BOOK INFOMATION

単行本 『 片付けられない女魂 』 は、Amazonマーケットプレイスで購入できます。
片付けられない女魂     Amazon
(扶桑社 / 全503頁 / 書き下ろしアリ)



随分前、夏目父を初めて某ロックユニットのライブに連れて行った時のこと、ライブが終わると夏目父は、あたしとあたしの友人に向かってそれはそれは輝いた目で、「こんなにいっぺんに、感激して興奮して感動したのは人生で初めて!」と言った。
その言葉を聞いてあたしも友人も、夏目父を連れてきて良かったと心底思ったのだが、と同時に、孫がいる年齢になっても尚、人生で初めての経験をするチャンスがあるものなのだと、改めて気づかされた。
それから10余年が経ち、アラフォーとなった今のあたしも、経験していないことがまだまだ、まだまーだあるのだなあとつくづく考えさせられる出来事が、先日あった。



きっかけは、20年近く前に買ったこのコタツ布団である。






「実家の冬といえば炬燵にみかんだろー」と思っているにもかかわらず、我が家で大昔に買ったこのコタツ布団を4シーズンしか使っていないのは、例年、リビングのテーブルをコタツに替えるのを億劫がっているうちに冬が終わってしまっているからというグダグダな理由なのだが、一応毎年シーズン前になると押し入れからコタツ布団を出して干してみたり、まともに使った後はクリーニングに出してはいた。
ただそうしたところで、経年によるものであろう埃っぽさや古さを感じる匂いは消えてくれず、今年の春先、何年かぶりにコタツにかけていたこの布団を外した時には、「捨てちゃおうかな」とさえ思ったくらいだった。
ただ、今回も入れて4シーズンである。
いくらで買ったのかも、一般的なコタツ布団の耐久年数がどのくらいなのかも知らないが、「たった4シーズン」という気がしまくりで、だからこのコタツ布団をどうにかスッキリさせたいと思うに至ったのだった。

さて。
この手の物をスッキリさせるといえばやはり丸洗いである。
そして出来ることなら。
仕上がりはクリーニング店のそれではなく、たとえるなら、家で綿のシーツを洗い真夏の太陽の下に干した時のような、



スーパースペシャルにスッキリ仕上げたい。



そうなると一番いいのは自分ちの洗濯機で洗えることなのだが、我が家の洗濯機はコタツ布団よりも前に、少なく見積もっても21年前に買った4.2リットルキロサイズのため、コタツ布団はおろか、シングルの毛布1枚でいっぱいいっぱいだ。
風呂場の浴槽にお湯をためて・・・・という方法も一瞬頭を過ぎりはしたが、脳内シミュレーションし始めてすぐに気が遠くなったため、これは早々に諦めた。
で、結局あたしが選んだのは、コインランドリー。
ボロだろうと何だろうと常に洗濯機のある暮らしをしていたあたしが縁が無いと思い込んでいた場所であり、20年生きてきて初めて立ち入る場所でもある。
#激しく歳をサバ読みたい年頃のオバさんです。突っ込まないでやってください。



そうと決まればあとは行動あるのみ。
カーっと晴れて気温が高い日に決行することとし、それまでの間、家から行きやすくて綺麗なコインランドリーを探さねば!と意気込んでみると、縁が無い場所だと思い込んでいた時は気づきもしなかったのだが、家から徒歩5分の場所にある、いつも行っているクリーニング屋に隣接してコインランドリーが出来ていたことを思い出したのだった。



・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。





しょっちゅう見てんだろーが。覚えとけよ、あたし。



というわけで。
ミミズも乾涸びるくらい晴れた日、 朝6時台から準備を始めた。






せっかくだから(と言っても徒歩5分)、家の洗濯機じゃイマイチ洗いきれてない感が漂っていたダブルサイズの毛布も洗うことに決め、






運びやすいように、何の違和感もなしにそれらを風呂敷で包んだ。






これを玄関まで運んでいる最中に起きてきた夏目父が、






「夜逃げスか?」とか(朝だし)、「こんな暑い日によくもまあそんな大仕事を」とか言っているのは聞き流し、でも、背中越しに聞いた、「不審者だと思われるから車で行きなよ」という言葉にはなんとなく従うことにし、徒歩5分のコインランドリーに車で向かった。

コインランドリーに着いたのは朝6時55分。
こんなにこっ早く行動を開始したのには、あたしなりの理由がいくつかあるのだが、一番大きな理由は、事前に数回偵察してみたところ、かなり早い時間から6機ある洗濯機が全て使用中になっているらしいと判明したからで、つまりあたしは、朝7時のオープンと同時に入り、洗濯機も乾燥機も順番待ち無しで済まそうと目論んでいたのだった。
が、甘かった。

コインランドリーの入り口には、オープン前だというのに既に大きな荷物を持った人が4人も並んでいた。
1番目は推定腹囲130cmなおじさん、2番目は孫と思しき男の子を連れたおばあさん、3番目はサッカーのらしい泥だらけのユニフォームを手にした20代男性、そして4番目は、背が高く背筋が真っ直ぐでイマドキ珍しいほど真っ黒い髪を短く揃えた推定30前後のメガネ男子である。

コインランドリーのドアを解錠するのは隣接するクリーニング店の人らしく、見慣れたおばさんに挨拶をしながらデカい風呂敷包みを持ってコインランドリーに入ると、おじさんが2機、おばあさんが2機の洗濯機を使い始めてしまったため、既にあたしが使える洗濯機はなかった。
かといって、その場を離れるわけにもいかないので、洗濯が終わるまでの間に読もうと思って持ってきた本を読みながら待つことにした。






ササリー無しで夏を越せない身体になった)



当たり前っちゃ当たり前の話だが、全6機の中で一番先に空いたのは、1番目に並んでいた、推定腹囲130cmなおじさんが使った2機である。
が。
あまりに一方的で失礼だということを承知で書くと。



おじさんがトランクスを洗った直後の洗濯機で洗った布団は綺麗・・・・?



なんつうことを考えてしまったからさあ大変。
空いている洗濯機の前で約1分、どうしたものかと考え込むはめになってしまった。
「そんなことを考えるヤツはコインランドリーなんか使うんじゃねえ」と自分で自分にツッコミを入れては見るものの、何しろトランクスである。
じゃあ、おばあさんが入れていた、3世代分はあろうかという量の洗濯物の後ならいいかといえばそうでもないし、泥だらけのユニフォームの後がいいわけでも勿論ない。
一番いいのは、「前に誰がどんな物を洗ったか?」を想像させないシチュエーションだったが、5番目になってからそんなことを言ったところでどうにもならない。
で。



今日洗うのは止めよう、と思った。
(マジで)



が。
2機の洗濯機の間で途方に暮れているあたしの目の前に、すぅーっと長い指が現れた。
そして横から、「これを押すと随分気持ち変わりますよ」という声が聞こえた。
声の主を見やるとそこには4番目が立っていて、長い指が示した先には、黒いボタンがあった。






「ちょっと潔癖入ってるとキビシイんですよね」と4番目は言った。
汚部屋住人であるあたしが潔癖なハズは勿論ないが、見知らぬ人と洗濯機を共有することに対する小さな違和感は、4番目が教えてくれたこのボタンを押すことで消えそうな気がした。

「ありがとうございます」
「いえいえ」

なんつう会話をしながら洗濯機にコタツ布団と風呂敷を突っ込み、フタを閉めてコインを入れた。
すると4番目が「あっ!!!!!」と言う。

「え?」
「あっ・・・・えーっと」
「はい?」
ドラム洗浄ボタンは、フタを閉めた後、コインを入れる前に押さないと効きません
「え゛っ」
「残念ながら、一度入れたコインは戻りませんからやり直しは出来ません」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・残念です」
「じ、次回頑張ってください」




(17キロまで洗える洗濯機は1回600円)



そ、そうだ。
あたしにはもう1枚毛布があるのだ。
容量的には、17キロまで洗える洗濯機1機でコタツ布団とダブルの毛布を一緒に洗えるらしかったが、せっかく丸洗いできるのだからここは贅沢に、たくさんのお湯で少しの物をぐるんぐるんしたくて、敢えて別々に洗おうと決めていたのだ。
おじさんが使っていた、1機目よりは容量の小さい洗濯機に毛布を入れフタを閉めた。
で、また。



ドラム洗浄ボタンを押す前にコインを入れた。
(学習機能が無いらしい)






(13キロまで洗える洗濯機は1回500円)



が、洗剤まみれになって大きくぐるんぐるん回るコタツ布団や毛布を見ていたら、コインランドリーのシステムに抱いていた僅かな違和感みたいなものが吹っ飛んだ。
そうそう、こんなふうにぐるんぐるん洗いたかったんだ、ずっと。

洗濯を終え、次は乾燥。
脱水したままのコタツ布団を持って帰るには重すぎるし、たとえそのまま持ち帰って家で干せたとしても、にわか雨でも降ったらお終いなわけで。
ある程度のところまでは乾燥機を使いましょう。そうしましょう。



2サイズある洗濯機のうち、デカいほうに書かれていた説明文をみると、コタツ布団は1枚が適量だとはっきり書いてある。






が。
家に乾燥機がないせいか、ピーカンの日、濡れたモンを乾かすのに何百円も使う気にはどうしてもなれず、









300円(=18分)だけ入れて乾燥開始。
(ケチ)





しかも。





適量以上だと判りつつ、コタツ布団と毛布を一緒に入れて乾燥開始。
(ドケチ)








このドケチっぷりが致命傷になるかもとうっすら怯えつつ18分後に乾燥機のフタを開けてみたが、幸い、毛布もコタツ布団にも、水分の重みはまったく感じられなかった。
ホクホクした気分でそれらを取り出し、一緒に乾燥させていた風呂敷に包むと、何をどんだけせっせと洗っているのか未だ居た4番目の潔癖青年にお礼を言った。
潔癖青年が静かに言った、「でも、2回目も残念なことになってましたよね」という言葉にも全くメゲず帰宅して、人生初のコインランドリー体験は終了した。


大仕事を終えた気になって帰宅したものの、この時点でまだ午前8時半。
日当たりのいい南側のベランダに、洗いたてのコタツ布団と毛布を干し、それはもうカラッカラに乾燥させた。










プロがやるクリーニングには勿論それ相応の技術が施されているのだろうが、洗濯機でぐるんぐるん洗い、お日様の下で干した時の風合いとは確実に違う仕上がりだ。
どっちが手間だとかラクだとかどっちが高いとか安いとかいうんではなく、もっと単純に好みの問題で、多分あたしはこれからもコタツ布団はコインランドリーで洗うんじゃないかと思っている。



午後になり、カラッカラでふっかふかに乾いたコタツ布団と毛布を取り込んだ。
すると、それを触って匂いを嗅いだ夏目父が言った。

「あー、お日様の匂いがして気持ちいいねえ」

そうだろそうだろ。

「行ったことないけど、コインランドリーって綺麗なの?」

新しくできたばっかのところだから、洗濯機も乾燥機も備品も、みんな綺麗だったよ。

「じゃあさ」

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。
嫌な予感がした。
ちなみに、あたしのこの予感は外れたことがない。



案の定夏目父は、「納豆買ってきて」くらい軽ーい感じで言った。





「 来 週 は 俺 の 毛 布 を 洗 う ん だ ね 」





・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。





人 の 予 定 を 勝 手 に 決 め ん な 。





人気ブログランキング
 本業が一段落したので、ようやくブログも本格復帰でーす。


南国出身の同僚とあたしは上司から、 『 チーム ハイエナ 』 と呼ばれている。
食いっぱぐれるわけにはいかん!とばかりに、仕事の匂いがすればわらわらと寄り集まりガッつき始めるという悲しき習性に由来しているのだが、そのチームに最近、新たなハイエナが加わった。
うちの部署に異動してきた、見惚れるほどに美しい29歳の独身男・山口である。
山口がどのくらい美しいかというと。
異動してきて3日目、山口が初めて出席したクライアントのオフィスでの打合せの席でお偉いさんが冗談で、「是非うちの社の広告モデルに!」と言ったのを聞いた女性社員たちが、うっかり大拍手してしまったほど。
が、本人曰く、「ルックスを褒められるのは慣れてる」のだそう。
つまり。



イケメンだという自覚が充分ある、敵が多そうな男である。



ちなみにこの山口は1ヶ月ほど前、連日帰宅が午前様だったあたしに、「睡眠時間少ないと肌がヤバくなるよね」と言ってきて、あたしが、「オバさんだから、睡眠時間に関係なく常にヤバいよ」と答えると、急に真面目な顔になって、見惚れるほど美しい顔で、「夏目さん、オバさんじゃないよ」と言った男である。
それに続けて、



「夏目さんは、オバさんじゃなくてオジさん」と言った男である。



つまり山口はあたしの、



社内で2人目の天敵である。
(1人目は柳沢という若造)



さて、ある金曜の夜のこと。
深い時間にオフィスに残っているのが南国とあたしと山口の 『 新生 チーム・ハイエナ 』 だけ、という日が2ヶ月以上続いていた。
いつも通りひと息つこうと、夜食を摂りがてら雑談を始めたのだが、山口があたしに向かって何の前触れもなくいきなり、「トルコ桔梗って今の季節に売ってる花?」と訊いてきた。

「売ってんじゃない?年がら年中売ってる気がする」
「夏目さん、花屋に行くことあるんだ」
「・・・・あるよ」 ←供花を買いに週2回ね、とは言わない
「家に花飾ったりしてるイメージないんだけど」
「ふうん」 ←仏壇に飾ってますが何か、とも言わない

南国が会話に加わった。

「山口。で、トルコ桔梗買って誰かにあげるわけ?」
「はい。あ、母親にですけど」
「へー!」
「来週末、母親の誕生日で。トルコ桔梗が好きらしいんで、プレゼントはそれにしようかなあと」
「俺、母親が好きな花なんて知らねえぞ」
「俺も知らなかったんですけど、GWに実家に帰ったとき、妹と母親がそんな話をしてたのが聞こえて。毎年、誕生日プレゼントを何にするか困るんで、「これだ!」と思ったんです」
「いい息子だなあ、お前」

天敵のいいところなんて知りたくないので(性格悪すぎ)、うっすらクサクサしながら話を聞いていると、南国がニヤけながらあたしに訊いてきやがった。

「お前、男から花貰ったことなんてある?ないだろ。貰っても喜ばなさそうだしなー」

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。
会社の連中はどうしていつもあたしを悪キャラに設定するんだと思いながら黙っていると、南国と山口はあたしそっちのけで盛り上がり始めた。

「確かに喜ばなさそうですよね!」
「だろー」
「俺、夏目さんがキティちゃん好きだって知った時も意外でした」
「似合わないよなー」
「ええ。キティちゃん見ても、「ただの猫じゃん」とか言いそうなのに」
「そうそうそう!リラックマも「ぐうたらすんなや、このクマ!」って蹴り入れそうだし!」
「うひゃひゃひゃひゃひゃ!」
「あはははははは!」



・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。



深夜0時、いい歳した大人の男2人が、何故こんなネタで大笑いできるのかさっぱり判らんが、ここのところ3人揃って仕事漬けだから、ランナーズハイみたいなもんなんだろうか。
ただ、いつものことだがあたしは、周囲が自分のことで盛り上がれば盛り上がるほど気持ちが閉塞し無口になるため、大いにウケている2人をよそに黙々と食事を続けた。
なのに、今度は山口が重ねて訊いてきた。



「で、夏目さん、男から花貰ったことあるの?」



うるせーよと思いつつ、しかしそれはすぐにあたし自身の疑問となった。
「あれ?あたし、男から花を貰ったことなんてあったっけ?」という疑問に。



昭和から平成ヒトケタ前半迄のことは抜きにして、たとえば30歳以降、男性から花を貰ったことなどあっただろうかいや、ない。(即答)
付き合った男から花を貰った記憶もなけりゃ、意中の男性に花を貰った記憶もない。
それどころか、平成ヒトケタ後半には今の会社で働いていたから、餞別で花を貰ったことまでない。
若かりし頃のことは抜きにして、と前置きしたせいで、10代20代の頃はしょっちゅう花を貰っていたかのように読んだ人もいるかもしれないが、哀れなことにあたしの人生にモテ期は存在しないので、山口がお母さんにあげようとしてるような、心のこもった花を貰った記憶がない。



「ねえよ」
不機嫌100%な声であたしがそう答えると、深夜0時に上がった男たちのボルテージは最高潮になった。

山口 「そもそも夏目さん、花貰って喜ぶ人なの?」
夏目 「うん」
南国 「喜んでるフリするだけじゃなく、心底嬉しい?」
夏目 「うん」
二人 「えええええええーーーーーーーーーーーーーーー!」
夏目 「うるせー」
南国 「花貰って喜べない人も哀しいけど、喜ぶのに貰えないのはもっと哀しい!」
夏目 「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
山口 「俺、あげようか?」
夏目 「・・・・結構です」
南国 「あ、お前の誕生日っていつ」
夏目 「だからいいっての」
山口 「誕生日に、夏目さんが好きな花、どーんとあげるよ!」
南国 「そうそう、社内でカンパ募って
夏目 「絶対要らない」
山口 「じゃあ俺ら2人であげるからっ」
夏目 「要らないっつってんだろーが」
南国 「やっぱ花は嬉しくないんじゃね?」
夏目 「そういうノリで花を貰って喜ぶ人いねえと思うけど」
山口 「そうかー」
南国 「つーか、ホントにないの?花貰ったこと。彼氏からじゃなくても」
山口 「百歩譲って家族からでもいいよ」
夏目 「ないなあ」
南国 「じゃあ千歩譲って!」
夏目 「譲ってくれなくていいんですけど」
南国 「サボテンでもいい!
山口 「盆栽も可!



・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。
もはや、何でもアリである。
が、「サボテン」とか「盆栽」とか、鉢植えのものが挙げられた途端、ごく最近自分が男性から、鉢植えの花を貰ったことを思い出した。



「 あ 、 あ る 」



ここまで、何でなのかはよくわからんが、「サボテンでも盆栽でもいいから、花じゃなくて草でも木でもいいから、男から貰った経験アリで頼む!」と土下座する勢いで質問攻めにしていた南国と山口である。
あたしの「ある」という答えで安心してくれるかと思いきや、



「見栄はらなくていいって」 「嘘だ!」



と、言いやがる。

山口 「マジで?」
夏目 「うん」
南国 「ああ、麻雀仲間からだ」
夏目 「いや」
山口 「じゃあ誰。会社の人?お客さん?」
夏目 「違う。キミたちの知らない人」
南国 「飲み屋で隣合った人だ」
山口 「そうだ。だって夏目さん、仕事関係か雀荘か飲み屋でしか出会い無いもの」
夏目 「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」 ←釣具屋と釣り場でもある!とは言わないほうが無難

その後も2人は、まるで犯人でも探すかのように、「○○(居酒屋)の親方じゃね?」とか、「いや、○○(定食屋)のおやじって可能性もありますよ」とか、あたしそっちのけで盛り上がっていたが、予定していた休憩時間が過ぎ、あたしが「仕事しろ」と声をかけると2人は、それまでの盛り上がりが嘘のように、黙ってガツガツと仕事を始めた。
この、どんなネタでも掴めば大いに盛り上がり、時間がくればピタっと話をやめるところが、彼らと一緒に仕事をしていてラクチンだと思うことのひとつである。



さて。
あたしが最近男性から鉢植えを貰ったという話に嘘偽りはない。
が、端折ってる部分を添えれば随分印象の違う話になる。
具体的には、ただの痛々しくて残念なお話しに成り下がる



あたしが最近男性から貰ったのは、鉢植えの日々草である。




(ちょっとカワイイ)



そして、この馴染み深い花をあたしにくれたのは。
長年被り続けていたベレー帽のようなヅラを1ヶ月前に脱いだ、今、我が家から半径300メートル圏内で最も潔く最も勇気ある男・近所のスーパーマーケットの店長(推定60歳)である。




(蕾が開く途中もカワイイ)



売り出し期間中に3,000円だか買うとお花をプレゼント、みたいな企画をやっていたのだが、そんなことを知らずにレジへ行き、1,300円くらいの買い物をしたあたしを見ていた店長が、「おまけだよ」と言いながらくれたのがコレだったのだ。



・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。





視界がボヤけてるけど、泣いてなんかないやい。



南国と山口の求める答えとはまるっきり違うが、とにかく我が家に最近、長年被り続けていたベレー帽のようなヅラ・・・・(中略)・・・・の店長からおまけで貰った日々草が増えた。
ちなみに。
あたしが蒔いた日々草の種は、かろうじて4つ発芽したのだが成長が鈍く、






ワサワサと伸びポンポン咲いている、ヅラ店長の日々草の元気っぷりには遠く及ばない。






がんばれ、あたしの日々草。
ヅラ店長に負けるなよ。

とはいえ、あたしが蒔いたものより大ぶりな品種と思しきヅラ店長な日々草も枯れて貰っては困る。
できることなら種を採りたいからだ。
つうわけでこの週末は、ヅラ店長の日々草のふにゃふにゃなビニール製の鉢を、夏目父から分けて貰ったオッサンくさい陶器の鉢に植え替えた。




(before)




(after)



夏目父が聞く。

「また日々草?」
「うん。でも偶然」
「どういうこと?」
「○○(スーパーマーケット)で買い物したら貰ったの」
「へー」
「このあいだ、会社の人に「男から花貰ったことある?」って訊かれて」
「ぷっ」
「思いついたの、これだけだったよ」
「ぷぷぷっ」
「ヅラ店長から、オマケをオマケして貰った花だけなんて」
「我が娘のことながら、これだけモテないと面白いよ」
「あたしは少し悲しいよ」
「まあでも、そう悲観することでもないさ」
「なんでよ」
「だってヅラ店長」
「うん」
「お前と同じで」
「あ?」





「 バ ツ 無 し の 独 身 ら し い か ら 意 外 と ・ ・ ・ ・ 」





・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。





何 が 言 い た い 、 我 が 親 よ 。





い 、 い や 、 や っ ぱ 、 そ の 先 は 勘 弁 。 マ ジ で 勘 弁 。





人気ブログランキング
 結っ構順位に変動あるものですなあ。特に11位から先。


普段から基本的には家庭内別居だが、夏は特に親と一緒に居られなくなる。
暑さに滅法弱い夏目父が野菜室並みに冷やしたリビングから出なくなるのとは対照的に、暑さに強いあたしはテンションが上がって活動的になるからだ。

さて。
午前中に気温が30度を超えた週末、あたしは朝から汗だくで動いていた。






資源ゴミの回収日だったため、まずは新聞を捨て、




(友人Oよ、お米をありがとう!)



ダンボールや紙を捨て、風呂で汗を流してから、近所のスーパーマーケットの開店時間に合わせて家を出て、脳内メモにあった物を漏らさず買って家に戻ったら、






食料品を冷蔵庫に収め、エコバッグと、エコバッグに入りきらない時用のレジ袋をたたんで、休日持ち歩くバッグに仕舞う。






ちなみに。
レジ袋を持ち歩くようになったのは、一緒に食料品を買いに行った時、手ぶらの義兄がレジ袋を断っていて、「どうすんだ?」と思っていたら、ジーンズのケツポケットから三角に折りたたんだレジ袋を出したのを見て以来。
つうかその時、エコバッグもレジ袋も持っていなかったあたしが3円出してレジ袋を買ったのを見た、倹約家の義兄に、



「 あ ー あ ・ ・ ・ ・ 」



と言われたのがきっかけ。
「ンなこと言われたかねーし」と思わないこともないが(こら)、それより何より、「たとえ3円でも、あたしは自分に対して「あーあ」と思うんだ!」と気づいたことが大きい。
これまで散々意味の無いことに金を使ってきたあたしが、3円で買ったレジ袋を捨てるにも幾許かの金がかかるのだと意識して「あーあ」と思うようになるなんて、自分の変わりようにびっくりする。

閑話休題。

そういえば、6年ぶりくらいで砂糖を買った。




(1袋消費するのに6年くらいかかる)



料理らしい料理をしない我が家で最も使わない調味料なのだが、それでも時々は欲しい場面もあるので、どーんと1kg。
で、すぐさま、調味料入れ(うちにもあります)に補充。




(未だに、恐ろしいほどよく切れる、20年モノのキッチンばさみ)
ステンレスキッチンばさみ/20cm

続けて、賞味期限を1週間ほど過ぎていた卵を茹で・・・・ようと思ったのだが、






未だに我が家には鍋がないのでこれはちょっと後回し。
キッチンから離れ脱衣所へ行き、この日買った物の中で最もテンションの上がるブツを使ってみることに。
どこにでも売っているただの柔軟剤で、ダウニーとかゲインとかではない。



我が家では長年ハミングフレアを、



このボトルに詰め替えて使っていたのだが、




(10年モノくらいのボトル)



TVでCMを見たり店頭で実物を見るたびに、「欲しいなあ」と思っていたパッケージの柔軟剤があって、この日ようやくそれを買ってきたのだった。











か 、 か わ え ぇ ・ ・ ・ ・ 。



かつて我が汚部屋にあったマンガ・ 『 永遠の野原 』 のみかん(犬)がニンマリした時みたいな顔がツボなんだよなー。(註:いい歳です)



つうわけで、古いボトルは洗って捨て、新しい柔軟剤を使ってニンマリしながら洗濯をしまくる。
で、夕方。
賞味期限の切れた生卵8個と皿を持って出掛け、義兄宅で茹でる。




(10年ぶりくらいに卵を茹でました ←本当)



鍋とガスを貸してもらったお礼に、賞味期限の切れた生卵で作ったゆで卵を2個、そぉーっと義兄宅の冷蔵庫に入れ(たがすぐバレ)、鍋がないことを不憫に思った義兄が、「その鍋あげるから」と言うのを丁重に断って(なぜ!)、ゆで卵を持って帰宅した。




(坂東英二が、新大阪→東京で平らげる量)



という具合に暑さも何のそので元気よく動くあたしを見て夏目父が言った。

「毎年思うけど、何で暑っっっい日を選んでフットワーク軽くなるのかね」
「さあ」
「食欲も、衰えないどころかむしろ旺盛に拍車かかってるよね?」
「まあ、例年夏は肥えるから、俺」
「夏バテには縁がないしねえ」
「おうよ」
「まあでも、基本は変わらないっつうか」
「ん?」
「いや、さっき出掛けてる時、DVD借りに君の部屋に入ったんだけどね」
「・・・・ちゃんと返してね」
(スルーして)「部屋に入った途端、笑ったもの」
「あ?」
「あんなん、俺でもやらない」
「あんなのって何」
「まあ部屋に行って布団の上、見てみなよ」
「・・・・?」
「最近で言う「女子力」っての?それがゼロってのがよく判るモンがあるから」
「へ?」
「我が娘ながら、あれはどうかと思うよ」



親から「女子力ゼロ」なんて言われるとは思わなかったが、夏目父が言う、「布団の上にある物」が見当つかなかったので、反論は後にしてとりあえず自分の部屋に行ってみた。
そこにあったものは、女子力どころか、



大 人 力 を 疑 う よ う な も の だ っ た 。









(脱ぎっぱにしてもこれは酷い)





とーちゃん。





こ ん な 娘 で マ ジ ご め ん 。





人気ブログランキング
 こ、更新がんばれ、俺。