BOOK INFOMATION

単行本 『 片付けられない女魂 』 が発売されました。
全国の書店はもちろんのこと、Web書店でも購入できます。

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(扶桑社 / 全503頁 / 書き下ろしアリ)





去年、あたしの部屋にテレビカメラが入った時。
収録のあいだ中、仕事帰りの格好そのままのスーツ姿でいたのだが、もちろん普段部屋でそんな格好をしてるはずもなく、「いつもはジャージ着てるんだ」とあたしが言うと、薄着のマナブが楽しそうな表情でひとつの提案をした。



「じゃあ、部屋着に着替えてみますか!」



「 断 る 」



「どうしてですかー」
「人に見せられないような格好なんだよ」
「そういう普通の姿を見・・・・」



「 断 る 」



確かに、汚部屋住人でなくとも、自分の部屋でスーツ姿ってのは違和感があるだろうし、あたし自身もなんだか落ち着かなかったけど、かといって、部屋着や普段着になる勇気はなかった。
あ、あ、あんなボロボロでヨレヨレの姿を、人様に見せることなんて出来ないわん!(まるちゃん風)
あ、あ、あんなボロボロでヨレヨレの格好をしてる女なんて・・・・・・・・って、あれ?
ちょっと待てよ?
TVの中のステキ女子やステキ奥様は、家でもヒラヒラのスカートを穿いてたり、重そうなネックレスをつけてたり、化粧はバッチリで時にはつけ睫毛をくっつけてたりするもんだけど、実際にそんなことをしている人は、日本に3人くらいしか居ないよね。
・・・・少ないか。
じゃあ、3億人くらいにしとくか。
・・・・今度は多いか。増やしすぎか。つうか、どうでもいいか。
いや、とにかく。
どうせ部屋着は家の中でしか着ないんだし、普段着っつっても、あたしが休日に行くのは雀荘くらいなもんで、あそこはあたしよりボロい服着てる人ばっかだし。
だから、部屋着とか休日着なんてどんだけボロくてもいいよ。



たとえば、下はユニクロのフリースパンツでね、




(去年の秋に1,000円で購入。最も最近買った部屋着)



しかも、焦って買った安い羽毛布団からどんどん出てくる羽が刺さって抜けないパンツだったりして、




(太腿のド真ん中でいつもヒラヒラ揺れている)



洗濯しても、指でつまんで引っ張っても抜けなくて、「まあいっか」と思ってそのまま穿いてて、






だけどこんな風にフワフワしてるもんだから、リビングで寛いでるといつの間にか自堕落番長が毛深い手で「チョイチョイ、チョイチョイ」って遊び始めちゃって、それを見た夏目父から「猫じゃらしパンツ」って呼ばれるようになったけどいいのいいの。無問題。
しょっちゅう着てる長Tだって、この間アイロンをかけた時にふと見てみたら袖口がボロボロで、






でも、別にこのままの格好で外に行くわけでもあるまいし、誰に見せるわけでもないんだからまあいいかって思ったけど、改めて自分が部屋で着てる長Tの袖口を見てみたら、どれもこれも、袖が擦り切れてて。
それでもやっぱ、誰に見せるわけでもないんだからまあいいかって着続けて。

で。
タバコを買いに行く時は、猫じゃらしパンツの上から繊維疲労おこしてるジーンズ穿いて、袖の破れた長Tの上に、明らかにビニールって判るコート羽織って、




(近所の商店街で10年以上前に買わされた1,500円の福袋に入っていた)



「どうせウチ用だし」って、毛玉を放題している穴のあいた靴下履いて、




(人差し指さん、こんにちはー)



何年前に買ったんだか判んない、長さはいいんだけど幅と甲の高さがブカブカだから、中で足が遊んじゃってすぐに足の裏が痛くなるようなショートブーツを履いて、スッピンで出かけてるけど、




(汚れているのは履いてるからじゃなく、しょっちゅう踏んづけてるから)



でも、いいのいいの。無問題。
せいぜい近所の人に見られるくらいだからモーマンターイ。



・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・って、



女 と し て 問 題 あ り ま く り だ ろ 。



会社に着て行くものは、「ちょっと色褪せてきたかも」とか「2回くらいしか着てないけど着心地がイマイチ」とか、それが少しでもストレスフルな服に思えた途端、迷わず捨てていたのだが、誰に見られることもない部屋着と、ちょっとそこまで買い物に出かける時に着るような休日着は、どんな安物であろうとも捨てずに取っておいていることに、最近ようやく気がついた。
でも。
袖口が擦り切れた長袖のTシャツは、じゃあどこまでボロくなったら捨てるんだ?
サイズが合ってないくせに補正もしていない靴を履き潰すことなんて出来るのか?
と考えたら、それらがとんでもなく厄介な服に思えてきた。
で。




(これまた10年以上前、激安で購入。確か1,000円くらい)



1度も袖を通してないPコートや、








洗濯のたびに揉み洗いすれば平気なのに揉み洗いしないと何故か染みが浮き上がってくるという不思議なカットソーも含め、18枚の服と1足の靴を捨てた。




(猫じゃらしパンツは羽を抜けばいいだけなので捨てるには至らず)



片付け始めてからこれまでであたしは、530枚(!)の服を捨てている。
なのに、ここ1年半で買った服は、猫じゃらしパンツとスーツ1着のみ。
元の量が尋常じゃなかったと言えばそれまでだが、捨てる苦労を味わったからこそ、無駄に買い足すことなく今に至っているような気がする。
実際、仕事着には全然困ってないし、部屋着や休日着は、あたしの生活リズムやライフスタイルが変わらない限り欲しいと思わないだろう。
キレイな部屋着、オシャレな部屋着、カワイイ部屋着に憧れないわけでもないけれど、そこに力を入れたくなるのは当分先に違いない。

何でもかんでも捨てりゃあいいとは全然思っていないけど、着ない服の保管や収納に頭を悩ませたところでいいアイディアが浮かぶはずもないのだから、とっとと処分するほうがあたしには合ってるんだろう。そうなんだろう。





・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。





なのになんで、






(大小合わせて7個ありまーす。プチプチ付きでーす)





こ れ を 捨 て ね え の か な あ 、 あ た し は 。
(知らね)





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 部屋でもカワイイ服を着ているであろうステキ女子と並ぶ俺。独身。彼氏無し。


夏目父は、あたしの部屋がゴミ屋敷のようだった時も、あたしが自分の部屋をせっせと片付けている時も、口も出さなければ手も出さず片付けには無関心だ。
自分の部屋をせっせと片付けることもしない。
あたしとて、リビングのついでに、隣にある夏目父の部屋にざっくりと掃除機をかけることはあるが、あとは概ねほっといている。
ところがある日、夏目父の部屋にある会社の書類を探していたところ、仕事部屋に置いてあるキャビネットの中身がすっからかんになっていることに気付いた。
で、一瞬「ヤバイ」とは思ったが、知らぬフリを決め込んでいた。

それから暫く日が経って、夏目父が呟いた。

「俺の部屋にあるあのキャビネット、もう使ってないんだよね」
「・・・・ふ、ふぅーん」

夏目父の部屋に不要なキャビネットがあろうともあたしには何ら関係ない。
いずれは関係してくることは判っていたが、黙っていた。

また暫く経ったある日、夏目父が呟いた。

「あのキャビネット、使わない?」
「・・・・ど、どうかね」

まだ大丈夫。
2回くらいなら我慢できる。

そしてまた暫く経ったある日、夏目父がとうとう言った。

「あのキャビネットって、どうやって捨てるんだろう」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」




(そぉーっと4畳半へ移動)



「捨てて頂戴」と言われたわけでもないのに、自主的に、このアホみたいに重いキャビネットを動かした理由を説明するのはちょっと難しい。
まあ、簡単に言えば、夏目父が自分で捨てやしないのを判っているからだ。
で。
自分で捨てやしないくせに、放っておくといつまでも、「あのキャビネット・・・・」と呟き続けるのが判っているからだ。
そして何より。
夏目父のその手の呟きを、繰り返し聞かされるのに、あたしが耐えられないからだ。

「自分で捨てれば?」と突き放すのは簡単だが、ウチの親に限っては、突き放したところでやりはしない。
「じゃあ二人で協力して捨てようか?」と言ったところで、邪魔になりはすれども、役には立たないに決まっている。
万が一、夏目父が頑張ったところで、このキャビネットは物凄く重いのだ。
腰でも痛められちゃ堪らない。
また、「あたしがそのうち捨てるから、それまでは黙ってろ!」とキレたところで、こっちの心にもモヤモヤが残るし、夏目父だって何がしか、心に引っかかりがあるだろう。
つまり。
こういう時は、あたしがひとりでそぉーっと捨てるのが一番いい。
そして、あたしが捨てるまでの間、夏目父に呟かせないためには、夏目父の目の届かないところへ移動するのがイイ。



親との関係は人それぞれで、何が正解というのは無いと思う。
ただ、我が家では、夏目父を動かしたり黙らせたりすることよりは、あたしが動くことの方が断然ラクなのだ。
しかし、あたしはモノグサ。
いくら腕力に自信があっても、その気になるまでがひじょーに長い。
しかも、夏目父の目の届かない場所に移動しさえすれば、これを何日でも放置できる鈍さもある。
実際、ケータイで撮っていた写真のタイムスタンプによると、ぜぃぜぃ言いながらこの、バカみたいに重いキャビネットを4畳半に移動させたのは、去年の11月3日のことらしいから、2ヶ月半以上、4畳半に放置していたことになる。
ちなみに。
2ヶ月半の間にあたしの住む街では粗大ゴミの収集が6回あったらしいが、何回捨てそびれようとも大して気にならなかったし、だから、先週の水曜日に収集依頼の電話をかける時は物凄く気合いが要った。






何せ、とにかくこのキャビネットはアホみたいに重いのだ。
家の玄関からこれを持って出て、階段を下りてゴミ置き場まで運ぶことを考えると、気持ちまで重くなった。






奥行きは62センチ、高さは74センチ。幅は40センチ前後。




(1988年製か。つうか、何キロだ、コレ)



これまで家から運び出した中で一番重かった、あの忌まわしいプリンタよりも、確実に重い。
30キロくらいはあるんだろうか。いや、もっとありそう。
まんまを運ぶのは無理なので、まずは真っ当に、引き出しを抜いてみた。






引き出し3つを1回に運んで、本体は、






ここを持って運べばなんとかなるか・・・・。



・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。





引き出し抜いても、すげー重いんだけど。



このシミュレーションを、収集日の前日遅くにやったのがマズかった。
何故なら、自分でも嫌になるくらい鈍いあたしがこの夜は、「寝坊するかも」「持てないかも」「張替えたばかりのマンションの階段を傷つけたらどうしよう」などと考えてしまい、全くちっとも眠れなかったのだから。(アホ)



一睡もせずに迎えた朝7時。
夏目父が起きる前に行動しないとメンドウなことになりそうだ。
無駄に徹夜した日の朝というのは、それじゃなくても気が重いし、一睡もしていないから力にも自信がない。
着替える前にまず結露を取ろうと(全然飽きねー)ブラインドを開けると、外は小雪がチラついていた。



ますます出来る気がしねえ。



でも、収集依頼しちゃったから、頑張らないと・・・・。
寒いし重いし眠いけど、でも頑張らないと・・・・。

完全防備をして部屋を出て、玄関で靴を履いたその時。



夏目父が起きてきやがった。



そして、玄関にあるキャビネットとあたしを見比べて事情を把握し、言った。

「手伝おうか?」

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。
寝癖だらけの髪で、青白く生気のない表情で、やる気のない格好で、具体的には、上は半袖のTシャツ1枚、下はパンツ一丁の我が親が発する、「手伝おうか?」という言葉を聞いた途端、あたしのヤル気が目覚めた。





お、お、おっ!





お 前 の 手 ぇ 借 り な く た っ て 出 来 る ん じ ゃ ー !
(註:この女、一睡もしていません)





お り ゃ ー ー ー ー ー ー ー ー っ !
(註:この女、ほんの数分前まで、自信がありませんでした)





う り ゃ ぁ ぁ ぁ ぁ ぁ ぁ ー ー ー ー ー ー ー ー っ !
(註:威勢はいいですが、全身の筋肉が笑っています)






(4往復して、プリンタラックも捨てた)





我が家ではいつも、親と娘のヤル気が反比例する。
つうか。
粗大ゴミの運搬を手伝うよりもまず、お前にはやらねばならないことがあるんだよ、夏目父。
いいか?
これまで何回も言ってることだけど、今回は耳の穴かっぽじってよぉーく聞けよ。
この真冬に、その格好で寝るのはどう考えてもオカシイだろ。
つうかさ。




エ ア コ ン つ け っ 放 し で 寝 る な 、 こ の ド 阿 呆 。
(註:我が家の電気代は娘払い)




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やたら頻繁に催される新年会に出まくって呑んだくれているうちに仕事が忙しくなり、気がつけばもう2月か。
そういえば。
先週あたりからちらほら、体調不良で休む同僚も数人出始め、周りでも、「コホコホ」やら「グスッグスッ」やら、風邪の音を聞くようになった。



「社員がひとりいなくなったところで会社は機能する」というのはよく聞く話。
でも、機能させるためには、いなくなったひとり分の仕事をこなす誰かが必要なわけで、休む人が増えれば当然、他の人の作業量は増える。
自分の作業量が増えたことでテンパる人もいるし、休んだ人に対して「自己管理がどーの」だの文句を言う人もいるだろう。
実際、今あたしの周りにはテンパってる人も、文句を言っている人もいる。
でも。
あたしはどっちもしない。



社会人になってから風邪をひいた記憶がない。
「自己管理がどーの」とか「病は気から」とかいう話ではなく、単純に身体が丈夫な上に熱にも痛みにも鈍いため、たとえば、『 ハケンの品格 』の大前春子のように、39度の熱でフラフラになりながらもしっかり自分の責務を果たす、みたいなカッコイイエピソードはない。
でも。
熱に関わる、しょーもない、でも、あたしの人生に多大なる影響をもたらしたエピソードがある。



9年ほど前の話。
真夏だった。
そうだ。8月だった。
その年の春に、ずっと希望していた部署に異動になったあたしは、毎日張り切って、毎日緊張しながら仕事をしていた。
夏になり、同じ部署にいた女の子が急に会社を辞めてしまったことで仕事量が増え、気持ちが張り詰めていた。

変化に気づいたのはわりと早い時期だったと思う。
毎日寒かった。
真夏なのに身体が震えるほど寒い。
クールビズなんてものがなかった頃だから、「このフロアにすげー暑がりがいて、空調20度くらいに設定してんじゃねーの?」と思いながらも、忙しさにかまけて温度設定を確認するでもなく過ごしていた。
寒いのが空調のせいじゃないと気づいたのは、寒いと感じ始めてから1週間以上経った頃。
会社での寒さ対策に、部屋の服の山からフリースを引っ張り出した時だった。
「いくら何でも、真夏にフリースはねえだろ。そんなに寒いわけねーだろ」と、ようやく気づいた。
ところが。
自分の身体がオカシイことには気づいたのに、あたしは仕事がしたい一心で、病院へは行かずに済まそうとしたのだった。



会社では、真夏なのに厚手の上着を羽織って仕事をした。
熱があることは判っていたけど、仕事がしたかった。



真夏なのに日に日に厚着になっていくあたしは、その奇異な格好だけで充分、周りの人に心配をかけていた。
でも、厚着であること以外は至って普通で、具合が悪そうには見えない。
鼻水が垂れてるわけでもないし、咳をするわけでもないし、食欲が落ちている様子もない。
そして。
その時あたしが抱えていた仕事は、異動になってから初めて通った自分の企画だった。
そんな事情を判っている上司や同僚は、あたしが「大丈夫」と言えば「そうか」と引き下がるしかないような状態だったと思う。
若気の至りとはいえ、全くもって傍迷惑なヤツだった。


そんな日がなんと、2週間以上も続いた。
薬も飲まず、熱は上がったまま。
しかも、恐ろしいことに熱は連日、40度を超えていた。


目先の仕事しか見えなくなっていたあたしは結局、週末の夜、職場の同僚に、強制的に病院に連れて行かれることになる。
熱の原因は、急性腎盂炎。
抗生物質を処方され、あっけないくらいあっつう間に熱は下がった。



週が明け、半月以上ぶりに半袖で出社すると、あたしの机の上には1本の栄養ドリンクと、サプリメントが置かれていた。
病院に連れて行ってくれた同僚・吉田が置いてくれたものだということは、誰に訊かなくとも判った。






言葉で確認し合わなくとも、お互いがその時に一番して欲しいことが判る関係が築けていたように思う。
後から考えると、病院に連れて行ってくれたタイミングも絶妙で、その時でなければあたしは、彼の言葉に従えなかったに違いない。

「1時間早退すればいいだけだから。今病院に行って土日は家でゆっくり休めば、月曜日からは寒くなく元気に仕事できるから」

2週間以上の間、「病院に行きゃあいいのに」とイラついて見ていただろうに、自分と同じ「仕事バカ」であるあたしが、仕事を諦めて病院へ行くであろうギリギリのタイミングを見計らって声をかけてくれたのだった。



入社した時、彼はあたしの先輩だった。
一緒に仕事をするようになるとその関係は「同志」のような「戦友」のようなものになり、やがてあたし達の間には、「男女の友情」が生まれた。

・・・・あ。
「男女の友情」と言えば。
かつて一世を風靡したドラマ『ロングバケーション』で、稲森いずみ演じる「桃ちゃん」が言っていたではないか。





「男女の友情っていうのは、『すれ違い続けるタイミング』
もしくは、
『永遠の片想い』のことを言うんです」







え゛。
じゃあ吉田とあたしはすれ違い続けてるだけ?
あたしが吉田に片想い・・・・?
ま、まさか・・・・。
あ。え。
だからあたしも吉田も、いい歳こいて独り身なの・・・・?
ま、ま、まさか・・・・。
だって、吉田と出会って10余年。
高熱を出したあの時からだって9年近く経ってるじゃないか。
このあたしが、吉田に9年も片想い・・・・?
ま、ま、ま、まさか・・・・。
でも・・・・。
いや・・・・。



なんて展開にはなりません。



色っぽい展開にはならないけれど、でも、この時吉田があたしにしてくれたことは、10年近く経った今でも頻繁に思い出す。
がむしゃらになり過ぎて方向を見誤りそうになったあたしに、ブレーキを踏むことを思い出させてくれ、へこたれそうになったあたしにはアクセルを踏む勇気を与えてくれる出来事だからだ。


ここ数年、どんなに忙しくなろうとも、あたしがテンパらずに働いていられるのは、この出来事によるところが大きい。
吉田のおかげだと思う。
そして。
吉田にしてもらったコトを忘れないようにあたしは、会社のデスクにこんな物を置いている。












(自宅に持ち帰って撮影)



熱が下がって出社した日、吉田があたしの机に置いておいてくれたサプリメントのケースを捨てずに持っていて、心が波立ちそうな時はこれを見て気持ちを沈めている。




(ふ、古いっスね)



「要る」「要らない」。
「捨てる」「捨てない」。
その基準は人それぞれで、他人に判断できる類の物ではないとあたしは思っている。
これは、誰から見ても要らないものだけれど、あたしにとっては要るものだ。
あたしがこれから先、人に迷惑をかけず、周囲への気配りを忘れずに、冷静に、落ち着いて仕事をしていくために必要なモノだ。
そして。
人の嘆きや呟きにはそっと耳を傾け、でも、やみくもに助言はせず、ここぞと言う時に絶妙なタイミングで手を差し伸べることのできる大人でありたいと思わせ続けてくれるモノだ。



・・・・・と、文章にするとやけに大げさだけれども。
周りのテンパってる人を見て、自分が今よりもずっと青かった頃のことを思い出していた矢先、その後の異動で部署が変わり社内では会うことがなくなった吉田と一緒に仕事をすることになり、金曜の夜、「顔合わせ」という名の呑みの席で、あたしは吉田と3年ぶりに会った。



一緒に仕事が出来るのは嬉しいけれど、久しぶりに会ったところで、お互い別段話したいこともなく、大して会話もなく呑み会は終わったのだが、家路に着く途中、吉田からケータイにメールが届いた。

タイトルは「お前」。
2文字。
そして本文は。












「 老 け た な 」












・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。












ポイっ!








(宝物がゴミに変わった決定的瞬間)




あ。間違った。











プラゴミだ。





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ゴミ屋敷 ごみ屋敷 家政婦 片付けられない

あ た し 、 も し か し て 道 に 迷 っ て る ! ?



あたしはどうしてもゴミ処理工場の入り口を探せなかった。
右手に見える煙突を目指して国道から脇道に入り、ゴミ処理工場の敷地に沿って続く道なりに車を走らせていたのだが、煙突のすぐ傍まで行っても、どうしても敷地に入る入り口が見つけられない。
ここにないならもっと先かと思い煙突を通り過ぎてみるも、すると、それまで敷地に沿って続いていた道は緩やかに右へカーブを描き始め、左手にあるゴミ処理工場からどんどん離れてしまう。
それでもまだ先に進むと、どういうことか、元いた場所に戻ってしまうのだった。

今改めて考えると、「入り口がねぇんだからそこの道から入るんじゃねえんだろーが」と思えるのだが、その時は何か、狐につままれたような、狸にバカされたような感覚しかなかった。


残された時間はあと10分。
同じ道を3回も通り、ようやく自分が道に迷ってることを自覚したあたしは、またもや脳内シミュレーションを開始した。


今日は自己搬入を諦めるとして(即断)、今度はいつ、平日の昼間に時間が取れるんだ?
今月はまず無理でしょ。
あたしが年末の休みに入った頃にはゴミ処理工場だってお休みだろうし。
となると1月か。
年始の挨拶回りが終わった頃に休みを取って・・・・って、ダメだ。
1月はアレとかアレとか、いっぱい仕事があんじゃん。
4週目までは無理だよなあ。
・・・・え゛。
1ヶ月半も先?



とりあえず国道に戻り、来たのとは反対方向に進みながら脳内シミュレーションを続ける。



いやいや待てよ。
自己搬入自体を諦めてみてはどうだろ?
費用は嵩むけど、普通に収集依頼をするってのはどうだ?
となると、だ。
問題は、ウチのあたりの次の収集日はいつなんだ?ってことだな。
2週に1回で金曜日だったハズだけど、今週か?それとも来週か?
今週だとすると、ひぃーふぅーみぃー・・・・って3晩かあ。
でもそれが来週だとすると、10日間、車にゴミ積んどかなきゃいけない??
んーーーーー。
まあ、ゴミにデカいシートか風呂敷でもかけて、外からゴミが見えないようにすれば何とかしのげるか・・・・・。



脳内シミュレーション、終了。
結論。
自己搬入は諦めて収集依頼をする、と。



・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。
がんばったのになあ。
ここまでは順調だったのになあ。
でも。
よく考えたらあたし、あのゴミ処理工場の場所、はっきりとは知らないんだよなあ。
急に思い立ったから調べる暇もなかったし。
でも、こっちの方に来る時にしょっちゅうあの大きな煙突を見てたから、「来てみりゃ判るだろ」って高を括ってたんだよ。



と、脳内ボヤキが始まった時、車の流れが止まった。
渋滞なのかと思ったが、対向車線を走る車がいないということは、この先に信号があるのかもしれない。
でもあたしの位置からは、前に何台も大きな車が連なっているせいで、信号があるのかどうか、確認できなかった。



脳内ボヤキは続く。



っていうか、ゴミ処理工場って広いんだろうなあ。
きっと東京ドーム50個分くらいあるんだよ。
いや、100個分くらいかも。
そんなんじゃ、なるほど、入り口が判んないのもしょうがないか。
きっとあたし、入り口と反対側にいるんだ。
東京ドーム1,000個分あるゴミ処理工場の敷地を挟んで、入り口の反対側にいるんだ。
遠いよなあ。
東京ドーム10,000個分だもん。
反対側じゃ遠いよ。



車が流れ出した。
家に戻ることを決めたあたしは、脳内でボヤいていたせいで車線変更をしていなかったことに気づいた。
ウィンカーを右へ出し、サイドミラーで後方の車を確認する。
・・・・と、後方にも大きな車が何台も連なっているのが見えた。
しかもその大きな車たちは、二車線あるうちの左側、あたしがいる車線にだけ連なっている。
反対側のサイドミラーを見てみると、それらの車が一斉に、左にウィンカーを出しているのが見てとれた。



みんな、この信号を左に曲がるんだねー。



そんなことを呑気に考え、



つうかこの車たち、みんなでどこかに行くのかな?



まで考えた時、よーーーーーーーーやく気がついた。






あたしの周りにいる「大きい車」がゴミ収集車だということに、この時よぉーーーーやく気がついたのだった。



・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・おせーよ。




その後はゴミ収集車を尾行して、受付時間締め切り2分前、無事、ゴミ処理工場に滑り込むことが出来た。






間に合ったことに安堵して順番待ちをしている間、猛烈な睡魔が襲ってきたことは内緒だ。



車の重量を計ってもらい1,000円を払い、係の人に指示された通り順路を進み、いよいよゴミを捨てる場所に到着した。
係の人に誘導されて車を停め、車を降りトランクを開けた。



捨ーてーるーぞーーーーーーーーーー!



・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。
が、腕まくりをしたあたしの動きを、係の人が遮った。



「いいからいいから。おねえさん、そんな重いもん持てないでしょ」



・・・・はい?
今なんと?
なんとおっしゃったの?
あたし、部屋は片付けられないけど、重いもんは持てますよ?





22キロのプリンターもひとりで持てますよ?





と言う間もなく、あたしの車から埃をかぶった粗大ゴミがどんどん降ろされ、人の手によって丁寧に分別されていく。
唯一、分別などされず、ゴミの山に放り投げられたのはコレ。




(払って貰えなかったアルバイト代は16万円。一生忘れられねー)



ふっふっふっふ。
これがなくなればいよいよあたしの男運も・・・・。
ぐふぐふぐふ。




こうして、粗大ゴミの自己搬入はどーにかこーにか終了し、その後無事、仕事に戻ることができた。





帰宅後も、夕方の自分を思い出してニンマリしてしまう。

がんばったなあ。(にんまり)
でもやっぱり、仕事と仕事の合間だったから出来たんだろうなあ。(にんまり)
たとえ平日丸一日休みをとっても、やらなかっただろうなあ。(にんまり)
がんばったなあ・・・・。(しみじみ)



そして更にニンマリすべく、8割方片付いた気になっている4畳半を覗きにいってみた。
ちなみに。
この日、片付けに着手する前の様子はこれ。




(どう見てもゴミ屋敷です)



そして。
粗大ゴミを捨てた後の4畳半はこれ。















(絨毯出現)




・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。




い 、 い 、 1 割 に 訂 正 。



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ゴミ屋敷 ごみ屋敷 家政婦 片付けられない

昨日のことだ。
15時ジャスト。
15時半から始めるハズの打合せが18時開始にずれたため、外出中にぽこっと暇な時間ができてしまった。
朝から「最悪の場合」として予想はしていたものの、いざそれが現実になってしまうとやっぱりテンションが下がる。
「やっぱズレちゃいました」と上司に連絡を入れると、あたしの心情を察した上司が優しい言葉をかけてくれた。


「まあまあ気を落とさずに。映画でも観て、時間潰しときなよ」


不本意ながら出来てしまった空き時間を「私用でつかっていいよ」ということらしい。
嬉しいけど、映画は無理。
ケータイが鳴ったら困るもの。



・・・・・・・・・・・・・・あ。



時計を見ながら脳内シミュレーションを開始する。
あと3時間か。
30分前には戻ってきていたいから、空いてる時間は2時間半。
現在地から家を経由して目的地まで行くには片道40分・・・・いや、師走の道は混んでいるから、渋滞の時間も考慮して50分とみておこう。
往復100分とすると、作業できる時間は50分。
スーツ姿でするわけにはいかないから、着替えと化粧直しの時間も入れると、作業できる時間は40分程度か・・・・。
あそこは確か16時半までやってるハズ。
家に戻って作業して車を飛ばし、16時半までに着けばいいってことだから・・・・。



「いけるかも」と思った。



私的な用事でこんなキツキツのスケジュールを立てたところで、普段なら絶対こなせない。
でも、仕事と仕事の合間に出来た時間でならできそうじゃね?
なんかこの、仕事モードがONの状態ならできそうじゃね?

上司と、連絡が取れる場所にいることを約束し電話を切った。



よし・・・・。
やるぞ!






あたしがしたかったのは、粗大ゴミの自己搬入。
4畳半の部屋にある粗大ゴミはまとめて一気に捨てようと思っていたのだが、如何せん、部屋が狭すぎてよけておくスペースがないため、デカくて邪魔な複数のゴミが、元々重いあたしのフットワークを更に重くしていたのだった。



脳内シミュレーションが済んだら後は行動あるのみ。
こういうキツキツスケジュールはスタートダッシュが大事だ。
というわけで。
ソッコーで家に戻り、作業を開始した。



粗大ゴミはこれからもたくさん出る予定だけど、とりあえず今回捨てるのは、あたしの車に積めるものに限られた。

まずは。




ゴルフバック。
中にはゴルフクラブがぎっしり詰まっている。
詰め切れなかったクラブ6本と合わせて、収集を依頼をした場合の処理手数料は400円。

それと、




ヘラブナ用の釣り竿。
多分10本くらい。
収集を依頼をした場合の処理手数料は400円。

次は





coors 』 の、なんか、デカい室内装飾品。
バーなどで見かける、

 

こーゆーののゴツイ版で、電源を入れるとロゴとその両脇の山が光る。
収集を依頼をした場合の処理手数料は800円。



収集を依頼した場合、これら3つを捨てるだけで1,600円かかるわけだ。


ちなみに。
これらはあたしの物ではない。
夏目父の物でもない。
大昔、やんごとなき事情で人から預かった物なのだが、預かって1年程経った頃にあっさり「捨ててくれ」と言われ、なのに、捨てずに10年も置いておいちゃったシロモノ。
その頃ならまだ粗大ゴミの処分は無料だったから、処分料1,600円は発生しなかった。
・・・・ということに気づいてしまうと、1,600円がとてつもなく高く思える。
でも、自己搬入なら1,000円で済むのだ。(我が街の場合)
これらを処分する時に一緒に自分のモノを捨ててしまえば、心の奥にうっすらある自己嫌悪も消えそうな気がした。


そうとなれば、次は自分の物。




まずは、カエルがかけていた布団。
敷布団と掛布団、各1枚。
他に、使わなくなったスキー板とストック、スノーボードも捨てることに。


それからそれから、布団と同じくらい邪魔だったコレも捨てよう。




あまりに汚いので撮影はしなかったが、コレは折り畳んだビーチベッド2台。

 ←こういうの

アホみたいに肌を焼いていた頃、あたしは週末になると必ず、コレとサンオイルを持って海へ出かけていた。
そんな青春の1ページが、海の砂と、当時付き合っていた優柔不断男との思い出と一緒にビニール袋に入れられている。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。



今 す ぐ 燃 や し た い 。




火柱が上がるくらい勢いよく燃やしたい。



よし。
砂付きのビーチベッドは思い出と一緒にポイだ、ポイ。
これを捨てればあたしの男運もきっと・・・・。
ぐふぐふぐふー。



4畳半にあるものは今日のところはこのくらいにしておこう。
さあさあ、次は8畳間だ。
・・・・・といっても、この時すでに作業開始から30分経過していた。
何せ我が家は、エレベーターのないマンションの4階。
ゴミを持ち、階段で1階まで降り、駐車場に停めてある車にそれを積んでまた4階まで階段を上がるという作業はかなり時間がかかる上に、体力を消耗する。

時間がない。
体力もなくなってきた。
車にはまだちょっと余裕があるけれど、今日のところはあとひとつでやめておこう。


最後のひとつはコレと決めていた。
パソコンデスクの下にあり、ながーいことあたしにつま先で蹴られ続けていた役立たずクン。






IBMのドットプリンター。
学生時代、帰省中にアルバイトしていた会社の社長が、「お給料の代わりです」という手紙と共に我が家の玄関先に置いていったという、曰く因縁のある代物で、ガタイはデカくてやたら重いくせにはなから壊れていたという、思い出しただけで鼻の奥がツーンとしちゃうようなエピソード付きのプリンターである。
こういう、厄がついていそうな物を捨てずにいるから、部屋で精気がなくなるのかもしれないなあ、なんてことを考えながら、腰に注意しつつプリンターを引っ張り出した。



・・・・・・・・・・お?






この部屋で2匹目となる、彼女発見!



警告!

この下に虫画像があります。

今回はモザイク処理を施しましたが、
虫が苦手な方は読まないが吉です。















ペ タ っ ☆
















(クリックすると、虫アップ画像になります)













あたしね、キミに構っていられないくらい、すげー忙しいの。














プ チ っ ☆

















さて!
この重ぉーーーーいプリンターを車まで運ぶぞ!
リビングでまた猫を追いかけてるっぽい夏目父など当てせずっ、一人で運ぶぞぉー!

気合いを入れ、持ち上げ易いようにプリンターの向きを変えた。
すると。
何やら注意書きが目に入った。






・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。
こ、こ、こんな忌まわしいプリンターの言うことなんか、きいてやるもんかっ。
腰に注意を払い持ち上げてみる。



・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・う゛っ・・・・ぐっ・・・・。



体感重量、40キロ。



全身の筋肉という筋肉がプルプルしまくったけど、それでもなんとかコケずに1階まで辿り着き、無事、車に積み込み完了!






この時点で作業開始からジャスト40分!
よし。ここまでは順調だ!
あとはごみ処理工場まで車を飛ばすだけだ!



師走の市街地は案の定、どこもかしこも渋滞していたのだが、なんとか、予測していた時間内に工場の煙突が見えるところまで辿り着いた。
受付終了時間まであと10分。
ギリギリセーフだな。



・・・・・・・・と思ったのもつかの間だった。





・・・・・・・・・・・・・・あ、あれ?
ここ、さっきも通らなかったっけ・・・・?
っていうかあたし。




も し か し て 道 に 迷 っ て る ! ?



(つづく)

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あ!
ゴミ、捨て忘れちゃった!
あたしの部屋から出たゴミは捨てたのに、生ゴミを入れたゴミ袋を玄関に置きっぱなしにしてきちゃった!
写真だけ撮ってそのままにしてきちゃった!(本末転倒)




次の燃えるゴミは木曜日だから生ゴミだけは捨てておきたかった。
しかも、置いてきたのは玄関。
家に入った途端、生ゴミの臭いがぷぅ〜んとしちゃうだろうなあ。
しかも、その臭いの向こう側にあるのがあたしの汚部屋だなんて・・・・・・想像しただけで家に帰る気が失せる。
いやいや、待てよ。
これはあたしだけの問題じゃないぞ?

夏目父の仕事関係の人が来るじゃないかー!
こ、こ、これはマズい・・・・。
ひじょーにマズい。

あ!でも!
ウチのマンションにゴミ収集車が来るのは、午後1時以降だ!
よし!まだ間に合う!



というわけで、本日午前10時。
まだ寝ている可能性大の夏目父に電話した。




娘 「もしもし?」
父 「どうした?」
娘 「あのね、今朝、ゴミを捨て忘れちゃったの」
父 「へー
娘 「でね、悪いんだけど玄関にあるから捨てといてくれないかなあ?」
父 「まだ間に合うの?」
娘 「うん。1時までにコンテナに入れれば平気」
父 「ふうん・・・・
娘 「・・・・・・・・コンテナの場所、わかるよね?」
父 「わかるけど」
娘 「・・・・・・・・け、けど?」




ここまであたしは何一つ、無茶言ってないと思うの。
なのに、ウチのオッサンときたら案の定言いやがった。




「 メ ン ド ク サ イ よ 」




・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。
そのメンドクサイことを、週に4回あたしがやってるんですがね?」なんて言っちゃダメだ。
ここはひとまず冷静に。
あくまで冷静に。




娘 「でも人が来るよね?」
父 「あぁ」
娘 「だから捨てないといけなかったのに忘れちゃった。ごめんね」
父 「いいよいいよ」




え?
「いいよいいよ」・・・・・・・・・・?
ぉ?
やってくれるのか!とーちゃん?







「 いいよいいよ。どこかによけておくからいいよ 」




・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。
それがイヤだからわざわざ電話して頼んでんだろーが」なんてコトも言っちゃいけないいけない。
れ、れ、冷静に。




娘 「よけないで捨ててちょーだいよ」
父 「だって」
娘 「う、うん」







「 雨 降 っ て る ん だ も ん 」





・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。
だから何だ」と言ってやりたいが、ぐっと我慢。




娘 「コンテナまでは、濡れないで行けるよ」
父 「うーん」
娘 「傘ナシでだいじょうぶだよ」
父 「ちゃんとどこかによけておくから」
娘 「どこかってどこ?」
父 「んとね」
娘 「う、うん」




「 キ ミ の 部 屋 と か 」




・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。
いくらゴミ箱みたいな部屋だからってそれはねーだろ、オッサン」とか、「あたしの部屋に入れたら、この先一生おとーさんと一緒に寝るからね☆」とか、言ってやりたい言葉がどんどん浮かんでくる。
でも、ぐっと、ぐっっっと我慢。


ただ、これ以上がんばるのはやめた。
捨ててもらえなくていいや。
ベランダにでも出してて貰えばいいや。




娘 「あはは。あたしの部屋に入れないでよー。第一、置くとこないからね」
父 「ないの?」
娘 「うん。ないよ」
父 「ふうん。じゃあテキトーに場所探して置いとくー」
娘 「ベランダにしてよね」
父 「ベランダ?寒いよ
娘 「だいじょうぶ!キミならできる!キミはやれば出来る子です!」
父 「ははは。まあテキトーにどこかによけておくから安心して
娘 「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・じゃあね」





・・・・・ほっ、これで一安心♪
って。












安 心 で き る か ー ー ー ー ー ー っ !











捨てて貰えなかったことに対する失望感は大いにあるものの、でもそれは「ふっ・・・・。やっぱりダメだったか・・・・」という程度のもので、「どうして捨ててくれないの!」とは思わないし、書いてる文字の強さ程は腹も立っていない。
長年夏目父の娘をやっているんだもの、この程度の事態を予測するのは容易い。





仕方ないや。
忘れたあたしが悪いんだもの。
それよりも。
とーちゃん、ちゃんとベランダに出してくれるかなあ。
玄関に置いたままにしてないといいなあ。
まさか、いくらなんでもあたしの部屋には入れないよね。




ふふふっ。




とーちゃん、あたしの部屋が片付いてたら入れそう。ふふふっ。
部屋のドアを開けてすぐのところに置いたりしそう。ふふふふっ。
とーちゃんならやる。
ウチのとーちゃんはそういう人だもん。ふふふふふっ。


良かったー。
あたしの部屋が、ゴミ袋を置くスペースもない汚部屋で良かったー。









(あれ?なんか丁度よくね?)

























(想像図。Winのペイントを使ってマウスで描いてみました)












家 に 帰 る の 、 超 こ え ー ー ー ー 。


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