BOOK INFOMATION
生まれてこのかた、ただの一度も真っ当に片付けが出来たことのないあたしがモノを捨て始めた時に、うっすらとタブー視していたこと。
それは、「要る物だけしかない部屋になる前に収納家具や箱を買うこと」だった。
当時はまさか、大量の物を捨てた現在もまだ、家具やソファを買えずにいるとは思っていなかったが、とにかく、家具や箱を買ってしまったなら、それに物を詰め込むことを先に考えてしまって、要・不要を選別して捨てる作業が疎かになりそうだと思っていた。
が、片付け始めた頃は家具や箱を買いたい!という欲がとても強く、ごちゃごちゃしたものを見るたびに、「箱を買って詰めれば片付くんじゃね?」とか、「家具を買って入れれば片付くんじゃね?」とかばかり思っていた。
だから、「片付けたい!」と思うがあまり、捨てるより前に収納家具を買う人の気持ちはよーく判るし、片付けのモチベーションを上げるためにまずはステキな家具や雑貨を買うってのもアリだと思う。
でもやっぱり、片付けたい!と思うがあまり、2Kの部屋に23個もの棚を押し込んだ人はなかなか居ないだろう。
そして。
そんなオモシロ発想の人と、汚部屋について語れる機会も滅多にないだろう。
現在発売中の 『 婦人公論 2008年5月22日号 』 に、心理学者の齊藤勇先生と、「片づけられない女のこんどこそ!片づける技術」の池田暁子さんとあたしが、汚部屋について語った座談会の模様が掲載されています。

掲載されているのは話した中のごく一部ですが、予定の倍の時間が過ぎても尽きないくらい喋り倒したので、今日はネタバレにならない程度に、誌面に載らなかった話をちょびっと。
座談会には、齊藤勇先生、池田さん、夏目以外に、2人の女性が同席していた。
1人は編集部のAさん、もう1人は構成を担当したI さん。
構成のI さんは「収納大好き!」という世にも珍しい人だったが(夏目基準)、編集のAさんはどちらかといえばこっち寄りらしく、そんな彼女が恥ずかしそうに自室の写真を見せてくれたのは、まだ本格的に座談会が始まる前だった。
Aさんの部屋の写真を見て、あたしと池田さんは少し黙った。
で、多分池田さんも同じことを感じているだろうと思ったあたしは、念のため、写真の一部を指差してAさんに確認した。
「あの、ここに見えてるのって床ですよね?」
文字通り、足の踏み場もない部屋で暮らしていたあたしと池田さんにとっては、床がたくさん見えているAさんの部屋はとても普通に思えた。
つうか、「この部屋に何か問題でも?」くらいフツー。
なので。
Aさんの汚部屋住人登録申請は即時却下し(←申請制で承認制で登録制?)、座談会は始まった。
話をしていて一番驚いたのは、池田さんも、物の大きさやサイズの把握が苦手だったこと。
たとえば、家具と壁の間に数10センチの空きがあるのを見て、そこにピッタリハマりそうな棚を持ってきてみるのだが、はめようとして初めて、2つのサイズが全然違うことに気付く。
「あれ?なんであたしは、これをピッタリって思っちゃったんだ?」と首を捻りたくなるくらい違ったりする。
まあ、あたしのそういう感覚が激しく鈍いのはさして不思議じゃないのだが、イラストレーターの池田さんがそうだとは思ってもみなかった。
だから、「あ!あたしもそういうの全然ダメだー」「重いものをよいしょって持ってきたのにハマらないって判ると、それだけでもうやる気がなくなるんですよねー」などと暫し2人で盛り上がった。
が。
その様子を黙って眺めていた構成の I さんが、タメイキ交じりに発した言葉であたし達は我に返ることになる。
「メジャーでサイズを計ってから移動しましょうよ・・・・」
「 あ 、 な る ほ ど ・ ・ ・ ・ 」
(言われてようやく気がついた)
「 あ 、 な る ほ ど ・ ・ ・ ・ 」
(言われてようやく気がついた)
そんな、ピントのズレた女2人の話を延々聞いてくださった齊藤先生はとてもホンワカした方で、その雰囲気をとても心地良く感じたあたしは、座談会が終わるころにはとうとう、日常生活の愚痴まで喋っちまう始末。(あり得ん)
でも、愚痴って癒されたのは生まれて初めてでした。
先生、その節は大変お世話になりました。
(土下座)
(土下座)
というわけで。
『 婦人公論 2008年5月22日号 』 は現在発売中です。
来週後半になると書店には次号が並んでしまうと思うので、まだ読んでいないかたはお早めにどうぞ。
それと。
『 婦人公論ブログ 』 では、汚部屋住人登録申請即時却下のAさんが、座談会の模様を書いていらっしゃいます。
編集長コラムと併せて、是非是非読んでみてください。

(何でも布団の上で撮る癖をそろそろ直したい)
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