとかなり恥ずかしいと気づいたあたしはコーヒーの文句を言う気が失せてしまい、いつも通り、横取りしたモン勝ちのままで話は終わってしまった。
が、それから数日経ったある日のこと、まるでそれが納豆か缶ビールかみたいな調子で言った。



「 今度ヨドバシ行ったら、山Pのdynabook買ってきて 」



・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。
つうわけで、姪よ。



『 ROOKIES 』 は二人で観るぞ。
(決定)


お正月まで前じゃないけど、2月にはもうここにあった気がする。
つうことは、4ヶ月近くか。
こうやってぼーっと暮らしているうちにどんどん歳くって萎れて枯れていくのね、俺。






(タイツを4ヶ月干し続ける女。アラフォー、独身、彼氏ナシ)




(外してみた)





あ れ ・ ・ ・ ・ ?






(女友達からの誕生日プレゼント)




(毎日ウエストや腹回りを測っては、その都度見なかったことにしている)




(今日は腹回りではなく股下を測ります)











す げ ー 伸 び て る し 。
(捨てました。タイツも。女も)



なんてことは未だ日常茶飯事で、「片付けられる女」にも「片付け好きな女」にも成れていないダメ人間のインタビューが、超有名ブロガーにこっそり混じり掲載されています。






11回目までは超ウルトラ有名ペットブログや絵日記ブログが続いているので、そこにあたしが入っちゃあ明らかに場違いなカンジなんですが、気後れせず、ここのコメント返し並みのまったり感で答えております。
つうわけで、是非ちょろっと覗いてみてくださいませ。



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 一方的に好意を抱いているブログが久しぶりに更新されテンション上がりまくり中。


(熱く語っていますが、全くもってどうでもいい話です)




「やっと巡りあえた。しかもパーフェクト。俺、今すげー幸せ」
「・・・・うちに息子はいないハズだが」
「すげー幸せ」
「うちの娘の言葉遣いの悪さは一生直らないのかね」
「すげく幸せ」
「・・・・何語よ、それ」
「とても幸せです」
「お前の幸せはいつでも安いねえ」
「お金の問題じゃないんです」
「ふーん」
「人生に光が射したっつうか、道がぶわーっと開けたっつうか」
「これまでの人生、どれだけ暗かったのさ・・・・」
「お父様、ここまで育ててくれてありがとうございます」
「・・・・このタイミングで感謝される意味が判りません」
「あたしも判りません」
「そんなに喜んでる意味も判んないけど」
「だってマジでパーフェクトなんだもん。これであたしのストレスの9割はなくなるよ」
「・・・・大したストレスもなく生きていらっしゃるようで」
「地球に生まれて良かったよ、俺」
「織田裕二か」
「ううん、山本高広」



・・・・と、夏目父には全く理解して貰えなかったし他の誰にも理解して貰えない可能性大だが、それでもあたしは今とても幸せだ。
だって、長年思い描いていたものをようやく手にできたのだから。
具体的には。



理想の不織布ケースを見つけたのだから。



・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。



えーっと、誰からも理解されなさそうだが気にせず話を進めよう。



テレビ番組を闇雲に、ほんとうに闇雲に録画している。
国内ドラマとドキュメンタリーとトーク番組は必ずといっていいほど録っていて、ざっと見たらハードディスクから消せ・・・・ればいいのだけれど、 ちょっとでも興味を惹く何かがあると繰り返して見る習慣があるためなかなか消せない。
なので当然600GBのハードディスクでも全然足りず、すぐに残量がヤバくなるため、 それはもう日常的に録画した番組を編集してはDVD-Rに焼いている。

(東芝機以外は受け付けない身体になっちまいました)

問題は、日々増え続けるDVD-Rの整理方法なのだが、増える速度と自分の性格を鑑みて行き着いたのは、「極力手間を省く」ということだった。

まず。
「後で」「時間が出来たら印刷しよ」と思っているうちに、中に何が入っているかわからないディスクが溜まることが目に見えていたから、ディスクにタイトルを印刷するのは早々に諦め、上司から「象形文字」と呼ばれているヘタ字でタイトルを手書きしている。
ディスクは、最も嵩張らないであろう不織布のケースに入れる。
しかも、世間的に便利とされている両面収納のケースを使ってしまうと、裏面にディスクを入れたかどうかを何度も確かめてしまい、そんな自分が鬱陶しくなるから、



ハナから片面収納のを買っている。



その不織布ケースにインデックスカードがついていたところで、マメには書かないだろうし、



専用ファイルに綴じることだってメンドウになるのだろうから、ファイリング用の穴も不要。



自分の性格そっちのけでDVD-R収納の理想系を語ってみると、
「レーベルは勿論印刷したいし、インデックス付きのディスクケースに入れて好きなフォントで見出しもつけたい。それらを綴じたファイルの背表紙には中身が容易に判るタイトルを美しく印字したいし、ファイル選びにもとことん時間をかけたい」
・・・・ということになるのだが、3日に1枚とか、5日で30枚とか増えるディスクをその都度丁寧に整理するなんつうステキなことが、あたしに出来るわけがない。
が、「頓挫する可能性が高いからトライしない」という、一見後ろ向きな選択を、前向きな気持ちで決断できるようになった今、理想系を実現できないことに全く後悔はない。
つうわけで、今はひじょーに手を抜いた形で収納している。






が、この不織布ケースがどーも頂けない。
使い始めた瞬間は問題ないのだが、ほんの少しでもいじるとすぐに角がヨレてきて、扱いづらいったらない。






こういう物なのだと思ってしまえば諦めもつくのだが、だいぶ前、CDやDVDをプレスする会社の仕事をしたことがあり、そこでもっとシャキっとした不織布ケースを見てしまったものだから、どうしても、自分が使っているののショボさが気になってしまうのだ。
だから、DVDを焼くようになってずっとあたしは、「シャキっとした不織布ケース」を探し続ける不織布難民だった。
「厚手(当社比)」という言葉に惹かれて買っては、「これが厚手なら御社の一般品はどんだけ薄いのさ!」と心の中で毒づいたことは数知れず。
シャキっとした不織布ケースを諦めようと、100均あたりで買ったものを使っていたこともあるのだが、






開封してみると想像していたより更に薄く、結局1枚も使えなかった。




(お久しぶりです)



・・・・という具合に、不織布への恨みつらみを語り始めると尽きないあたしが、このたびようやく、本当にようやく、具体的には5年半ほど求め続けた理想の不織布を入手した。






商品説明に偽りなく「非常にしっかりした作り」で、ディスクを入れるとすぐに角が反り始める汎用品とは全くの別物。




(裏面。左が汎用品。早くもうっすら反りが始まっている)


(表面。左が汎用品。フィルムも厚い)



100均で買えば1枚1円、普通に買っても2~4円だろうから、今回買ったケースは少し高め。
でもいいの。
値段なんか関係ないの。
金の問題ではないのだよ、夏目父。
だって見てくれ、このスッキリ感。(夏目基準)










見る人から見れば、というか、大半の人は「何を大げさな」と思うのかもしれないけれど、でも、DVDを焼き終わるたびに気にかかっていたことが解消され、今あたしはかなり幸せだ。



「まあでも、ほんとに欲しいモンなら値段は関係ないってのは判るよ」
「うん」
「高いモンを安く買えるのは嬉しいけど、だからって安けりゃ何でもいいってわけじゃないしね」
「そそそ」
「俺の場合、納豆がそれかなあ」
「・・・・その話、よく自分から振れるね」
「もっと安いの売ってんの知ってるけど、いつものじゃないと満足しないし」
「あるだけ食わないと満足しないのは何でだろうね」
「高いのを美味いと思うとは限らないし」
「・・・・娘の素朴な疑問はスルーかよ」
「金の問題じゃないかもなあ」
「あたしにとって納豆は金の問題だがな」
「で、キミは今、理想の不織布を手に入れて幸せだと」
「うん」
「他に何か、今むしょー欲しいモンはないの?」
「・・・・?思いつかないけど」
「ふうん」
「なに?」
「いやいや。じゃあ、物欲のない娘に代わって」
「ん?」
「日本の景気回復のために俺が」
「あ?」





「2人分の定額給付金を使ってあげることにしましょう」








・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。
世帯分まとめてひとつの口座に振り込まれるって知った時点で、諦めてるっつうの。
どーぞどーぞ、あたしの分もお使い下さいな。
なんでも好きなモン買ったらいいじゃないの。



すっかり脱力したあたしが、「いつも買ってる納豆なら153個買えるよ」と言うと、夏目父は意外そうな表情であたしを見て、仰天発言をした。





「納豆?なんで俺が買わないといけないの」





・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。





て め え が 食 う た め で す 。




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 あざーす!!!!!


というわけで先週、渋々ホームセンターへ行ってみた。
用件は、「あたしが買った石膏ボードを家に持ってきてください」だけだから電話をかければ済んだ話なのかもしれなかったが、夏目父がホームセンターで植木を買いたいというので、じゃあついでに石膏ボードの件も言ってみようと思い立ったのだ。
結論からいえば、ルーキークンは未だに「研修中」の名札をつけて働いていたが案の定メモを失くしてしまったそう。
しかしそんな話を聞いたところで、「じゃあ電話かけてくりゃあいいじゃねえか」とかツッコミどころ満載には変わりないし、そのあげく、ルーキークンじゃない30歳前後の女性店員が配達伝票をめくりながら、「お電話頂ければすぐにお届けしましたのに」などと言う。
あたしがこれまでホームセンターに連絡しなかったのは、心が広いわけでも気が長いわけでもなく、こういう言い訳以下のしょーもない話を聞きたくないからだったのだが、ルーキーくんの不手際を謝るでもなく真っ先に、「届かなかったら連絡しろ」と言うような人とそれ以上話す気はない。



(以下、独身アラフォー女の怖さをお楽しみください)



「石膏ボード、キャンセルします」 ←前触れ一切ナシ
「は?えーっと、すぐにお届けできますが?」 ←すげえ感じ悪い口調で
「買った時も「できます」って言われました。でも届かなかったんです。しかも、今度も届かなかったらあたしは電話しないといけないんですよね?」 ←嫌味のつもり
「ええ、お電話頂いてましたらすぐに対応できましたよ?」 ←通じてねーし
(シカトして)「それと、うちに間違って納品された石膏ボードがあるんですが、それ、今日引き取りに来て頂けますか?」
「ああ、んー、はあ」
「・・・・・・・・・・あの」
「はい?」



「今の「はあ」って、どっちの意味ですか?」
(これ以上ない嫌味のつもりです)



「は?」
「「はい」ですか?「いいえ」ですか?」
「えーっと、少々お待ち下さい」
なんで
「はい?」
な ん で ?」 ←感じ悪い女大会日本代表です
「あ、あの、責任者を呼んできます!」 ←ダッシュでバックヤードへ



石膏ボードを買うことに、こういう精神衛生上よろしくない会話がついてくるとは思っていなかったが、その後慌ててやってきた店長はとてもスマートで判りやすい話し方をする人だったからだいぶ救われた。

店長は、「はあ」の女性店員を隣に置いてまず、「不手際があったようで申し訳ありません」と詫びた。
あたしとしては詫びの言葉が欲しいわけではないのだが、鬱陶しそうに伝票をめくりながら、「届かなかったらお電話頂ければ・・・・」と言っちゃう人よりずっと話しやすいことは確かで、その後、隣にいる女性店員に状況を確認しながら話を進める。

「○○クン(ルーキー)からはどういう報告受けてたの?」
「初回納品間違った、とだけ」
「どう間違ったのかは訊いた?」
「いえ」
「君は確認しなかったのね?」
「はい」
「つまりフォローしなかった、と」
「え?」
「君が○○クンの担当でしょ。君が確認しないで他の誰が確認するの」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
「状況わかりました。仕事に戻ってください」

・・・・という会話の後、店長はあたしを見て、「お詫びのしようもありません」と切り出した。
が、ちゃんと話が通じる人とならこっちも前向きに話す気になれるわけで、感じ悪く「キャンセル」とか言ったことはどこへやら、ここ10日くらい間に湧いた疑問を率直に投げかけてみた。
それは、間違って納品された3枚の石膏ボードをそのまま使えないかしら?ということ。
というのも。
910mm×1820mmの石膏ボードってのは想像以上にデカくて重くて、ひじょーに扱いづらく、素人のあたしが垂直に張れる気が全くしない。
だから、たとえ手間がかかっても、その3分の1のサイズのを3回張るほうが確実な気がしていたのだ。
結論から言えば店長は、「手間さえ惜しまなければそれもアリです」と言った後、



「失敗した時にやり直すのもラクですしね」



と付け加えた。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。
し、失敗したくねえけど確かにそうっスね。



最初からあたしが3分の1のサイズでオーダーしていれば車に積んで持って帰ってこれたから、配達してもらう必要も、ここまで待つ必要もなかったわけだが、それは結果論であって、デカいのが普通に配達されていればそのままで施工を試みていただろうから、今回の策は折衷案でしかない。
あたしが譲歩しなくていいことは百も承知だが、待つことに疲れてしまったので、正直言って「配達はもう勘弁」という気持ちだった。



店長自ら石膏ボードをL字型に裁断してくれるというので、あたしは作業室の外で待つことにした。
すると、件の女性店員があたしには目もくれず、店長を追って作業室へ入って行った。
ガラス越しに女性店員を見ていると、店長に何やら話しかけて・・・・というよりは食ってかかっている様子。
そして、店長が持って入った石膏ボードを指さしながら何やら熱く語っている。
店長の表情は見ていなかったが、作業室の外を何度も指さしているということは、「いいから仕事に戻れ」的な?
いや、わかんないけど。
その後も女性店員は、石膏ボードを裁断する店長の背中に何やら話しかけていたが、話がついたのか何なのか、明らかに不機嫌な顔で作業室から出てきた。
そして恐ろしいことに、あたしをキっと見た女性店員は唇を震わせながら、信じられない言葉を口にした。



「さっきの返事ですけども!」
「え?」
「さっき、「はい」か「いいえ」かって訊かれましたけども!」
「ああ、はい」
「私の「はあ」はっ!」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・はい」



「 Yes, We can. という意味ですっ!」
(註:実話です)





・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。





おもしれぇじゃねえか、このやろう。



吹き出しそうになるのを我慢しながらあたしがようやく「そうですか」と言うと、女性店員は、「そうですっ!」と言ってバックヤードに走り去った。
店長に窘められたからってあたしにキレてどうするよ、とかいうことは思わないでもなかったが、何しろ「Yes,We can」である。
本人は至って真剣だったろうが、でも「Yes,We can」である。



やっぱりすげーおもしれぇじゃねえか、このやろう。



店長が、L字型の石膏ボードを持って作業室から出てきた頃にはもうすっかり、あたしの中では一連の対応が面白い出来事に変わってしまっていた。
頬がすっかり緩んでしまっているあたしを見て店長は一瞬怪訝な顔をしたが、その後は何事もなかったように様々なアドバイスをしてもらい、急遽断熱材も裁断してもらって無事全ての部材を入手し帰宅した。
で、昨日の朝からちまちまと、石膏ボードや断熱材の細かい加工を始めている。




(これらで壁を作ります)



もちろん、



「Yes,We can.」の思い出し笑いをしながら。





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 うおー、いつの間に!